佃製作所と帝国重工が手がけた無人農業ロボット「ランドクロウ」は、いよいよモニター試験に入る一方、下町トラクターとして世間に好評価を受けている「ダーウィン」は販売予約数を200も超える大盛況。
「ランドクロウ」VS「ダーウィン」の対決も、いよいよ決着がつく時が来ました!
2018年秋ドラマとして放送された『下町ロケット2』。
年をまたいでの最終話・完結編の見どころと感想をお届けします。
国内ドラマ『下町ロケット ヤタガラス』特別編
出荷開始!ランドクロウVSダーウィン
島津を仲間に加えて最強のメンバーで最高のエンジンとトランスミッションを搭載した帝国重工の「ランドクロウ」。
しかし、一度世間の評判を落としてしまった帝国重工社製の製品は売り上げが伸びず苦戦していました。
一方のギアゴーストとダイダロスが手掛ける「ダーウィン」は、好調に売り上げを伸ばしています。
どんどん開くばかりの差に、焦る帝国重工・的場はお得意の卑怯な手にでます。
的場が裏でダーウィンプロジェクトの一員で、帝国重工の下請けでもある会社に圧力をかけ始めたのです。
効果はすぐに現れ、ダーウィンの協力企業は次々と撤退し始め、部品供給が間に合わなくなり、生産中止のピンチに陥ってしまいます。
販売失速が、自分たちの技術力が正当に評価されたわけではない航平は複雑な思いを抱えていました。
もはや、ユーザーの事は置き去りになってしまっている状態となっています…。
的場の最後そして復讐の終わり
ダーウィンのピンチに重田が呼んだ1人の男がいました。
以前、佃製作所にコテンパンにやられたヘビ男、中川が法律顧問として現れます。
中川は、帝国重工を「下請法違反」で訴えを起こします。
世間からのバッシングは厳しく、下請け叩きの首謀者としての的場は辞任に追い込まれる事となりました。
全ての復讐に幕を閉じる事ができた重田と伊丹でしたが、伊丹に残ったものとはなんだったのか…。
テレビに映る哀れな的場の姿を、複雑な思いで見つめる伊丹でした。
熱い男たちの向かう先は
専門家がダーウィンとランドクロウを比較した雑誌が発売されました。
そこにはランドクロウの性能がはるかに優っているという結果が。
「評判と実力は全く違う」という野木の言葉に元気をもらう社員達。
その雑誌の片隅には、ダーウィンのトラブル多発の記事も載っていました。
その記事が気になる様子の島津。
自分が手がけたトランスミッションの不具合が原因であることは島津にも分かっています。
しかし、佃製作所側となっている今の島津は手を差し伸べることはできませんし、人として許されない事をした伊丹を助ける気にもなれない島津なのです。
一方、不具合の報告が多発するダーウィン。
ギアゴーストの技術者氷室は、通信プログラムのバグだとか、ユーザーのせいだとか言い訳ばかり。
原因はトランスミッションにあると分かっていた氷室ですが、自分の技術ではどうしようもできなかったのです。
しまいには、たかがトラクターだろうなんて言い出して、伊丹から激怒されギアゴーストを追い出されてしまいます。
向上意欲のない技術者なんて追い出されて当然です!
そして伊丹は以前、島津に言われた「あれを本当に売るつもりなの?」という言葉の意味にようやく気付きます。
島津は自分が設計していたトランスミッションに不具合があることに気付いていて、それをそのまま搭載していたダーウィンを不安視していたのでした。
ギアゴーストは、その後、ランドクロウをリバースエンジニアリング(バラバラにしてパーツを比べてみる)で比較してみると、シャフトに違いがある事が判明。
しかし、それはすでに佃製作所によって特許申請されていた部品でした。
二度も会社を潰すことはできない重田は、伊丹に土下座でもなんでもして、ライセンス契約を取り付けてこい!と言います。
伊丹は佃製作所を何度も訪れ特許を使わせてほしいと頭を下げますが、佃製作所社員誰一人として首を縦にふりません。
いくら人の良い航平でも、
「伊丹さん、一体あなたは何のために物作りをしてきたんですか」と、伊丹を責めます。
そのうち、伊丹は佃製作所に姿を見せなくなりました。
その間にも、ダーウィンのトラブル報告が絶えないニュースを耳にし複雑な表情の島津。
同じ技術者として気持ちは分かるという航平でしたが、あんなに苦労して作り上げた技術をあんな奴らに渡すくらいなら会社を辞める!と強く反発する立花なのでした。
自然災害にも勝った!ヤタガラス
ダーウィンに対抗すべく、無人トラクター販売と並行して無人コンバインにも着手していた帝国重工。
殿村家の米収穫を前にコンバインも納品しました。
殿村直弘の父、正弘は、最新技術をすっかり受け入れ、コンピューター作業も張り切っています。
そんな中、台風が日本に上陸するニュースが流れてきました。
上陸経路は外れているからと余裕の稲本でしたが、殿村家は正弘の長年の勘から収穫が一割減となっても収穫を早めることにしました。
それを聞いた航平達も急いで手伝いに向かいます。
そして、正弘の予想が見事的中し、台風が大幅に進路変更して殿村の村へ襲いかかってきました。
慌てる稲本ですが、どう計算しても間に合いません。
そこに、ライバルであり、今まで散々嫌がらせされた殿村が手を差し伸べます。
帝国重工の財前の協力もあり、無事に全て収穫を終えることができました。
今までは自然災害に対して無力だった農家がランドクロウによって、自然災害にも勝った瞬間でした!
同じ農家仲間を見捨てるわけにはいかないと、協力し合うライバルを目にした航平の心に変化が起こります。
それは、他の社員達も同じ思いでした。
未来の農業のために、航平の決断
佃製作所に特許を使わせてもらえなかったダーウィンは、製造中止の説明会を協力企業に開いていました。
非難を受ける重田と伊丹の前に、航平が現れます。
そして「日本の農業を救うために、私たちの特許を使ってください!」と、ダーウィンに佃製の部品を使用する事を許可します。
航平の願いは、困っている日本の農家の人たちを救うこと。
その思いを重田・伊丹そして協力企業の人たちの前で熱く語ったのでした。
『下町ロケット ヤタガラス』特別編の感想
前半は、ユーザーは置き去り感の企業VS企業のドロドロした戦いが繰り広げられます。
なんだかんだと卑怯な手を使って乗り越えていた的場も、遂に失脚。
親分の沖田会長、子分の奥沢からも見放され、なんだか悲しい最後となりましたが、まぁこうなるだろうと視聴者だれもが思っていたと思います。
後半は、殿村家に襲いかかる災難を中心に物作りとは何なのか、ということを考えさせられるストーリーでした。
同じ夢を目指すもの同士、時にはぶつかり合い、時には協力し、切磋琢磨して、自分自身を高めていく…。
そんな社会に本当になれば良いのにな!と願いつつ。
やはり、このドラマは期待を裏切らず、スッキリ爽快に終われたストーリーでした。