ディスクレーマー夏の沈黙(Apple TV+)第1話・第2話のネタバレ解説と相関図

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第1話〜第2話のネタバレ解説・考察

「ディスクレーマー夏の沈黙」の原作情報

「夏の沈黙」ルネ・ナイト (著)

「ディスクレーマー夏の沈黙」は、英国放送協会BBCの美術ドキュメンタリー番組のディレクターから作家に転向した、イギリス出身の作家ルネ・ナイト著書「夏の沈黙」を原作とする全7話の心理スリラーシリーズです。

原作小説の「夏の沈黙」は、ルネ・ナイトのデビュー作ながら刊行前に25カ国で出版が決定し、世界で旋風を巻き起こしました。

キャサリンの現在と過去を行き来する

「ディスクレーマー夏の沈黙」© 2024 Apple Inc. All rights reserved.

「ディスクレーマー夏の沈黙」は、主人公キャサリンの現在と過去を行き来するストーリー展開が特徴的です。ドキュメンタリージャーナリストとしての地位を確立して公私ともに順風満帆な生活を送る現在のキャサリンと、家族旅行で訪れたイタリアで偶然出会った19歳の青年ジョナサンとキャサリンの様子を描いています。一見すると完璧な生活を送る現在のキャサリンですが、このジョナサンとの過去の出来事が現在のキャサリンの生活にも影響を及ぼし始めます。

第2話まででは、まだ核心には迫ってはいないものの、キャサリンとジョナサンが関係をもっていたであろう証拠や、ジョナサンが旅の途中で亡くなっていることが明らかになりました。そして、そのジョナサンの死に関して彼の母ナンシーが疑念を抱き、キャサリンを呼び出して真実を打ち明けるよう求めた過去も判明します。

ところが、キャサリンは一向にジョナサンとの間に起きた出来事を語ろうとはしません。それは夫ロバートに対しても同じで、ロバートから「行きずりの人」とジョナサンが撮影したと思しきキャサリンのセクシーな写真を突き出されても、キャサリンは涙を浮かべて被害者のように振る舞いました。こうしたキャサリンの態度だけを見ると、身勝手で自分のことしか考えない人に見えますが、キャサリンがここまで口を閉ざすのには何か理由があるようにも感じます。

確かに過去のキャサリンは自信満々で身勝手そうな人物ですが、現在のキャサリンには真逆の印象を受けます。特に、家族間ではどこか自信がなく、常に相手を観察しているようです。キャサリンの自信のなさは息子ニコラスへの対応が最もわかりやすく、かつてのような自信に満ちた様子など見られません。それどころか、どう接したらいいかわからず頭を抱えています。

また、キャサリンはロバートに過去のことを問い詰められた際に、自分のことを”被害者”だと断言したのも気になります。いくら過去のこととはいえ不倫をされていたのはロバートなのに、そんな彼に対してキャサリンは自分を被害者だと言い切りました。この発言は激しい言い合いの最中に出たものなので、売り言葉に買い言葉の可能性も否めませんが、ここまで言い切れるのはキャサリンが本当に被害者だからなのかもしれません。

現時点でキャサリンが被害者だと紐付ける内容は明かされていませんが、キャサリンが被害者になる状況として考えられるのはジョナサンの死。キャサリンがジョナサンの死に加担したり、関与していたとすれば、キャサリンが自分のことを被害者だと言い切るのにも納得がいきます。

ナレーターの謎

「ディスクレーマー夏の沈黙」では、所々でナレーションが入り、状況を説明します。このようにナレーションが入る作品は珍しくはありませんが、本作のナレーターはコロコロと変わります。ジョナサンの父スティーヴンが行動を移す時には、スティーヴン演じるケヴィン・クライン自身がナレーターを務めているので混乱することはないでしょう。ただ、たまに三人称視点のナレーションもあります。

しかし、主人公キャサリンの思考を示すナレーションは、彼女ではない女性ナレーター(インディラ・ヴァルマ)が行っていてより複雑です。このナレーターの口調は常に一定ではなく、キャサリン目線の時もあれば、「行きずりの人」の小説自体の声のようにも聞こえるのです。

いずれにせよ、このナレーションはキャサリンの内なる独白を代弁するもので、その中でキャサリンは息子の生きがいのなさを嘆き、しばしば自分を責めます。さらに、キャサリンは夫ロバートが自分との交際前に経験が少なかったことへの不安を示し、それが彼の中にくすぶる不満の原因となる可能性があると感じています。

こうした謎のナレーターは、原作小説の「夏の沈黙」でも登場しますが、ナレーターの身元は匿名のままです。とはいえ、ドラマ版「ディスクレーマー夏の沈黙」では、ジョナサンの母ナンシーが息子の悲劇的な死について書いた本「行きずりの人」が、キャサリンの手に渡るまでの過程が変更されています。そのため、ドラマ版でナレーターの過去が変更され、ナレーターを務めるインディラ・ヴァルマがオリジナルキャラクターとして登場する可能性もありますが、それについてはまだはっきりしていません。

ビフォア(AppleTV+)あらすじとキャスト-過去があなたを引きずり込む

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紹介している作品は、2024年10月時点の情報です。現在は配信終了している場合もありますので、詳細は各公式ホームページにてご確認ください。