NHKの大河ドラマ『いだてん-東京オリムピック噺-』3話では、日本で初めてオリンピックに参加した男・金栗四三がついに”マラソン”という競技に出会いました。
かつて兄から夢中になれるものを見つけろと言われていた四三にその時が訪れます。
それでは『いだてん』3話の解説と感想をお届けします。
『いだてん-東京オリムピック噺』3話あらすじ
東京高等師範学校入学に向けた上京
海軍兵学校に落ちてしまったことから、四三は進学を諦め家業の農家を手伝うことにしました。
ある日、兄の実次が「何かやりたいことはないのか」と、四三に尋ねると、四三は言いづらそうに「東京高等師範學校」の事が書いてある冊子を見せました。
そして、そこには加納治五郎の名も……。みんなは小学校までしか行かせてもらってないのに、自分だけ中学まで行かせてもらった。そのうえ、高等師範學校にはで行きたいとは言えなかったようです。
実次は、四三が加納治五郎を超える先生になろうとしていると思い、高等師範學校への進学を薦めました。そして、努力の甲斐あって四三は合格。ついに上京する日を迎えました。
高等師範學校への進学は、幼馴染の美川秀信(勝地涼)も一緒で、ふたりで列車に乗り東京へ向かいます。不安を抱えながらも、列車の中で”冒険世界”という雑誌を見つけた四三は、少しだけ読んでみました。
その中から、三島弥彦(生田斗真)の存在を知り、東京への不安をますます募らせてしまいます。
三島家・天狗倶楽部
三島家は、千駄ヶ谷の一等地に7000坪の邸宅を構える大富豪で、元薩摩氏族。父の三島通庸は元警視総監。兄弥太郎は横浜正金銀行の副頭取で、後に日銀総裁。
母の和歌子は、おんな西郷という異名を持つ強い女性です。この三島家をモデルにした小説「不如帰」(ほととぎす)は、大ベストセラーになしました。
”冒険世界”に載っていた三島弥彦は、天狗倶楽部のメンバーで学習院に通う負け知らずの男。野球や相撲を初めとするどんなスポーツでも、負けたことがありません。本人は「負けた時の暮らしさを一度でいいから味わってみたい」と豪語するほどでした。
そして東京に
熊本から東京までの長い旅が終わり、四三と美川は東京に到着しました。御茶ノ水にある寄宿舎に向かうにのはまだ時間があると、美川が浅草を見物しようと提案します。
ところが、到着早々に四三が財布をスラれてしまい、遊ぶどころではありません。2人はそのまま御茶ノ水に向かい、夕方には寄宿舎に到着しました。
お金がなかったため、朝からなにも口にしていなかった四三は到着早々、永井舎監にご飯は何時かと訪ねてしまったのです。彼が鬼の教官と呼ばれているのも知らずに……。
すると永井は、美川がもっていた”冒険世界”を取り上げ「くだらないものだ」と叱責。美川はとっさに、それは四三の本だといい四三は初日から罰を与えられてしまうのです。
『いだてん』3話を見た感想と視聴率
毎回、実次と四三の会話のシーンは見どころのひとつですが、今回もまた冒頭から笑わせてくれました。実次は、一家の大黒柱として頼れる兄なのですが、ところどころで見え隠れする天然っぽさがいいです。
もともと天然の四三も、純粋の塊のような真っすぐな人物。中村獅童と中村勘九郎、この2人が画面を占めているのはもとより、漫才並みの絡みがとにかく面白いです!
また、四三は小さいころから体が弱かったこともあり、他の兄弟のように元気に走り回ったりできなかった四三を、実次は可哀想に思っていたようです。
何かと気にかけていたり、何とかしてやりたいという実次の思いが犇々と伝わってきます。少し走っただけでも息が上がってしまっていた幼少時代、「スースー、ハーハー」という呼吸法を自ら見つけた四三。
3話では、四三が初めて”マラソン大会”というスポーツがあることを知りました。
四三にとって”走る”ということは、移動手段でしかありませんでしたが、彼らが走る姿を見て初めて” 楽しく走る”ということを学びます。
そして本当に自分がやりたいと思ったことを感じ取ったようでした。中村勘九郎が中学生の役とは…という印象でしたが、見れば見るほど違和感がなくなってきました。
また、生田斗真演じる三島弥彦、これもピッタリな配役です。特に、セリフの中にある「ぼかぁ」という言葉。僕はね、という言葉を当時の言い方でいう「ぼかぁね、敗北を味わいたいと思ってるよ、ぼかぁね。」
このセリフの言い回しも時代を感じさせてくれて最高でした。視聴率は13.2%と前回の12.0%から1.2%上昇しています。観ると絶対に次も観たくなるドラマなので、ぜひおすすめです。