ミステリーの女王アガサ・クリスティ原作の小説『そして誰もいなくなった』は、日本では2016年に放送されたミステリードラマです。
ストーリーは原作通りに進行し、オーウェン夫妻が所有する兵隊島に呼び出された8人の客人と、使用人2人が主体となって展開されています。
1話あらすじ
物語の舞台は1939年。オーウェン夫妻が所有する兵隊島に8人の客が正体されました。それぞれ面識はなく、繋がりも一切みられません。
また、2人の使用人は夫婦で夫は接客を、料理は妻がひとりで請け負っていました。呼び出したはずのオーウェン夫妻は留守とのことで、客人たちはそれぞれ部屋に案内されます。
それぞれの部屋の壁には、”10人の兵隊”という詩が飾られていましたが、特に気にとめる者はいなかったのです。
そしてある日の夜。8人が酒や自分の時間を楽しんでいると、突如スピーカーから8人の罪状を言い渡す音声が流れ始めます。
- エドワード・アームストロング(トビー・スティーブンス)→ ルイーザ・クリース
- エミリー・ブレント(ミランダ・リチャードソン)→ ビアトリス・テイラー
- ウィリアム・ブロア(バーン・ゴーマン)→ ジェイムズ・ランドー
- ヴェラ・クレイソーン(メイブ・ダーモディー)→ シリル・ハミルトン
- フィリップ・ランバード(エイダン・ターナー)→ 21人の男性
- ジョン・マッカーサー(サム・ニール)→ 妻の愛人
- アンソニー・マーストン(ダグラス・ブース)→ ジョンとルーシー
- ロレンス・ウォーグレイヴ(チャールズ・ダンス)→ エドワード・シートン
- ロジャーズ夫妻(ノア・テイラー、アンナ・マックスウェル・マーティン)→ ジェニファー・ブレイディー
(→の次に書かれているのが殺害されたと思われる方の名前)
彼らの罪状はすべて”殺害”ということでした。
しかし、スピーカーから流れてくる声の主は不明で、使用人のトマス・ロジャーズによると、送られてきたレコードを掛けただけということだったのです。
レコードに録音された8人の罪状。
トマスもエセルも、新しく雇われた使用人で実際にはオーウェン夫妻の顔を見たわけではありません。そう……兵隊島にいる10人全員がオーウェン夫妻の顔も素性も知らなかったのです。
音声はいたずらだと、それぞれが自分の罪を言い訳して正当化しようとしようとしていましたが、特にアンソニー・マーストンは車で2人の子供を死なせていたのにも関わらず、悪びれた様子もなく親が悪いと非難。
しかしその瞬間。彼は呼吸困難に陥り、吐血して亡くなってしまったのです。医師のアームストロングによると、彼の口の匂いからシアン化化合物による毒殺と判断。そして翌朝には、使用人のエセル・ロジャーズの死亡が確認。
外相は一切見当たらず、苦しまずに亡くなっていたとのことで、死因はわからずにいたのです。
1日に2人も亡くなったとあれば、精神状態もまともではありません。ヴェラは、食卓に置かれていた奇妙な人形に目をやり、最初は10体あったのに2人が亡くなったら2体消えたと騒ぎ始めます。
誰が毒を盛ったのか、計り知れない恐怖感に襲われそれぞれが疑心暗鬼になりお互いを疑い始めたのです。
物語のポイント
回想シーンで彼らの罪が垣間見える
彼らが、自分の身を守ろうと言い訳するなかで唯一、フィリップ・ランバードだけが自分の罪を認めていましたが、熱心な信仰者であるエミリー・ブレントは彼を猛烈に非難します。
殺戮者と言われてもそれをも認める潔さがありました。
一方で、他の7人の回想シーンからは”殺害”した様子は、この時点ではまだ窺いしれませんが、アンソニー・マーストンが子供2人を車で轢いてしまった状況ははっきりと描かれていました。
少しずつ明かされる回想から、彼らが本当に”犯してしまったこと”を読み取るのは魅力的ですし、考察の幅が広がります。
誰がどうやって8人に処罰を与えるのか?
オーウェン夫妻のことが全く分からず、分かっているのは兵隊島を所有しているということだけ。姿を見せなければ、どうやって彼らを処罰するのか?なぜ、彼らを処罰しようとするのか?オーウェン夫妻の意図はまったくわからないまま。
最初に処罰されたのはアンソニー・マーストンでしたが、飲んでいた酒に毒物が混入していたと見られるものの、誰がいつどのグラスを使うのかは分かりませんし、その状況では特定のひとりを狙うのは不可能。
彼は最初に狙われたのか、それともたまたまだたのか……。使用人のロジャーズ夫妻も同じ立場なので、毒を盛ったと考えるのは不自然です。では一体どうやって殺害したのか。徐々に明らかになっていく手口とはいったい?
8人の処罰は”10人の兵隊”通りに行われる
10人の兵隊の詩には、1人目は喉を詰まらせる、2人目は眠りにつくと書かれていました。
実際にアンソニーが亡くなったのは毒で喉を詰まらせたのが原因でした。
そして翌朝には、使用人のエセル・ロジャーズが眠ったまま亡くなっているのが見つかります。
10人の兵隊の詩の2人目も、エセルと同じ状態です。
このままでは、10人の兵隊の詩とおりに10人が処分されるということになるでしょう。
しかも、食卓に置かれている奇妙な人形……。
あれは8人が島に到着する前に、トマス・ロジャーズがセットしたものですが、なぜそれが置かれているのかも不明。
その人形が彼らを表しているのだとすれば、ひとり亡くなるごとに人形も消えるはず。
1話目を観た感想
この作品は前3話で構成されたドラマで、1話目だけ観ただけでは”謎”は解けません。ただ、10人のうち、”罪を罪”だと思ったり後悔している者もるようで、精神的にも追い詰められているようでした。
アンソニーとトマスに関しては、自らを正当化することによって”罪”とは感じていないようです。アンソニーが最初に犠牲になったのもそんな理由からではないかと……。
また、ヴェラに至っては他の人たちとは少し違うようです。彼女はもともとオーウェン夫妻の秘書として呼ばれており、他の客人たちのような”招待客”ではないことがポイントになるかも!?
分からないことばかりで、解明は難しいと思っていても3話の中にすべて詰め込まれているので、後から思えば……ということが出てくるかもしれません。
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