ソニー・ピクチャーズ/トライスター・ピクチャーズは、「フォレスト・ガンプ/一期一会」の監督ロバート・ゼメキスが主演のトム・ハンクスとロビン・ライトと再タッグを組んだ、「Here ヒア」のリリースが11月に決まったことを発表したとVariety誌が報じました。
本作は、リチャード・マグワイア著書の同名グラフィック・ノヴェルに基づいており、複数の家族と彼らが住んでいる特別な場所についてのオリジナル映画だと説明されています。
ロバート・ゼメキスとトム・ハンクスの「Here ヒア」が11月リリース
「フォレスト・ガンプ/一期一会」の監督ロバート・ゼメキスと脚本家エリック・ロス、主役のトム・ハンクスとヒロインのロビン・ライトが集結した「Here ヒア」が11月にトライスター・ピクチャーズからリリースされます。
本作は、11月15日(現地時間)にアメリカのロサンゼルスとニューヨークで独占公開され、11月22日に限定劇場公開、11月27日からアメリカ全土で公開される予定です。
この夏で「フォレスト・ガンプ/一期一会」の初演から30年になり、ロバート・ゼメキスはエリック・ロスと再チームを組み、リチャード・マグワイア著書の同名グラフィック・ノヴェルに基づいた脚本を書きました。
本作は、複数の家族と彼らが住んでいる特別な場所についてのオリジナル映画だと説明されています。
物語は世代を超えて人間の経験を最も純粋な形で捉え、愛や喪失、笑いと人生を描きます。キャストには、「フォレスト・ガンプ/一期一会」のトム・ハンクスとロビン・ライトを始め、ポール・ベタニー、ケリー・ライリー、ミシェル・ドッカリーも名を連ねました。
また、最新のAI技術を使用しており、作中でトム・ハンクスとロビン・ライトを若返らせます。これは、AI企業のMetaphysic社とハリウッドエージェンシーCAAのパートナーシップから生まれた技術で、ディエイジング技術によって若返りが可能になったとのこと。
「Here ヒア」では異なる年代の物語が描かれるため、演者の若い頃のバージョンが必須でした。そこでMetaphysic社のAI技術を使い、これまでは不可能だった方法を可能にしています。
「フォレスト・ガンプ/一期一会」
「フォレスト・ガンプ/一期一会」は、ウィンストン・グルーム著書の同名小説を脚色して製作された1994年のヒューマンドラマ映画です。監督はロバート・ゼメキス、主演はトム・ハンクス、ヒロインはロビン・ライトが務めました。
日本公開は1995年で興行収入は38億円に上り、全世界での興行収入は677億ドルを記録した大ヒット作です。
作品としても高い評価を受け、アカデミー賞とゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞と第63回ナショナル・ボード・オブ・レビューで複数の賞を受賞しています。
「フォレスト・ガンプ/一期一会」の受賞歴は、以下の通りです。
第67回アカデミー賞
- 受賞:作品賞、監督賞、脚色賞、主演男優賞、編集賞、視覚効果賞
- ノミネート:助演男優賞、撮影賞、作曲賞、美術賞、メイクアップ賞、音響編集賞、録音賞
第52回ゴールデングローブ賞
- 受賞:ドラマ部門作品賞、監督賞、ドラマ部門主演男優賞
- ノミネート:脚本賞、助演男優賞、助演女優賞、音楽賞
第48回英国アカデミー賞
- 受賞:視覚効果賞
- ノミネート:作品賞、監督賞、脚色賞、主演男優賞、助演女優賞、撮影賞
第63回ナショナル・ボード・オブ・レビュー
- 受賞:作品賞、主演男優賞、助演男優賞
「Here ヒア」の原作について
「Here ヒア」の原作は、アメリカ出身のアーティスト兼ミュージシャンであるリチャード・マグワイアが手掛けた、グラフィック・ノヴェル/アートブックです。
コミック形式ではあるもののこれまでのコミックとも異なり、1コマに異なる年代の物語が描かれています。
こうしたジャンルを生み出したのはマグワイアが初で、これまでになかった全く新しい文学を26年間の歳月をかけて生み出しました。
最初は僅か6ページの短編で”アメリカのRAW”というコミック雑誌に掲載されましたが、そこから26年もの時間をかけて300ページに拡張した単行本が出版されました。
「Here ヒア」では、ひとつの部屋の片隅だけを描いており、そこに複数のコマが配置されています。その部屋で起きた異なる年代の物語が、1つのコマで表現されているのです。
マグワイアがこの手法を思いついた経緯が非常に興味深く、当時住んでいたアパートに引っ越したばかりだったマグワイアは、そこに以前住んでいた人のことをよく考えていたからとのこと。
そこで漫画のコマを中央で割ったスケッチを何枚か作り、かつてそこに暮らしていた人の生きていた時間と、自分の生活する現在という2つの”時間帯”を1度に見せられるようにしたのが始まりでした。
もう1つのヒントとなったのは、「Here ヒア」に取り組み始めた1988年に登場したマイクロソフトの”Windows”です。マグワイアはパソコンを持っている友人から、パソコンの画面上で同時に異なるウィンドウを開くことができることを教えてもらい、「Here ヒア」のアイディアを閃きました。
なお、単行本化するにあたり、作中のリビングルームはマグワイアの生家をベースとしたり、家族の写真を使うなどして物語に深みを出しています。
とはいえ、決して回顧録を描いているわけではないため、ヨーロッパから入植者が来る1万年前のアメリカ先住民から遠い未来にまで目を向け、”何もかもがいかに一過性のものであるか“ということについての物語を描きました。
そのため、作中では過去、現在、未来での様々な出来事が描かれていますが、その一方で1人の女性が何もない部屋で窓の外を眺めているだけの静けさを感じるシーンもあります。
これはマグワイアのお気に入りのイメージの1つで、部屋が空っぽだからこそ感情を込められると説明しています。
このようにあくまで「Here ヒア」は読み手に解釈を委ねている作品なので、原作を忠実に再現するのであれば映画でもセリフが少ない形になるでしょう。