【九州縹緲録~宿命を継ぐ者~】49話・50話・51話あらすじ。阿蘇勒の処刑は波乱の展開を生み、下唐国の国主の殺害から将軍の殺害にまで発展します。姫野と白舟月の助けを得て何とか下唐国から脱出した阿蘇勒ですが、久しぶりに帰郷した青陽部は崩壊寸前へと追いやられていました。この記事では、ネタバレ感想をお届けします。
49話あらすじ
下唐国、阿蘇勒の処刑の日。かつて演武大会が開催された会場にて、阿蘇勒の公開処刑が行われます。
処刑を前に再度意思を確認される阿蘇勒ですが、青陽人は誰の奴隷にもならないことを理由に処刑を受け入れる姿勢を示しました。阿蘇勒は断頭台に頭を固定され、着々と処刑の準備が進められます。
ついに阿蘇勒の処刑が執行されようとした次の瞬間、観客の中に紛れていた天駆武士団は一斉に大宗主の阿蘇勒の救出に乗り出しますが、敢え無く弓兵の返り討ちに遭ってしまいます。無惨な光景に呆然とする阿蘇勒が処刑の時を静かに待っていると、そこへ姫野が現れました。
槍に加えて7本の刀を背負った姫野は大勢の鬼蝠営を相手にたった1人で立ち向かい、断頭台に固定された阿蘇勒を救出しようと奮闘します。しかし阿蘇勒を守りながらの戦いは困難を極めるうえ、隙を突かれて槍を突きつけられてしまったため、姫野は阿蘇勒に”青銅の血”の力を使うよう促しました。
たちまち阿蘇勒の目は血走り近くに落ちていた蒼雲古歯剣を手にして姫野を守ると、姫野との友情を再確認した後、共に死のうと命を懸けてこの争いに挑むことを誓い合います。程なくして白舟月が鉄浮屠を引き連れてきたことで、阿蘇勒と姫野は南淮から脱出を果たしました。
その一方、下唐国の国主である百里景洪の指示を受けて指揮をとっていた拓跋将軍は、青陽人に罰せられて汚辱をこうむることに託けて百里景洪を殺害します。
*
下唐国、南淮城。自ら百里景洪を殺め国主の座に就いた拓跋将軍の元へ、帝都の長公主の使者として百里寧卿がやって来ました。
百里寧卿は長公主の命を受けて下唐国国主に方伯の印を持ってきたとのことでしたが、突如として拓跋将軍の首に短剣を突き刺します。
49話の感想
阿蘇勒を処刑から救いにきた天駆武士団と姫野の姿はとても格好良く、思わず胸がいっぱいになりました。彼らの阿蘇勒のために戦う勇ましい姿はもちろんのこと、ここまで誰かのために命を懸けられることに感動しました。
窮地に陥った際に親友の姫野のひと言で、阿蘇勒が青銅の血をコントロールしていたのも印象的でしたし、絶妙なタイミングで現れた白舟月と鉄浮屠も良かったです。ここにきてようやく阿蘇勒の故郷の物語が進んでいくようなので、今後阿蘇勒はどんな決断をするのか楽しみです。
今のところ阿蘇勒には青陽大君になる気はないようですが、阿蘇勒には朔北部の血も流れているので、阿蘇勒が青陽部と朔北部の争いの鍵を握ることになるのでしょう。
50話あらすじ
青陽、北都城。青陽部へと戻ってきた阿蘇勒を待ち受けていたのは、父を失い崩壊寸前の青陽部の姿でした。
朔北部との争いから青陽大君の座を巡る内部抗争までも勃発していたのです。朔北部との争いに青陽部は大敗したうえ、出征は数千もの兵を率いていた木犁将軍の独断だったことから、第1王子で青陽大君の比莫干はその責任を問われていました。
しかも密かに出征したはずの木犁将軍が朔北部の狼主に待ち伏せされていたゆえ、内通者の存在が疑われます。疑心暗鬼に陥る首領たちは、今こそ真の大君が必要だと庫里格大会の開催を要求しました。
そんな首領たちに対して比莫干が正式な青陽世子は阿蘇勒だとして判断を仰ぐと、阿蘇勒は父の決定に従うとの意思を示しました。
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阿蘇勒は比莫干の家に招かれ、新しい妻を紹介されると思わず言葉を失います。そこに居たのはなんと、阿蘇勒が下唐国に向かう道中で亡くなったはずの幼馴染の蘇瑪でした。
さらに、蘇瑪は神医のおかげで失語症が治ったようで、言葉を発することができるようになっていました。その後、阿蘇勒は沙翰と再会を喜び合い、父の呂嵩との思い出話に花を咲かせます。
そこで阿蘇勒は青銅の血や祖父の存在から、呂嵩の望みについて知らされます。かつて阿蘇勒に刀術を教えた地下牢の老人は阿蘇勒の祖父で、彼もまた”青銅の血”の継承者でした。
青銅の血を持つ者は並外れた力と速さを兼ね備える反面、力を使い続けると敵味方の見境なく殺害してしまうことから暴血とも呼ばれています。阿蘇勒の祖父は最初の”暴血の戦士”と呼ばれており、青銅の血の力に飲まれて親族を殺戮してしまったゆえ地下牢での生活を余儀なくされます。
故に阿蘇勒の父である呂嵩は青銅の血を強く憎んでいましたが、同じく青銅の血を継ぐ阿蘇勒のことは憎まずに愛していました。だからこそ、呂嵩は阿蘇勒を宿命や争いとは無縁の東大陸へと送り出したのでした。
50話の感想
まさか蘇瑪が生きていたとは思いませんでしたし、話せるようになっていたので驚きました。それにしてもこのタイミングで蘇瑪が現れるのはとても怪しく、そもそもあの状況で生還していたとは到底思えません。
実は辰月の雷碧城も生きていたことが発覚しているので、蘇瑪も阿蘇勒と同様に秘術によって生き返らされたとしても何ら不思議ではないでしょう。仮に蘇瑪も雷碧城に生き返らされたのだとすれば、蘇瑪も当初の阿蘇勒のように雷碧城に操られている可能性もあるため内通者は蘇瑪という可能性も考えられます。
また、青銅の血は理性を失うため憚られてきたとのことでしたが、既に阿蘇勒は姫野の前で青銅の血の力を制御しているので、史上初の快挙を成し遂げたことになります。
51話あらすじ
帝都、天啓城。阿蘇勒から天駆武士団と息衍将軍の救出を託された姫野は、息衍将軍の牢へと辿り着きます。
姫野と天駆武士団で警護の兵を次々と倒していくと、全身を鎧に包んだ兵が現れました。息衍将軍はその兵を見るや否や昔なじみで今は長公主の犬となった者だと正体を把握しているようでしたが、到着と同時に援軍を呼ばれたため脱出を優先します。
無事に脱出した姫野と息衍将軍は、再会を喜びながらも過去や未来について語り合います。これまでは名を上げるべく敵を討つことしか考えていなかった姫野も阿蘇勒との出会いによって変化を遂げ、真の武士は町や住人を守れることなのだとして九州から争いをなくしたいとの志を明らかにしました。
すると、息衍将軍は安堵の表情を浮かべ、天駆武士団の未来は姫野に託して自身は前線から退く意向を示しました。それにはまず天啓の悪を排除しなければならないため、息衍将軍はもうすぐ着くであろう楚衛国の白毅の援軍を待ってから天啓城に向かうとの考えを明かします。
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北陸、青陽部。青陽大君の座を巡る内部抗争が続く中、朔北狼主の息子である黄金王は青陽部に最後の降伏の機会を与えにやって来ました。
すでに朔北狼主は狼騎を率いて北都城に迫っており、青陽部の早急な決断が求められます。これにはさすがの首領たちからも焦りの色が見え、今や朔北と戦う力がないとの理由から朔北部との和議を勧めました。
そこで阿蘇勒は和議交渉を買って出て、従者の鉄顔と鉄葉を引き連れ朔北部の野営地へと出向きます。朔北部の狼主に対して和議を求める阿蘇勒でしたが、その条件は青陽大君の首と女を献上するという厳しいものでした。
51話の感想
腐敗した天啓城の悪の排除に青陽大君の座を巡る問題と、いよいよ物語も佳境に入ってきており、今後の展開が楽しみです。姫野が担う天啓城の悪の排除は息衍将軍もいますし、これから白毅も合流するようなので勢力的には心配ないでしょう。
しかし阿蘇勒を取り巻く青陽大君の座を巡る問題については、辰月の雷碧城が関与しているため不安が残ります。いくら阿蘇勒が青銅の血を制御できて蒼雲古歯剣の剣主であるとはいえ、秘術に長ける雷碧城が相手となると苦戦を強いられるのは間違いありません。
そもそも阿蘇勒は雷碧城の秘術で生き返っていますし、その術がどんなものなのかさえわかっておらず、いつ何が起きてもおかしくないという点も心配です。