ディスクレーマー夏の沈黙(Apple TV+)第3話・第4話のネタバレ解説と考察。キャサリンは嘘をついていない⁉︎

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第3話〜第4話のネタバレ解説・考察

キャサリンとジョナサンの物語は回想ではない

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第3話のキャサリンとジョナサンの物語は、第2話で中断されたところから始まります。キャサリンと息子ニコラスと一緒に食事を楽しんだジョナサンが、眠ってしまったニコラスを抱えて宿泊先のホテルまで送り届けました。そのままホテルを後にしようとしたジョナサンでしたが、キャサリンにお礼に一杯奢らせてと引き留められ、一緒にお酒を飲み始めます。そこからのキャサリンは信じられないほど大胆になり、2人は不倫関係に陥りました。

第2話までのキャサリンはジョナサンとの不倫を深刻ではなく、複雑でも感情のない浮気のようなものとして描こうとしていました。しかし、第3話のキャサリンからは複雑さなど微塵も感じられず、夫ロバートとの関係に不満を抱いているようです。そうした自分の欲望のまま、恋人と離れたばかりの青年ジョナサンを利用しているようにさえ見えました。

しかも今回のキャサリンとジョナサンの物語では、恐らくニコラスは母とジョナサンの不倫を察知していたと思われます。だとすると、第2話でキャサリンがロバートとの言い合いの中で断言した、”ニコラスは決して見聞きしないようにした”との発言が嘘になります。とはいえ、涙を浮かべて明らかに動揺するキャサリンの状況からして、とても嘘をついているとは思えません。

さらに、このキャサリンとジョナサンの物語は誰かしらが「行きずりの人」を読んでいる時にしか展開していないことからも、これはキャサリンの過去ではなく、「行きずりの人」の物語なのだと推測することができます。物語がキャサリン目線だけなのも気になる点で、何故ここまで具体的な出来事をジョナサンの母ナンシーが知っていたのかは謎に包まれています。そもそもジョナサンはキャサリンとの不倫について話す前に亡くなっていますし、キャサリンはこの件に関してずっと口を閉ざしてきました。

仮に、ジョナサンが一連の出来事をナンシーに伝えるとしても絵葉書に記すしかありません。いくら旅の道中でナンシーに近況を知らせる絵葉書を送るほど仲が良かったにしろ、19歳という年頃の青年が母親に人妻との不倫を絵葉書に書くことなどしないでしょう。これらのことから、「行きずりの人」の物語はジョナサンが撮った写真から繋ぎ合わせたナンシーの妄想(想像)だと考えられます。

キャサリンはジョナサンを恨んでいる

第4話で家を出ざるを得なくなったキャサリンは、ロバートとの口論にて、「彼(ジョナサン)の死は望んだ」との発言をしました。これは、ジョナサンの件を黙っていたことに憤慨するロバートが、「恋人の死は好都合か?」と聞いたことへの返答です。その際のキャサリンはかなり強い口調で言い切り、とても嘘をついているようには見えませんでした。キャサリンがここまでハッキリとジョナサンへの想いを口にしたのは初めてですし、キャサリンの口調からも、彼女がジョナサンに対して相当な恨みや憎しみを抱いているのは確実でしょう。

ただ、ここまでキャサリンがジョナサンに対して強い負の感情を抱く理由まではわからず、2人の間に何があったのか気になるところ。「行きずりの人」の物語では、ジョナサンがキャサリンについてこようとしたため、家庭があるキャサリンにとってはジョナサンが邪魔になり、彼の死を望んだかのように描かれていました。ところが、それだと第2話で「行きずりの人」と当時のキャサリンのセクシーな写真を見たロバートに問い詰められたキャサリンの発言に説明がつきません。

キャサリンは当時の状況を説明しようとして、自分たちを置いて行かないように頼んだことを覚えているかとロバートに尋ねました。それに対するロバートの「僕のせいだと?自分は常に被害者か」との返答には、「それはそうよ」と自分が被害者であることを認めています。とはいえ、ジョナサンとの件はロバートのせいではないと否定していたので、キャサリンは責任転嫁で被害者ぶった訳ではなさそうです。

ここまで緊迫した状況で”置いて行かないように頼んだ”こと、”自分は被害者である”ことを、あえてキャサリンがロバートに話したのはそこに真実が隠されているからではないかと考えられます。この2つのキャサリンのワードから、キャサリンとジョナサンの関係は同意の上ではなかった可能性が浮上します。例えば、元々ジョナサンがキャサリンのストーカーだったり、ジョナサンが一方的にキャサリンに好意を抱いていたとしたら……。そのような状況でジョナサンがキャサリンに迫ったのだとすれば、全ての辻褄が合います。