上古情歌とは
長相思の前日譚です。主軸となるのは、小夭の母、宣陽婼 (西陵珩) と、赤雲 (赤宸) の愛の物語で、大荒が三つの大国から二つの大国になるまでのお話です。
凌雲晟侖 (皓翎王) がなぜ、愛しながらも宣陽婼を手放したのか。なぜ絶大な力を誇り、宣陽 (西炎) 城下まで攻めてきた赤雲が宣陽婼に敗れて二人が共に亡くなったのか。
なぜ宣陽の王子たちは次々亡くなり、王孫の瑲玹や小夭が取り残されることになったのかなどの謎が明かされるので、是非こちらも興味がある方は参考にご覧ください。
上古情歌と長相思のキャスト対比
大荒地図
かつては西炎(宣陽)、辰栄(玄牧+若疆)、皓翎(凌雲) の三大国が並び立っていましたが、辰栄(玄牧)王が亡くなったのち、西炎(宣陽)から宣陽婼(西陵珩–玖瑶の母)が皓翎(凌雲)王へ嫁ぎ連姻を結んだことから、連合軍となった両国と戦った辰栄が滅び、領土はすべて西炎に併合されました。
戦の途中までは赤宸(赤雲)将軍が率いる、辰栄軍が西炎城下まで攻めてくるほど優勢でした。大荒の諸氏族は、圧倒的な強さを誇る赤宸(赤雲)に断絶の憂き目にあったり、半ば滅ぼされました。
西炎王室にとっても、この戦いで嫡長子、第三王子、第四王子を失いました。特に、第四王子・仲意(知若)は西炎王室内での王位継承争いの私怨のために、第九王子・夷澎による陰謀で若水氏六千人の兵とともに見殺しにされたことから、妻の昌仆は仇を取り自害します。
このことによって、西炎瑲玹は両親を失います。
西炎王の要請により、赤宸(赤雲)がかつて愛した宣陽婼(西陵珩)が大姫将軍となって挑み、両将軍が相討ちとなったため、辰栄軍はその後総崩れとなり、洪江(興汒)大将軍が率いる一部の残党だけが、清水鎮の奥の森に逃げ込み、辰栄義軍となりました。
宣陽婼(西陵珩)の殉死により、皓翎玖瑶は母を失います。
折悪しく、皓翎(凌雲)では五王の反乱が勃発し、宮廷は乱れていて、母の庇護のない幼い玖瑶を育てられる環境ではなく、仕方なく玖瑶は玉山の王母に預けられることになりました。
玉山
なぜ幼い小夭が玉山に預けられたかというと、過去の経緯があります。
玉山王母(阿玉)はかつて辰栄(玄牧)王、西陵缬 (木青廖若)と三人で大荒を旅してまわる義兄妹でした。王母は辰栄王を愛していましたが、彼は西陵缬を愛していました。ですが、西陵缬は旅の途中で出会った西炎 (宣陽) 王に嫁ぐことを決意します。
三人の旅は終わりを告げ、西陵缬を愛したままで玉山王母の気持ちを受け取れないと、辰栄王は彼女の告白を断ります。王母は霊山の玉山に一生涯籠り誰とも結婚しないと誓います。
そのため、玉山は生き物の気配すらない静かで時が止まったような場所となりました。玉山は霊力が強く、癒しの力に溢れています。霊力を養う蟠桃の実もここで収穫できます。
瀕死の重傷を負った西陵珩(木青寞)を偶然通りかかった皓翎王(凌雲晟侖)が助けることになりますが、傷がひどいため、彼は玉山に彼女を連れて行き、王母に助けを求めます。王母はかつての親友の娘を大切に預かります。
折しも恒例の蟠桃の宴の時期と重なりました。今回は武術を競う大会で優勝した者は玉山の神鳥に知りたいことを何でも聞くことが出来る権利が与えられ、準優勝者には秘法・駐顔花が与えられるとのことで、たくさんの武芸自慢が集まりました。
その中には、西陵珩(木青寞)は死んでしまったと聞いていた赤宸(赤雲)も参加していました。赤宸は西陵珩を深く愛していたので、もう一度再会したいと死者とも会うことが出来るという伝説の盤古の弓を盗み出そうとして騒ぎを起こしてしまうのですが、偶然そこへ死んだと思っていた西陵珩が現れ、赤宸の再会の望みは叶えられました。
武術大会では、赤宸は優勢ながら負傷した皓翎王(凌雲晟侖)を倒しても不公平な勝利になると、さっさと負けを認めて準優勝の褒美である駐顔花を得ます。元々、西陵珩にこの秘宝をあげたくて参加しただけだったので優勝の名誉は必要なかったのです。
そのような経緯で、西陵珩は霊力を使わず、好きな姿に変身することが出来る駐顔花を手に入れ、後にそれを娘の小夭の体内に封印します。娘が父親に似てきて、誰かに悟られることを恐れたのです。
小夭が自分の顔がわからなくなるほど次々と変身してしまったのも、霊力が少ないのに完全な男性の姿に変身できていたのもこの駐顔花の力でした。
元の顔を取り戻したい小夭に、玉山へ行くことを指示したのも、この駐顔花が玉山の秘宝であり、玉山王母ならば、その力を操ることができると考えたからです。
玉山王母はその際に、自分の寿命が長くないこと、玉山を小夭に譲り渡すことが出来ることを告げます。果たして小夭は、たった一つの愛を失って孤独の中に生きる、玉山での生活をいつか選択するときが来るのでしょうか?
玄牧百草経
小六がなぜ薬や毒に詳しいかというと、実はやはりこれにも前日譚があります。
もともとは、西陵珩(木青寞)が、医王と呼ばれた辰栄(玄牧)王から授かった玄牧百草経という薬草や霊薬、霊草やその用法を書き記した上古で最も貴重な書物の集大成を授かったことにあります。
その書物はあまりにも貴重なため、そうでなくても王国を統治する重圧がかかる娘に引き継がせるには荷が重かったため、辰栄王は、義妹の娘である西陵珩に譲り渡しました。
王姫大将軍として戦に出かける前の日に、西陵珩は小夭にその書物をペンダントにして授けました。そのため、小夭は当時の医療の最先端の知識を持っていました。また、西陵珩は皓翎に嫁いだ後、医学の研鑽を続けていたため、書庫には貴重な医学書がたくさん残っていました。
赤いマントの謎
西陵珩(木青寞)は愛の証として赤宸(赤雲)に手縫いのマントを贈ります。二人は桃の花の下で、会おうと言いますが、そのときに、このマントを着ていてくれるなら、毎年会いに来ると西陵珩が言ったので、赤宸は一生常に身に着けることにすると答えます。
婚礼の日に西陵珩を奪いに来た赤宸が、桃花の約束を忘れたのか?と彼女に問うたのはこの話で、多勢に無勢の中で彼を殺されたくない西陵珩はそんな約束はなかった、あなたの勘違いだと冷たく言い放ちます。
赤宸はマントを脱ぎ棄てて去っていきますが、皓翎王(凌雲晟侖)は西陵珩が脱ぎ捨てられたマントを大事に持っていて、あとではそのマントを赤宸がまた身に着けているのを見て、桃花の約束のことを思い出します。
皓翎大王姫の帰還を知らせる祝いのときに小夭が着る衣装が白いドレスに赤いマントだったのを見た皓翎王が怒ってこんな衣装はダメだ!と拒否したのはこのことが理由でした。
結局阿念が新しく作った衣装をぼろぼろにしてしまい、赤いマントのついた衣装で現れることになった小夭ですが、赤いマントと彼女の目を見て皓翎王は改めてこの大切な娘が自分の実の娘ではないことを思い知らされたのでした。
九尾狐
第九王子夷彭(宣阳佶夷)は九尾狐を使って小夭を誘拐しました。いわく、西炎の長子(昱辰)と辰栄(玄牧)大王姫の連姻の前に、西陵珩(木青寞)が、娘は赤宸(赤雲)との間に出来た子供で、自分は皓翎王(凌雲晟侖)を裏切ったとみんなの前で告白することが出来なければ娘を殺すというものでした。
九尾狐はそれ以前にも、赤宸(赤雲)のふりをして西陵珩を騙そうとしたことがあり、かねてから因縁があった質の悪い妖怪でした。絶望する西陵珩の前に現れた赤宸は、必ず連れ戻すと約束し、九尾狐を追いました。
式当日、第四王子妃昌仆(亦籬)は、西陵珩に協力するために時間を稼ぎますが、赤宸は現れません。
仕方なく夷彭の言いなりになって、小夭が赤宸の娘だと告白しようとしたその時、小夭が帰ってきて事なきを得ました。婚礼の式も滞りなく進み、夷彭は悔しさに歯噛みします。
小夭をつれた西陵珩は、彼女に赤宸にお礼を言うように命じます。小夭は赤宸の手を握り、赤宸はかがんで小夭を抱き上げます。小夭は頬に口づけしてありがとうとお礼を言います。
赤宸はこんなかわいらしい娘が自分の娘であれば嬉しいのに、と真実を知らずに言い、暗に西陵珩に、ついてくるならば、彼女を自分の娘同様に慈しんで二人を守ると告げますが、西陵珩は頑なに握られた手を離します。
この救出劇の時に、赤宸は九尾狐の尾を1本切り落とし、それを小夭に贈ったのでした。小夭が物語の始めに瑲玹に渡した九尾狐の尾は、このとき本当の父から貰った唯一の贈り物だったのです。
九尾狐は尾を切られたことを恨み、玉山から逃げ出した小夭を監禁して苛みましたが、事の発端は西炎の後継者争いが原因でした。
辰荣炎灷の因縁
辰荣炎灷 (童峥) はというと、好戦的な人物だったせいか、各方面に敵を作り、たくさんの人を殺し恨みを買った人物です。正直言って、赤宸(赤雲)よりも彼の方が残虐で、自分勝手な理由での揉め事が多かったような気がしてならないのですが、なぜか中原で恨まれているのは赤宸(赤雲)です。気の毒。
まず第八代辰栄(玄牧)王・浩許を殺し、洪江(興汒)、嫦曦といった名だたる辰栄軍の将軍を殺し、西炎(宣陽)の第三王子、第四王子も殺します。辰栄が崩壊したのは彼のせいなのではないかという気がしなくもないのですが、私の勘違いなのでしょうか?赤宸の死の原因も彼にあるといっていいと思います。
ということは、その孫である、赤水豊隆と辰栄馨悦の双子って、瑲玹、小夭、相柳とは因縁の間柄なのでは・・・?
小夭が結婚すると便りを送ったときに皓翎王(凌雲晟侖)が、亡き妻西陵珩(木青寞)に、彼女を嫁がせてもいいものだろうかと星空に向かって問いかけたのはこのためだと思います。
四大世家と六大氏族
四大世家 | 特徴 | 登場人物の例 |
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西陵 | 西南に広大な土地を持ち、地盤を確保しています | 西陵缬(祖母) 西陵珩(母) |
赤水 | 兵力を有しています | 赤水豊隆 赤水献 |
涂山 | 財力、運輸の手段を有しています | 涂山璟 涂山篌(璟の兄) |
鬼方 | 財力、人脈を有していますが物語にはまだ登場していません | – |
六大氏族 | 特徴 | 登場人物の例 |
---|---|---|
曋氏 | 最大の勢力を誇ります | 曋淑惠(瑲玹妻) 曋淑同 |
樊氏 | 小夭を襲撃した遺児・詹氏を守ろうとしたが殺され恨みます 瑲玹を支持するためにお家騒動を起こしました | 樊彰 樊彬 |
鄭氏 | 小夭を襲撃した遺児・晋氏を守ろうとしたが殺され恨みます | – |
金天氏 | 武器鋳造を行います | 金天星沈 |
姫氏 | 特に情報がありません | – |
姜氏 | 特に情報がありません | – |
他の氏族 | 特徴 | 登場人物の例 |
---|---|---|
防風氏 | 北方に位置します 暗殺業を請け負っています。五王・七王に協力しています | 防風邶 防風意映 |
離龍氏 | 北方に位置します 賭博場を運営します。いち早く瑲玹を支持しました。 | 離龍昶 |
方雷氏 | 北方に位置します | – |
竪沙氏 | 西方に位置します | – |
小月氏 | 西方に位置します | – |
商羊氏 | 商羊妃の出身氏族です | 商羊妃 |
四遺族 | 特徴 | 氏名 |
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沐氏 | 主犯。隠し子がいます | 沐斐 |
詹氏 | 樊氏の長男の婚約者。三ヶ月後に結婚の予定です | 詹雪綾 |
晋氏 | 幼いころから鄭氏の長女と婚約しています | 晋越剣 |
申氏 | 特に情報がありません | 申柊 |