初めて感情をむき出しにしたニコラス
キャサリンとロバートの1人息子ニコラスは、これまであまり感情的になることはありませんでした。何に対しても無気力で、家電量販店での仕事も特段やる気がある感じでもなく、友達らしい友達もいません。唯一、仲の良い女の子ができたとの話だけは父ロバートに嬉しそうに話しましたが、彼女との描写はなく、彼女の存在自体が怪しまれます。
今回の第5話ではニコラスにフォーカスが当てられ、”ロバートは何を言っても信じる”という胸の内をナレーターを通じて明かされました。
そのため、ニコラスは日常的にロバートに嘘をついている可能性があり、これまでの発言もどこまで本当のことを話しているかはわかりません。ニコラスは第三者目線でも何を考えてるのかがわかりにくく、いまいち掴みどころのない印象を受けます。
しかし、第5話のニコラスはジョナサン扮するスティーヴンとのSNSでのやり取りを通じて、初めて人間らしい感情的な部分を見せました。ジョナサン(スティーヴン)から「行きずりの人」の主人公はニコラスの母キャサリンであり、ジョナサンはニコラスを助けて死んだと聞かされ、ニコラスは明らかに動揺します。
最初はジョナサン(スティーヴン)を信じなかったニコラスも、彼から「行きずりの人」に記された部分に該当するキャサリンのセクシーな写真を送られると、感情を爆発させました。ニコラスは怒りと悲しみが込み上げ、キャサリンに電話をかけるも何も言えずに泣き崩れてしまいました。
元々、仕事人間のキャサリンに対する寂しさを感じていただけに、このジョナサン(スティーヴン)の暴露はニコラスの心に深い傷を与えます。
もし自分がそのまま海で事故死していればキャサリンは1人息子を亡くした悲劇のヒロインとなり、その方がキャサリンは完全に立ち直れただろうなどと、自分の価値を問います。とても1人では対処できない苦しみに、ニコラスは薬物に頼り現実逃避する道を選びました。