「大秦帝国-QIN EMPIRE-」27話・28話・29話・30話のあらすじとネタバレ感想。熒玉が衛鞅に嫁ぎたがっていることを知った渠梁は、衛鞅の友人である侯贏に仲立ちを依頼します。白雪との仲を知る侯贏は困惑しながらも仲立ちを了承し、衛鞅にその話を伝えました。
27話:熒玉の結婚話
新しい法律として、5つの項目が発令されました。
- 人口増加のための移民奨励
- 県制の実施(貴族の自治を禁止)
- 古い習俗の見直し
- 度量衡の統一
- 軍の国府直属化(一切の私兵を禁じる)
国政は軌道に乗りつつありましたが、太后は心が晴れませんでした。
それというのも、孫の嬴駟は大罪を犯して宮廷から追放となった上に、連座で処罰された息子の嬴虔も心を閉ざしている状態。娘の熒玉の婚儀もいまだに決まりません。
そして何より、妻を亡くしてから長年独り身の渠梁を心配している太后は渠梁に「新たな妻を迎えてはどうか。子をなすことは国事でもある」と勧めます。
しかし、渠梁は「改革が落ち着いてから」と先延ばしにするのでした。
話が熒玉のことになると太后は、熒玉は衛鞅に想いを寄せており嬴虔も結婚に賛成していたが、鼻削ぎの刑を機に 嬴虔は結婚を反対するようになったと話します。
それを聞いた渠梁は兄の嬴虔をこれ以上苦しめたくはないが、妹の熒玉を悲しませたくもないため本人の気持ちを確かめることにしました。
すると、熒玉はきっぱり「衛鞅に嫁ぎたい」と答え、衛鞅に敵が多いことは知っているけど一緒に死ねるなら本望だと言うのでした。
熒玉の気持ちを知った渠梁は、衛鞅の友人である侯贏に仲立ちを依頼します。
わざわざ友人に頼んだのは、自分が直接 話せば衛鞅が断りづらくなってしまうと思ったからでした。
白雪との仲を知る侯贏は困惑しながらも仲立ちを了承し、後日 衛鞅に、熒玉が衛鞅との結婚を望んでいることを伝えました。
すると、衛鞅は「君主様に私と白雪の仲を話さなかったのか!?」と激怒し、縁を切るとまで言い放ちます。
その後、衛鞅は商於へ巡察に出向きました。同伴した景監と車英は、衛鞅がどこか上の空であることを心配します。
衛鞅は自身の悩みは話さず、景監と車英を飲みに誘いました。
実は飲みに誘ったのには目的があり、景監と令狐の婚礼を推し進めようとしていたのです。
景監と令狐は10年以上も想い合っていましたが、景監にとって令狐は亡き友人から引き取った養女であるため結婚の踏ん切りがつかず、ずっと曖昧な関係を続けてきました。
衛鞅は「いつまで先延ばしにするつもりだ。今日は私と車英が親友として仕切るからな!」と強引に結婚話を進めます。
景監もようやく踏ん切りがつき、令狐との結婚を決心しました。そこへ、白雪も祝いに駆けつけます。
28話:白雪の決断
景監と令狐は、衛鞅たちに祝福されささやかな婚礼を挙げました。
白雪は幸せそうな2人を祝福しつつも涙がこぼれてしまいます。
実は白雪はこの時、衛鞅との別れをすでに決意していたのです。
2人の婚礼が終わると白雪は衛鞅に別れを切り出しました。
衛鞅にとって熒玉との結婚は大きな後ろ盾となり地位も不動のものとなるため、白雪は身を引くことにしたのです。
白雪との愛を貫きたい衛鞅は2人で秦を去ろうとしますが、白雪は「あなたは政治家になるために生まれてきた人よ。あなたが愛に生きれば天下の損失となる。それに、一時の情熱で愛を選び 志を諦めてしまえば あなたの魂は輝きを失うわ。平凡な生活に埋もれて朽ちていくあなたを見るほうが私にとってはつらい」と言い、別れる意思を変えませんでした。
言葉を失う衛鞅に白雪は、実はすでに侯贏を通じて熒玉との婚姻承諾の返事をしたことを伝えます。
衛鞅は「いやだ!無理だ!」と嘆きますが、白雪は私を愛してくれただけで十分だと言い別れを告げました。
衛鞅は白雪を抱きしめ、別れても未来永劫 愛し抜くことを誓います。
その後、秦を去る白雪が馬車を走らせていると、後方から侯贏が追いかけてきました。
白雪は侯贏に衛鞅への伝言を託します。「子供ができた。数年後に会いに来るわ」――。
そうして白雪が去った後、衛鞅は大良造および上将軍に昇格し、軍事と政治を統括する命が下されます。
その一方で、鼻削ぎの刑という屈辱的な刑を衛鞅に科された嬴虔は 衛鞅に対する私怨から熒玉との結婚を反対しており、太后と渠梁はそのことに胸を痛めていました。
29話:新しい都
衛鞅に鼻削ぎの刑を科せられて以来 屋敷にこもっている嬴虔は、会いに来た太后に、自分はこれまで改革の成功と国の安定のために耐え抜いてきたが衛鞅だけは許せないと話します。
その口ぶりから衛鞅に報復するつもりだと察した太后は「復讐で秦を滅ぼしてはならない」と諫めるのでした。
衛鞅と熒玉の婚礼が行われました。結婚初夜、衛鞅は公務があるからという理由で熒玉の部屋を訪れませんでした。
しかし、熒玉は衛鞅を咎めることはせず、衛鞅をもっと深く知って愛したいと心の中で願います。
また、熒玉は“どう振る舞えばいいのか、どうすれば彼と一緒に歩んでいけるのだろうか”と思い悩み、とにかく今は改革に専念させてあげようと思うのでした。
翌朝、衛鞅は熒玉の部屋を訪れました。
寝たふりをしていた熒玉は、寝台に近づいてきた衛鞅にいきなり抱きつきます。
衛鞅は熒玉の腕をはがして「寝ていないなら囲碁を打とう」と誘い、それに応じた熒玉は囲碁を打ちながら「妻としてあなたを支えたい」と想いを伝えました。
衛鞅と渠梁は、遷都の下調べのため北阪の盆地を視察しました。
衛鞅はこの地を秦の新しい都に定めたいと言い、地名を「咸陽」と名付けます。
熒玉は衛鞅に、何年も消息が途絶えている嬴駟の行方を捜索したいと相談します。
内心、この国の太子となるべき人物は嬴駟しかいないと考えていた衛鞅は、熒玉の申し出に賛成しました。
しかしそれから半年もの間、熒玉は嬴駟の行方を探し続けましたが見つかりませんでした。
そんな中、太后は衛鞅に、渠梁の婚姻について「渠梁は墨家の娘に想いを寄せているようね、どう思う?釣り合っていると思うか?」と相談します。衛鞅は墨家の者は聡明だから釣り合うはずだと答えました。
すると太后は今度は「お前にも親しい女子がいたと聞く、その女子を一緒に住まわせてはどうか」と提案。しかし、衛鞅は今は改革に専念すると言うのでした。
30話:嬴駟の行方
嬴駟を探す旅から戻ってきた熒玉は衛鞅に、嬴駟について聞いた情報を以下のように話します。
どうやら 嬴駟は宮廷から追放された後、山で遭難し黒林村に辿り着いたらしい。
斉出身の書生だと身分を偽り、しばらく村に滞在していた嬴駟は、改革のおかげで村の暮らしが向上したことや、戦で手柄を立てれば爵位を与えられることから、民の誰もが兵士になりたがっていることを知った。
数年後、嬴駟は世話になった村人たちに別れを告げ黒林村を出ていった。
相思相愛であった娘が嬴駟を追いかけて来たが、嬴駟は自分は明日をも知れない身だから一緒になることはできないと告げる。
すると、娘は目の前の崖に身を投げてしまった。
話を聞いた衛鞅は熒玉に、渠梁が知ったら心を痛めるだろうから詳細は伝えないようにと言うのでした。
その後、白雪からの文で魏軍が動き出したことを知った衛鞅はすぐに渠梁にも知らせます。
衛鞅は魏国が侵攻するのは秦ではなく別の国だろうと読みますが、渠梁は万が一の戦に備えておくことにしました。