ミステリードラマ『3年A組 今から皆さんは、人質です』が最終話を迎えました。菅田将暉演じる主人公・柊一颯が、担当する3年A組の生徒が亡くなったこと、そして自分の命に寿命があるのをきっかけに起こした立て籠もり事件も終結を迎えます。彼のいう”黒幕”とは一体何なのか『3年A組 今から皆さんは、人質です』最終話のネタバレ感想をお届けします。
ドラマ『3年A組 今から皆さんは、人質です』
最終話あらすじ
ドラマ『3年A組 今から皆さんは、人質です』の前編では、3年A組の卒業式の様子が描かれています。
あらかじめ録音されていた柊一颯の声で、ひとりひとりの名前を呼び、用意されていた卒業証書を一人ずつ受け取りますが、そこには柊一颯の姿はありませんでした。
3月10日。
9話で郡司刑事と屋上に出た柊一颯は、狙撃されたものの防弾チョッキを着用していたため無事。
警察官及び関係者に、明日8時にすべてを話すと告げ一旦校舎内に戻ると、郡司刑事の手錠を外し、今回の事件を引き起した理由を告白したのです。
そして翌日の朝8時。
一颯は、マインドボイスを通じて、今回の事件を起こした発端となるものを話し始めます。
SNSというものが景山澪奈を死に追いやったのだと……。不確かな情報で左右され、自分の考えも意見も持たない危険性、心無い言葉ひとつが凶器になりうること、それはナイフが怖いと感じなくなるほど危険なものであることを、決死の思いで世界中のユーザーに訴えかけます。
しかし、その間にもユーザーたちの誹謗中傷は続きました。
「ひとりでも気づいてくれる人がいればそれでいい……ひとりから10人、そして100人、1000人に広がれば、自分がやったことに意味がある」
教室の中で生徒たちは、涙ながらに一颯の話を聞いていました。そのとき、茅野さくらは一颯がかつて「前に屋上から飛び降りる夢を見たことがある」と言っていたことを思い出し、先生は死ぬつもりなのではないかとクラスメイトに呼びかけます。
その言葉に生徒たちは、一颯を助けようと瓦礫をどかしはじめ、反対側から郡司刑事も協力し、人ひとり通れるほどの通り穴を確保できたのです。
ドラマ『3年A組 今から皆さんは、人質です』最終話の解説
柊一颯の言う”黒幕”とは何か?
柊一颯の言う”黒幕”とは、前記事で考察したSNSでした。これまでの一颯の言動や行動を考えると、やはりそうでした。
確かに、SNSは世界中の人々と繋がれるというメリットの裏に、相手の顔が見えない、相手がどんな人間かもわからない、犯罪に巻き込まれたり被害にあったりというようなデメリットもあります。
一颯が伝えたかったことは、その人がどんな人物かもわからないのに、誰が流したかもわからない情報に左右され、勝手な憶測で誹謗中傷してはいけないことでした。
このことに対して、一颯は怒っているのではなく、それに気づいて欲しいという祈りの言葉だという郡司の言葉が印象に残ります。
これまでの話の中で、武智が関わっていた元政治家やベルムズの流れを出たことで、黒幕がいると思い込んでいた方も多いでしょう。
しかしこれこそ、情報に左右されたということなのかもしれませんね。
澪奈は自分が殺したという茅野の心理は?
この作品の全話ネタバレエピソードは下のリンクから
茅野さくらは、自分が景山澪奈を殺したと思っており、一颯はさくらのためにも事件を起こしました。
景山澪奈が自殺したそのとき。茅野さくらは景山澪奈と一緒に、彼女が飛び降りたビルの屋上にいたのです。
話をしている途中で、さくらがメールの返信をしているのを見た澪奈が、自分の誹謗中傷をしていると勘違い。澪奈は、SNSにフェイク動画が公開されてから誹謗中傷を受け続け、被害妄想が起こっていました。
まさに武智と同じような状態で、みんなが自分の悪口を言っていると思い込み心が病んでいたのです。
心が折れた澪奈は、屋上から飛び降りましたが、その直前にさくらが彼女の手を握ります。しかし、無念にも澪奈の手がさくらの手をすり抜け、彼女は命を落としてしまいました。
さくらは決して澪奈の手を放そうとはしませんでしたが、結果として自分が澪奈を殺してしまったと……。
助けられなかった自分を責めていたのです。一颯が事件を起こした理由に”さくらのせいじゃない”と伝える思いもあったのでした。
屋上から飛び降りる夢を見たと言ったのは、あらかじめさくらに植え付けておくためだったのでしょう。
一颯は死ぬつもりは無く、景山澪奈のときと同じ状況に置くことで、さくらを罪悪感から救いたかったという、命がけの掛けをしたのでした。
あの時、さくらが手を差し出さなければ一颯は間違いなく死んでいたはず。それだけ彼女を、そして生徒たちを信頼していたということになりますね。
ドラマ『3年A組 今から皆さんは、人質です』最終話の感想
この作品は、SNSというものを考えさせられる内容のドラマでした。言われてみて気が付くこと、その恐怖などが浮き彫りになり、確かにそうだと納得した方も多いことでしょう。
ただ、一颯が亡くなってからも世の中は変わることなく動いています。”何か行動を起こす前に、ぐっと考えるとパッと考えが浮かぶ”これはとても重要なことではないかと思いました。
最後には、誹謗中傷を投稿しようとしたユーザーが、パソコンのEnterを押す前に考え、投稿するのを止めました。
これって、柊一颯の思いが伝わったシーンでもあります。ひとりから10人へ、そして100人へと繋がっていく、SNS本来あるべきの姿ではないかと……。
武智も事の重大さに気づき、海荷に頭を下げました。それは心からの謝罪であり、同じ立場になって初めて自分の愚かさに気づいたということでしょうね。
現代社会は文明も発展し、とても便利な時代ではありますが、思わぬ落とし穴もあるということを肝に銘じなければなりません。
まとめ
結末が分かってスッキリしたという反面、とても考えさせられる内容のドラマでした。前編での卒業場面は、ひとりひとりの顔に笑顔が浮かび、これまでにない穏やかな表情が見られました。
柊一颯も病気と闘って、余命より長く生きたことなど、その後の情報も伝えてくれたのでよかったのかなと思います。
映画化の話が出ているとか、黒幕はドラマでは明かされないという情報もありましたが、ドラマでは完結したので、もし映画になるのであればどんな方向で制作されるのかが気になりますが……。
そもそも映画化自体が分かりませんが……。いずれにしろ、これが最終回。いろいろな意味で楽しませてくれたドラマでした。