「馭鮫記(ぎょこうき)前編」あらすじ全話をネタバレ有りで最終回まで詳しく紹介。本作は、洪婉玲著書のロマンス小説「The Tale of the Merman」を原作とする中国のファンタジーラブ史劇です。
ヒロインは「夢幻の桃花~三生三世枕上書~」のディリラバ、相手役は「花様衛士~ロイヤル・ミッション~」のアレン・レンが務めます。
「馭鮫記 前編」全話一覧
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「馭鮫記」第1話:御霊師
※本記事は、物語が前後する箇所があります。
九重の天の上の仙界に、天仙と地仙が誕生しました。天仙は厳格に秩序を守り、地仙はしばしば禁を犯していました。掟を破る者たちを教化する天仙の精鋭を御霊師と呼びます。
天仙の世界では地仙との恋は御法度で、中でも南方の万花谷ではこの禁令が遵守されています。しかし、万花谷の御霊師の紀雲禾は運命を信じておらず、自分は自由だと雪原を走り回っていました。
これは、かつて紀雲禾が愛した鮫人の長意から自由であるよう言われていたからでした。ところが、そんな言葉とは裏腹に実際の紀雲禾は長意に囚われる身であり、常に長意の目の届く範囲にしか居られなかったのです。
紀雲禾がこうなった理由は遥か前に遡らなければならないとして、時代は遥か前の万花谷へと移ります。
万花谷。紀雲禾は、祝余仙草を摘みにきた姑獲鳥と対峙します。そこへ御霊師の瞿暁星も加勢し、ようやく姑獲鳥を捕らえることに成功しました。
姑獲鳥は息子の死を受け入れられず、他人の雛を盗んで我が子として育てようとしていたのでした。最初こそ激しく抵抗した姑獲鳥も紀雲禾に教化され、心を改めて仙師府で罪を償うことを受け入れます。
その際、紀雲禾は姑獲鳥の霊丹を受け取りました。
歴風堂。谷主の息子の林旲青は護法の座に就くべく、暴れ犀の霊丹を谷主の林滄瀾に献上します。古傷に効く霊芝というキノコを谷主を始め長老たちの分まで用意していた林旲青に一同が気をよくしていたところ、紀雲禾が颯爽と現れます。
紀雲禾は林旲青のような心付けはないとしつつも、先程手に入れた姑獲鳥の霊丹を掲げました。
これには長老たちも驚きを隠せず、紀雲禾が凶暴な姑獲鳥を降伏させたなんて信じられないとざわめき立ちます。護法の座は霊丹の入手方法が決め手となり、林旲青とは反対に相手を殺すことなく教化した紀雲禾に与えられました。
こうして紀雲禾は林滄瀾から私蔵の宝2つと昇格の祝いの品を授けられますが、林滄瀾は息子である林旲青よりも手柄を得た紀雲禾を面白くないと思っているようでした。
1ヶ月後。紀雲禾は張仙使に呼び出され、汝菱(順徳仙姫)が万花谷に押送した者が封じられた箱を開けるよう言い渡されます。箱は仙師府の金符で厳重に封印されており、箱の中に相当な切れ者がいることを意味していました。
あまりの異常さに紀雲禾の仙侍の洛綿桑と瞿暁星が止めに入るも紀雲禾は聞く耳を持たず、面白がって箱の封印を解きます。すると、中から現れたのはキラキラと輝く大きな尾を持つ東海の鮫人でした。
「馭鮫記」2話:鮫人の教化
万花谷。鮫人を侍者にしたいという汝菱(順徳仙姫)の願いを叶えるため、御霊師の紀雲禾と谷主の息子の林旲青が鮫人を手懐けることになりました。
紀雲禾が名乗りを上げたのは己の未来を守るためで、実は紀雲禾には仙侍の洛錦桑と仙島で自由に暮らすという夢があったのです。
とはいえ、もしこのまま林旲青が鮫人を馴らして谷主になれば研磨石である紀雲禾は用済みとなってしまうゆえ、これが紀雲禾にとって最後のチャンスでした。
そこで紀雲禾は全財産を叩いて鮫人にご馳走を振る舞ったり、長年かけて作った聖薬の凝雪丸までも惜しむことなく使い、鮫人の友人になろうと試みます。
こうして鮫人の友人になることで心を開かせ、鮫人が自発的に汝菱の侍者になるよう仕向けていきます。
徐々にではあるものの鮫人が紀雲禾に歯向かうことが少なくなってきたのに対し、力技で鮫人を服従させようとする林旲青は強情な鮫人に手を焼いていました。
鮫人はどんなに厳しい拷問を受けようが屈服することはなく、いまだにひと言も言葉を発することすらありませんでした。
このままでは埒が開かないと考えた林旲青は紀雲禾と鮫人の間に水を差し、林旲青は純粋で素直な鮫人の性格を利用して紀雲禾が罪人に善意を施すのは偽善だと吹き込みます。
紀雲禾の優しさが偽りだったと聞かされた鮫人は眉を顰め、物思いにふけります。
その頃、紀雲禾は谷主の林滄瀾に呼び出されていました。林滄瀾は鮫人の教化の際に紀雲禾が林旲青を負傷させたことを知り、紀雲禾を呼び出したようでした。
慌てて謝罪をして罰を受け入れる姿勢を見せた紀雲禾に対し、林滄瀾は責めることはせずに分をわきまえて何を得て何を失うかをよく考えるよう言い渡します。そして、邪心は抱いてはならないと強調しました。
その後、紀雲禾は約束していた凝雪丸を手渡しに鮫人の元を訪れます。林旲青が鮫人に自分の悪口を吹き込んだことを知らない紀雲禾は、鮫人とさらに仲良くなろうと楽しげに自分の名前を書いて教えていました。
ところが、鮫人の脳裏には林旲青の言葉が焼きついており、紀雲禾に対する疑念に駆られていました。ついには紀雲禾の腰に携えた令牌を奪い取り、抵抗する紀雲禾の腕を押さえつけます。
鮫人は紀雲禾の腕が赤黒くなっていることに気づくと目を丸くし、紀雲禾に令牌を差し出して説明を求めます。すると、紀雲禾は自分も掟に縛られる身で令牌も名誉や地位の印ではなく、逃げ出せるものなら逃げ出したいとの心情を吐露しました。