【アメリカン・ガール・ストーリー~メロディ1963年愛は負けない~】ネタバレあらすじと感想。デトロイトで家族と暮らす豊かな想像力と明るい性格の持ち主メロディ。将来に対してもたくさんの夢を持っているメロディでしたが、黒人差別が深刻化する厳しい世の中を知ることとなり…。
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【アメリカン・ガール・ストーリー~メロディ1963愛は負けない~】あらすじ
舞台は1960年代アメリカ・ミシガン州デトロイト。
アフリカ系アメリカ人の10歳の少女メロディ(マルサイ・マーティン)は、母親(イダラ・ビクター)と祖父(フランキー・ファイソン)と慎ましくも幸せに暮らしていました。
世間では人種差別が深刻化し、黒人や黄色人種は理不尽な理由で差別されることは日常茶飯事の出来事です。
警察すらあてにならない世の中でしたが、メロディの母はメロディに上質な教育を受けさせるため白人ばかりの小学校に通わせていました。
クラスに在籍する黒人生徒は、メロディともう1人の少女ロレイン(ダラ・イルカ)の2人だけ。
2人は学校でいつもいじめられ、ロレインは耐えきれずに転校してしまいました。
メロディも転校したいと母親に訴えるも、母は良い教育を受けられるのは白人の学校しかないとメロディに言い聞かせます。
そんなある日、洋裁店の作業場で仕事をしている母親を店内で待っていたメロディは、洋服を手に取っただけで店員から万引きの疑いをかけられてしまいます。
メロディは、黒人に対する差別を肌で感じ傷つきました。
祖父はそんなメロディを心配しますが、母親は「憎しみをぶつけられても負けない子に育ってほしい」と願っていたのです。
母親は、ピアノの優秀な才能を持ちながらも黒人であるがゆえ、長時間労働で安月給の工場などの仕事しかなく、ピアニストとしての機会は教会のボランティア演奏会のみ。
そんな厳しい生活の中でも、母親はメロディには温かい愛で支え続けていました。
そんな中、アラバマで黒人の教会で爆弾が仕掛けられ爆破されるという事件が発生。
教会の日曜学校に参加していた4人の黒人少女が犠牲になってしまいます。
子供たちが標的にされたことを知りショックを受けたメロディは、授業中に「”忠誠の誓い”はウソだ」と訴え、騒ぎを起こしてしまったのです。
【アメリカン・ガール・ストーリー~メロディ1963愛は負けない~】見どころ
メロディを支える家族
酷い人種差別が横行する中、メロディの祖父と母親はメロディに差別に屈しない強い力を与える言葉をたくさん与えました。
*
停学処分となったメロディを祖父が迎えに来ます。
今まで問題のある子とみなされた黒人の子がどんな目に遭うか見てきた祖父は、メロディを心配していると言いながらもメロディにこう言いました。
「大切なのは教育を受けること、たくさん学んで可能性を広げることだ。この国が自由を制限しようとも、メロディの想像力を制限することは決してできない」と。
過酷な黒人差別時代を生きてきた祖父の言葉は、メロディの心の奥深くまで染みていきました。
自分は友達からも先生からも受け入れられていると感じない、学校を変わりたい、と訴えるメロディに対し、豊かな教育を受けさせたいと願い転校させない母親。
母親は、戦死した父親の言葉「恐怖は人間を小さくし、愛は大きな力を引き出す」をメロディに思い出させます。
そして、差別に負けない母親の姿をメロディに見せようと、爆破された教会の追悼コンサートでピアノの演奏をすることに決めました。
差別をなくすには、どうしたらいいのか?
愛を持ってメロディに教える家族に感動します。
祖父と母親に答えるメロディ
小さいながらも世の中の理不尽さ、そして人種差別に恐怖を感じるメロディ。
母親が追悼コンサートに出席して、もし攻撃の対象にされたら……と心配のあまり、メロディはコンサート出席に猛反対します。
自分は絶対に行かないと、怒りのあまり洋服ダンスから教会用のドレスを全部持ち出しゴミ箱へ捨ててしまいました。
その後、母親の気持ちと頑張る姿勢に気持ちが変わっていくも、ドレスは清掃車に回収され時すでに遅し。
反省したメロディは、母親に演奏家がコンサートで着る衣装をリメイクして送りました。
教会が襲撃されるのでは?と不安が残り、教会の入り口で気持ちを整えていたメロディに思いがけない人たちがやってきます。
それは、クラスメイトと担任のアボット先生(フランシス・フィッシャー)でした。
アボット先生は、社会見学と称してクラスの子供たちを教会へ連れて来てくれたのです。
「私たちはひとつよ」
そういうと、アボット先生はメロディの手を強く握りしめたのでした。
【アメリカン・ガール・ストーリー~メロディ1963愛は負けない~】感想
人種差別という思いテーマでありながらも、メロディの素直さや母親の深い愛情など、心温まるストーリーでした。
また、追悼コンサートにメロディの担任が白人の子どもたちを連れて教会に来たことは驚きでした。
教師とはいえ黒人差別が横行する中、子ども達を黒人と接する場に自ら連れていくというのは当時では、かなりリスクを伴う行動だったと思います。
アボット先生の命が狙われる可能性もあるくらい危険なことでしたが、そんな信念をもった教師が最後に登場したことで、新たな希望が見えた良い終わり方でした。