「君子盟」第17話、第18話、第19話、第20話のネタバレあらすじ。
玄機の言に因れば、20年前の摩籮村で起きた事件は、張屏の母によって蘭珏の父が騙され、南棟軍との戦に敗れるきっかけを作ったことで、太后の命を受けた玄機による誅殺事件だったそうです。
でもそれならなぜ、はっきりそう記録に残していないのか。謎は残るものの、科挙の日程は近付いてきました。
ある目的のため暗躍する麗しき官僚と天才的推理力を持つ貧乏書生。
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正反対の2人が都で起きる不可思議な事件を解決しながら、宮廷内の「禁断の秘密」へと迫る-
美しき男たちの熱い絆とスリリングな展開に胸躍る、極上のミステリー時代劇!
17話:鏡湖の小舟
中書侍郎の甥である馬廉はもうすぐ科挙の考試があるのに伴月楼を貸し切って飲んでいます。彼は太后の兄の婿になることが決まっている名家の息子で、権威をかさに試験もバカにした様子でした。
寒門の子弟たちは仕方なく、街はずれの鏡湖に舟を出して酒を飲み管を巻いています。
土笛の音がして、舟の前を遮るように別の舟が近寄ってきました。「私はあなたの悩みを解決するためにここに来ました」そう言って見知らぬ男は学士たちに声を掛けます。
私は鏡湖氏です 人の心を読み あなたの過去を知り 未来を予言することができます。
寧安城下に戻って来た張屏は、陳籌から鏡湖氏の噂を聞きます。鏡湖氏は水鉢を使って、人の心を読み、解決法を授けると言います。
鏡花水月が使えるので、もしかすると摩籮村に所縁のある人物かもしれません。摩籮村の事件の手がかりとなる人は皆死んでしまったので、その鏡湖氏に会えれば何かまた手がかりが得られるかもしれないと、張屏たちは鏡湖氏のお告げを聞いたという許という人物に会いに行きます。
許氏は薛如編纂による「四書真注」をかねてより探し求めていましたが、鏡湖氏は善行積んで徳を収めるよう助言しました。そこで、許氏は流民や乞食に食べ物を配って歩いたところ、乞食の一人がお礼にと包みをくれたというのです。そしてその中には求めていた書物が入っていました。
乞食の登場の仕方はあまりにも偶然の一致過ぎるので何か仕掛けがあるのだろうと張屏は落胆しましたが、鏡湖氏のお告げの噂は科挙を受験する学士たちの間で知らないものはいないくらい騒ぎとなって、毎晩鏡湖には学士たちが集まり鏡湖氏を待つようになりました。
ある夜、土笛の音がして皆が騒然となると、湖の水面にたくさんの折り鶴が浮かんで流れてきました。慌てて拾い上げると書かれていた文字はこう書かれていました。
“貢院で行われる秋の科挙は 癸酉に鬼が現れる“
一方、太后と皇帝の綱の引き合いにより、蘭珏は科挙の試験官長を任されることになりました。他には柳太傅や刑部の竇尚書、王硯の父の王大尉など堅物揃いです。
試験が行われる貢院では、試験問題をそれぞれが記したのち当日まで封印して鍵をかけて保管し、当日くじで公正に引かれた問題が出題されます。
試験の前日には、学士たちが集まって試験の席次をくじ引きで決めます。癸酉に鬼が現れるという予言があったので、誰もがその席を引きたくないと戦々恐々です。結局癸酉を引き当てたのは、陳子觴という学士でした。
彼は家族を養うために文章を書くのを生業としている貧しいながら有能な学士でしたが、くじをあてると蒼白な顔をして会場を後にしてしまいました。
試験の当日、癸酉を引き当てた陳子觴はいつまで経っても会場に現れません。張屏は相変わらずの好奇心から癸酉の席の硯や筆を調べますが特に異常は見当たりません。問題を抽選する時間になり、皆が抽選会場へ移動しました。
いざ問題を抽選しようとしたとき、土笛の音が響き大きな凧が空を飛んできました。凧からは紙が舞い落ちてきます。我先に皆拾うと、そこにはなぞかけのような文章が書かれていました。
庶人似可逐鰲頭
重路行遍心目明
若无足錠金鑲玉
空有正域四方情
庶民が鰲頭(科挙の第一位)に立つ
澄んだ心と目で 困難な道を歩む
もし足元を翡翠や金で飾れない者は
ただ空だけが 四方に存在する
これを拾った学士の一人がつまり 金がない人間には願望が実現できない、誰かが試験官を買収したと騒ぎ立てました。
特に中でも声の大きな学士は、足元の翡翠とは蘭珏のことだと言い張り、癸酉の席で妙な動きをしていた張屏と共謀していると告発します。
蘭珏は刑部の王硯に調べさせようと言いますが、王硯は父と上司が試験官のため、部外者ではないことからこの事件を取り扱うのに相応しくないと判断されました。
張屏を試験場から追い出せと皆が騒ぎ始めたので、蘭珏は公平を期すためにと私は試験官の職を辞すると宣言しますが……
18話:科挙の不正
邵志と 季文が一時的に礼部を代表し蘭珏に変わり、試験問題の抽選を行うことになりましたが、礼部は蘭珏の部下なので不正を行う可能性が残されると学士たちは納得しません。
そこで、全く無関係な人間に抽選させようと、中庭を掃除している老人に目隠しをして選ばせることになりました。
老人が引いた問題は、柳太傅によって出題された”以徳定国” ”徳を以て国を定める” という課題でした。受験生たちは、その題に従って、作文をします。
しかし、張屏は試験よりも鏡湖氏の散らした四行の詩句や、癸酉を引き当てて試験会場に現れなかった陳子觴のことが気になって仕方ありません。
試験期間の三日を待たず、翌日には回答を書き上げて提出しようとします。すると、馬廉は張屏を遮るようにして割り込んで解答用紙を提出します。
一番乗りで提出したかったようです。張屏は提出する際に、ちらりと馬廉の回答に目を通しました。
馬廉は、貢院を出る際に玄関で待っていた使用人に不遜な態度をとり罵倒します。張屏がチラッと見かけると何を見ているんだと毒づく次第で、傲慢な雰囲気でした。
試験が終わった足でそのまま、張屏は陳子觴の家に向かいます。そこで彼は、沐浴中に転んで頭を割って死んだかのように見える陳子觴を発見します。
蘭珏はというと、試験の混乱を避けるため牢に入って謹慎していました。水で机に鏡湖氏の詩句を書き、何を表そうとしているのか探ろうとします。すると、牢の扉が開けられ張屏が入ってきました。
わだかまりの残る蘭珏は張屏を無視しようとしますが、狭い牢の中に二人きり重い空気が流れます。食事が運ばれてきて、張屏は二人の茶碗に差し入れた卵やおかずをのせ始めます。
空腹を覚える蘭珏。食べないのかと声をかけると、我慢できず、蘭珏も同じ卓に座って食べ始めます。
なぜここに来たのか蘭珏が尋ねると、張屏は陳子觴の事件について話し始めます。陳子觴の部屋に入ってみると彼は荷物をすべてまとめてまるで科挙を受けに行くというよりも夜逃げしようとしている様子でした。
彼の本箱にはいくつかの草稿があり、その中には馬廉の答案と全く同じ内容がかかれた”以徳定国”の作文も見つかりました。どうやら、試験の不正は事前に陳子觴の書いた文章を馬廉が提出するという形で行われたようです。
しかし、どうやって試験の問題が当日会場にも来なかった陳子觴に前日以前にわかっていたのでしょうか。蘭珏は思い当たることがあると言います。
それは鏡湖氏の詩句の中に、”以徳定国”が隠されているというのです。句は表面的には科挙の不正を風刺しているけれども、実態は試験の課題を表していたのです。
重要な証拠を託された蘭珏は、この件を解決してくれたことを感謝はしてもお互いの路はやはり異なると宣言します。
父に起きたことは張屏のせいではない、張屏を責めるつもりもない。でも再び親交を持つのはどうしても躊躇すると胸の内を述べます。
太后と皇帝の前で陳述する蘭珏。陳子觴が試験の前日に殺されたこと、彼の家にあった原稿が試験の解答であり、馬廉の答案と全く同じだったこと、鏡湖氏の予言の句を解釈したところ、確かに試験の課題を示していたことなどが述べられます。
試験問題を作成した柳太傅もは王大尉と竇尚書も、徹底的な調査をと申し出ます。
馬廉が太后の姪の夫になる皇帝からは従妹の夫になることから、皇室が隠蔽していると思われてはならないと、皇帝も食い下がり、事件は追及されることになります。
しかし、刑部は竇尚書が率いる立場のため、事件を扱うわけにはいきません。白羽の矢が立ったのは大理寺の陶寺卿でした。
癸酉の幽鬼と以徳定国の二つを鏡湖氏が言い当てるには二回の抽選を必ず引き当てさせるよう改ざんする必要があります。
特に、問題文は目隠しをした老人に選ばせる必要があります。果たして、蘭珏はこのからくりを解くことが出来るのでしょうか……
19話:馬廉の不在証明
陳子觴の家に落ちていた馬廉が常に下げている金の飾りの欠片を大理寺卿に証拠として提出した張屏は、それでも陶寺卿が馬廉を庇うのが腑に落ちませんでした。
馬廉は午後八時からずっと伴月楼に滞在していたことを結香という女郎が証言していたし、陳子觴の死亡時刻は近所の人が目撃した午後十時以降だと言い張ります。
科挙合格者の推薦と異動を担当する吏部の程白が誘った宴会を馬廉は突然当日になって断ったり、酒楼の人々は馬廉が給仕に多額の銀貨を与え気配りをしたと証言し、いずれもまったく理に適わないのです。
それでも陶寺卿は、犯人は通りすがりの強盗でその強盗は事件を太后や皇帝が興味を示していると聞き、恐れをなして自殺したので、事件はこれで決着がついたと言います。
馬廉の答案が陳子觴の草案と一致していたのは、事前に馬廉が予想問題の草稿を書いていたものを陳子觴が偶然見かけて書き写したものだという証言を得ているそうです。
一方蘭珏は伴月楼の結香や、陳子觴をその夜見かけたという近所の男の話を聞きます。
結香は確かに馬廉は午後八時から翌朝まで一緒にいたと言い、近所の男は畑から小麦を運び込むため雨の中慌てていて、陳子觴にぶつかったがたまたま二更(夜十時)を知らせる時報がその時聴こえたので時間は間違いないと言います。彼は謝ったものの、何も言わずに家に入って行ったとのことでした。
大理寺が事件を結着させたと聞いて、王硯は刑部が手が出せないことを悔しがります。蘭珏に、「やはり張屏と協力すべきだ」と説得します。
張屏は伴月楼に結香の話を聞きに来ますが、貧乏人は帰れと邪険に扱われます。そこへ蘭珏が現れ、一緒に中に入るよう声をかけてくれました。
蘭珏が結香と話す間、張屏は部屋の様子を伺います。そしてこの発芽したばかりの小麦を見つけて、結香に偽証を取り消すよう促します。
陳子觴の近所の男は、荷車がぶつかって誤って横転してしまったとき陳子觴に麦の穂をいくつか浴びさせてしまいます。
実はそれは背格好が似た馬廉で、彼は陳子觴を殺した後、陳子觴の服に着替えて伴月楼に戻ってくる際に麦の穂をつけたまま戻ってきてしまったので、それが結香の部屋で発芽していたのです。
結香は偽証を認め、改めて証言し直しました。
戻る道すがら、蘭珏は張屏を食事に誘います。その席で、張屏は「蘭林の死に本当に母が関わっていたなら評決を覆すため真相を皇太后に報告する」と約束します。
結香の証言や、証拠をすべてそろえて追及しても陶寺卿は馬廉が無罪で、犯人は強盗だという決定を覆しません。
その頃、鏡湖氏は新たな予言をしていました。陳子觴の葬儀の場で、死んだ彼が恨み言を言うというのです。
集まった人々は冥府でも彼が学者になれるようにと持ち物を焼いて弔おうとしたところ、筆箱が白く発光して燃え上がりました。
人々は陳子觴の霊を慰めるために馬廉と大理寺への不満を王宮で訴えようと騒ぎ始めます。馬廉が太后の姪の夫となる身のため、陶寺卿は証拠が明らかでも太后の怒りを買いたくないので、事件を蒸し返したくなかったのです。そして太后に対抗できるのはただ一人・・・・・・
20話:未完の奇詭夜談
学士たちは大理寺が馬廉を庇ったことを疑いこの事件の再審を求める訴えを朝廷に提出しました。
そのことで皇帝が自ら動き、張屏の提出した証拠に基づいて馬廉を再逮捕し尋問したところ、ようやく殺人と詐欺の罪を認めました。民心は離れ、朝廷や大理寺の隠蔽に怒りを覚えています。
皇帝は太后に千秋儀完成の祝いに恩赦を行い、罪人を赦し一年間は税金を免除することで民心を取り戻すことを提案します。太后はやむなくその案を認めました。
大理寺の陶寺卿は職務怠慢ではなく、故意に引き取り手のない遺棄死体を殺人犯として検挙したことから、朝廷と法を欺いたとして死刑を申し渡され連行されました。
蘭珏と張屏は牢に繋がれている馬廉に会いに行きました。立派な家庭環境なので、科挙にたとえ落第しても仕官の道は開けている。なぜ殺人までして科挙に拘ったのか、鏡湖氏の指示に従ったのか。
馬廉は自分自身が家柄がいいだけの能無しだという自覚があったので、「どうしても科挙に合格して名を揚げたかった」と答えました。都に来てあらゆる手立てを探して回ったところ、ある人物が答案を高値で売ると申し出ました。
陳子觴を殺してしまったのは事故でした。既に金は支払い済みで話はついていたのに、座席の抽選の時に予言された癸酉を引き当てたことで、科挙の不正を激しく後悔して突然渡すのを拒んだため、衝動的に殺して奪ってしまったとのことです。
万が一事態が明るみに出ても主審官は私の味方だとも言っていたのを聞き、二人は不審に思います。
もう一つの謎。なぜ掃除人が目隠しをした状態で “以徳定国” を引き当てることが出来たのか。
試験用紙の封印にカビが生えていたことから、もち米をすりつぶし薄い糊状にしたものを墨汁と混ぜ合わせて封印の文字を書いたことを張屏は探り当てます。
そうすると、見た目は変わらないのに触ると表面が少しべたつくため、目隠しした状態でも他と選別することが出来ます。
老人を問い詰めると、邵志に金で頼まれてこれを選択したと白状します。礼部の邵志と学士の何宣は鏡湖氏と共謀していたのです。
邵志は親の仇である戸部尚書の楚方同の不正の証拠を集めることを鏡湖氏が助けてくれた恩人だと言いました。
ただ、科挙の不正を行うために戸部尚書を陥れて邵志を抱きこむのはあまりにも大袈裟で、手間がかかり過ぎていました。鏡湖氏の本当の目的は一体何だったのでしょう。今回、断罪されたのはもう一人。
張屏は、陶寺卿はこの事件を担当した、ただの部外者だと思いましたが、蘭珏は馬廉の証言が気にかかっていました。
“万が一事態が明るみに出ても主審官は私の味方だ” これは、主審官が大理事の陶寺卿になることが事前に予見できていたのではないかと思ったのです。
戸部尚書の楚方同が失脚したのち、科挙の試験官になり得る高官は刑部尚書の竇方しかおらず、事件を担当できるのは大理寺しかあり得ないことを鏡湖氏は知っていました。
そして、馬廉は太后の姪を娶る予定の人物だったため、臆病で事なかれ主義の陶寺卿が隠蔽工作を行うのは自明でした。
では、なぜ陶寺卿が狙われたのか。摩籮村の事件と彼は関係があるのでしょうか。
二人は摩籮村の事件の結審をしたのが陶寺卿だと気が付きます。守りから攻めに転ずるついに新たな 突破口を発見したと興奮する蘭珏。
復讐である以上、鏡湖氏は陶周風の死を望んでいるけれど、もし皇帝に嘆願して助命すれば鏡湖氏は新たな手を打たなければならなくなります。
家に戻った張屏は調べ物をしながら転寝していましたが、気配に目を開けます。簾の向こう側に人影がありました。
人影は、張屏に久しぶりだと声を掛けます。久しぶりだと言ったのはどういう意味なのか、20年前の事件とこの人物は関わりがあるのか。
鏡湖氏は摩籮族のためにここに来た、「計画が全て達成されたとき張屏もその因果を理解するだろう」と答えます。
死体回収者に因吉天の伝説を話し、鳳凰の頭を高値で買い取り玄機を殺したのも彼の差し金だと彼は答えました。村を滅ぼした時に彼らがどんな罪を犯したか、同じ過ちを繰り返させて同じ罪で死なせるつもりなのでしょうか?
張屏が朝目を覚ますと、書物を抱えていました。”奇詭夜談 第五十章 :血粉の幻影”。そしてその筆跡は陶寺卿の書く文字にそっくりでした。
もしかして陶寺卿は…慕叶生なのでしょうか?
奇詭夜談の第五十章を読むと、それは都で起きた殺人事件でした。恵安堂は一夜にして血と霧に包まれ、家族九人が即死したとされます。
慕叶生が捜査するとそれは宮中の太医が開発した毒が原因と分かりました。20年前、陶寺卿は誰が犯人か辿り着き、それが原因でこの書は未完のままになってしまいました。
陶寺卿に尋ねると最初は何も語らないと言い張りましたが、張屏が慕叶生の言葉を引用すると陶寺卿も口を開き始めました。
「もし誰もが真実に拘れば闇が隠れる場所は なくなるはずだ。」
死体回収人が復讐のために殺した薬局の一家。事件現場で太医署で使われていた薬の小瓶が見つかりました。
そしてそこから、当時はまだ権力が万全ではなかった太后のために政敵を毒殺するための毒を作る、懇意の太医がいたことがわかりました。皇室天監の玄機、工部の常巍、太医署の男が一緒に南下していくのを目撃した役人も見つかりました。
相手が悪すぎる。虫けらがどうして木を揺らすことができるのか。
会話がほぼ終わったとき、太后付きの應熹公公が牢にやってきました。その場を離れたがらない張屏を、王硯に迷惑がかかると押し止めて引き離す蘭珏。
事件の犯人を知っていたのにそれを隠蔽した、陶周風への鏡湖氏の復讐は果たされました。