【慶余年】7話と8話。范閑は二夫人と和解し、詩会でも郭保坤を打ち負かしたりと、この世界での難局を順調に切り抜けていきます。そんな中、滕梓荊の妻子に関する残酷な知らせを知り……。この記事では、ネタバレ・感想・考察をお届けします。
【慶余年】7話のネタバレ
情報屋の店
范建(范閑の父親)が滕梓荊を監禁したのは、范閑の身を守ろうとしてのことでした。
しかし、滕梓荊を友人だと思っている范閑は彼の監禁を解いてもらいます。
范建が立ち去ると、二夫人がやってきて范閑に和解を求めました。
「(范思轍を助けてくれて)ありがとう。今後はあなたが挑発しないがきり敵対しない」
*
その後、滕梓荊はすぐに解放されました。
范閑は、澹州で暗殺されかけた事件において、偽の暗殺命令をだしたのが徐雲章だったことを滕梓荊に伝えます。
滕梓荊は徐雲章をよく知らず、死を偽装している自分は姿を見せられないからと、范閑を情報屋の店に連れて行きました。
范閑が1人で店に入ると、徐雲章の情報文書を手渡され、そこには皇太子との繋がりが記されていました。
描写も詳しく証言もあるこの情報は本物だと思われましたが、范閑はどうにも腑に落ちません。
なぜなら、この件に関しては鑑査院長が自ら統括しており決して外に漏らしてはいけないはずなのに、いとも簡単に情報を入手できたからです。
そのことに疑問を抱いて情報屋の店に戻ると、もぬけの殻でした。
実は、徐雲章の情報が范閑に渡ったのは慶帝の命令によるもので、慶帝は“范閑が内庫を引き継ぐ能力があるかどうか”を試そうとしているのです。
詩の勝負
靖王世子が主催する詩会が開かれました。
詩会には、郭保坤をはじめとする才人や名家の令嬢たちがこぞって参加しています。
范閑は“鶏肉の君”に会えるかもしれないと期待していましたが、彼女の姿はありませんでした。
范閑が気落ちする中、郭保坤らと詩を競うことになります。
郭保坤らは自信満々に詩を披露し 勝ちを確信しているようでしたが、范閑はたった1首の詩で打ち負かします。
参加者の誰もが、范閑の詩を絶賛しました。
それもそのはずで、范閑が詠んだのは七言律詩の大傑作として有名な、杜甫の「登高」でした。
その後、范閑は厠に向かう途中で二皇子と出会います。
【慶余年】7話の感想
無意識の英雄
范閑と二夫人が和解できてよかったです!
二夫人はとても分かりやすい人物で、范閑に敵意を抱いていた時は嫌がらせをしていたけれど、素直に謝罪や礼を言える人でもあるため 范閑とはうまくやっていけそうな気がします。
おそらく范閑は、誰かに貸しを作ろうとか人助けをしようという特別な意識はなく、普通にやっていることが自然と誰かの助けになっていて、その無意識な英雄ぶりが人を惹きつけるのでしょう。
そんな彼の周りに自然と人が集まり 味方が増えていくといった流れは、王道ながらもとても気持ちの良いストーリー展開です。
しかも、集まってくるのはキャラ立ちしている人ばかり。
滕梓荊もその1人で、今回 真顔で「殺ししか特技がない」と言っていたのには笑えました。
范閑は二皇子とも対面しましたが、この2人も気が合いそうです。
范閑は誰の前でも堂々としているし、誰に対しても忖度せず対等に接するのが良いところ。
彼は飄々としていて無敵に見えるけれど、ごくたまに見せる普通っぽさやお茶目な一面に愛着がわきます。
「登高」の現代語訳(作:杜甫)
范閑が詠んだ杜甫の「登高」は、中国ではかなり有名な詩。
杜甫は唐代を代表する詩人で、名前だけなら知っているという日本の視聴者も多いかもしれません。
8句でつくられる律詩のルールでは、2聯3聯で対句にする決まりがあるのですが、この詩は4聯すべてが対句となっている大傑作。
「登高」の現代語訳はこちらです。
風は激しく吹き、天は抜けるように高く、猿の声が悲しげに響く。
渚は清らかで 砂は白く 鳥が飛び廻っている。落ち葉は際限もなく悲しげに散り落ち
尽きることのない長江の流れはこんこんと迫ってくる。故郷を去って万里、毎年秋を悲しい旅人の身で迎える。
体は長年、病を患っている。そんな身で独り、台に登るのだ。長年の苦労で、恨めしいことに鬢の毛はすっかり白くなってしまった。
落ちぶれ果てたこの身に追い討ちをかけるように、好きだった酒さえ 禁じられてしまった。引用元:https://kanshi.roudokus.com/toukou.html
【慶余年】8話のネタバレ
鶏肉の君との再会
二皇子は会話を通じて范閑を味方に引き込もうとします。
范閑はそれを見透かしたかのように、「自分には思い人がいて林婉児とは結婚しないから“内庫”は手に入らない」と話し、自分を引き込む意味がないことを伝えました。
二皇子と別れた范閑は、靖王世子の屋敷で“鶏肉の君”と再会します。
鶏肉の君こと林婉児は、ここの侍女かと聞かれてつい頷いてしまいました。
その身分に合わせようと思った范閑も「郭保坤の書生なんだ」と噓をつき、2人は結局お互いの名前を聞かないまま別れます。
妓女の司理理
范閑が屋敷に戻ると、王啓年が例の文書を届けに来ました。
文書には、“滕梓荊の妻子は郭保坤に殺された”と記されていました。
范閑はその文書を滕梓荊に見せ「お前がどう決めようと、俺は手を貸す」と言葉をかけます。
しかし、滕梓荊は不要だとはねつけて去って行きました。
范閑は、“滕梓荊はおそらく、郭保坤に報復するつもりだろう”と予測し、郭保坤がいると思われる妓楼街へ行くことにします。
その前に、あえて二皇子派の靖王世子を誘っておきました。
范閑が妓楼に到着すると、靖王世子に紹介された妓女の司理理と一晩を過ごすことになりましたが、司理理を薬で眠らせて外へ出ます。
涙の再会
滕梓荊が郭保坤の馬車を襲おうとすると、范閑が現れて阻止します。
「本当に郭保坤が妻子を殺したのか疑わしい。まずは真相を調べよう。もし本当に郭保坤が犯人だったなら、その時は止めはしない」と。
滕梓荊はそれに納得し、真相を調べることにします。
范閑は、まず試しに郭保坤を袋叩きにして妻子のことを問い詰めてみましたが、どれだけボコボコにしても郭保坤は妻子殺しを認めませんでした。
だとしたら文書そのものが間違っていたのかもしれないと、文書を管理していた王啓年に会いに行こうとします。
しかし、その王啓年は、范閑を尾行していたらしく范閑のすぐ後ろにいたのでした。
王啓年に妻子のことを聞いてみると、実は妻子は死んでおらず、この近くで暮らしているのだといって住処に案内してくれました。
そうして――滕梓荊は、妻子と涙の再会を果たします。
一方、外では王啓年が范閑に釈明をしていました。
「文書を書き換えたんです。滕梓荊を殺したのはあなただと思っていたから、妻子のことも殺すのではないかと心配で」
【慶余年】8話の感想
やっと鶏肉の君(林婉児)と再会できました!
范閑は彼女の前では表情が柔らかくなるのと、普通の恋する青年のようにも見えて、ますます親近感を覚えます。
でも結局 名前を聞きそびれてしまいましたし、2人ともが偽りの身分を教えたためにややこしい事になりそうな予感。
今回は滕梓荊との友情を通じて、范閑の情の厚さも描かれました。
「お前がどう決めようとも 俺は手を貸す」
この范閑の台詞からは、男らしさと力強さと情の厚さが感じられましたし、有言実行で滕梓荊のために手を貸す友情の厚さにホロリとさせられました。
一方、妹の若若も心強い協力者です。
范閑の行く場所にはどこにでもついて行きたがったり、范閑のために何かをしようとするブラコンぶりが微笑ましい(笑)
そして、司理理はびっくりするぐらい派手に登場!
彼女はきっとドラマの重要キャラクターなのでしょうね。