「馭鮫記(ぎょこうき)前編」11話・12話あらすじネタバレと感想。谷主の林滄瀾は最後の研磨石としての役目を果たすべく、息子の林旲青を煽って自分を殺害させようとします。
林旲青は最後まで抗い続けたものの、ついに林滄瀾は力尽きて命を落としました。林滄瀾の死を機に、林旲青と紀雲禾は寒霜に関する驚きの真相を知ります。
第11話:解毒薬の出所
※本記事は、物語が前後する箇所があります。
万花谷。谷主の林滄瀾は、仙侍の卿舒を通じて息子の林旲青の動きを把握します。
3日後に張仙使がやって来るタイミングで林旲青が計画を実行すると知った林滄瀾は、林旲青のためにもう1度解毒薬を用意できると安堵しました。そして、林旲青に宛てた手紙を密室に置き、卿舒には事が済んだら北淵に帰るよう言い渡しました。
その一方、林旲青は改めて御霊師の紀雲禾に、本当に万花谷を出るつもりなのかを確認します。鮫人の長意と行動を共にすれば仙姫に追われることになるものの、紀雲禾は全てを承知のうえで長意と万花谷を出ることを決意していました。
計画実行の日。張仙使は大勢の配下を連れて万花谷へとやって来ます。
早速、林滄瀾は鮫人の尾を献上し、小箱に入った報酬を受け取ると、感謝と仙師への忠誠を示しました。そこへ御霊師の瞿暁星が現れ、紀雲禾が卿舒を呼んでいると報告します。
卿舒は覚悟を決めた様子で林滄瀾の前に立ち、「行きます」とだけ告げてその場を後にしました。卿舒が向かった先には、紀雲禾と林旲青が待ち伏せしていました。
計画の邪魔さえしなければ話し合いで解決できると提案する紀雲禾たちに対し、卿舒はその気はないと戦う姿勢を見せます。そこで紀雲禾と林旲青は、修練してきた鎖霊陣を使って卿舒を捕らえようとしました。
しかしすんでのところで陣を交わされ、卿舒に隠魂針を使って応戦されてしまいます。紀雲禾に向かって放たれた隠魂針は長意が代わりに受け、長意のおかげで何とか卿舒を捕らえることができました。
肉を腐らせる隠魂針を食らった長意は紀雲禾の仙侍の洛綿桑に託され、林旲青は1人になった林滄瀾の元へと急ぎます。
林滄瀾の内殿。林旲青は父の林滄瀾を見るなり、卿舒を捕らえたゆえ令牌を渡して退位するよう迫ります。
ところが、林滄瀾は最後の研磨石として林旲青を煽り、己の手で父を殺せと剣を差し出しました。最後まで父を殺そうとはしなかった林旲青でしたが、ついに林滄瀾は力尽き、その場に倒れ込みます。
すると、みるみるうちに林滄瀾の体に寒霜の症状が現れ、手足や顔が凍っていきます。慌てて駆けつけた林旲青が林滄瀾のうなじを確認したところ、そこにも寒霜の印がありました。
林滄瀾こそ寒霜の発端だと思っていた林旲青は驚きを隠せず、事情を林滄瀾に尋ねました。林滄瀾は寒霜の発端は自分ではないうえ、紀雲禾は万花谷に役立つ人物だと明かして息絶えます。
その頃、紀雲禾は形勢が逆転して、卿舒から正体不明の攻撃を受けていました。ただ、紀雲禾は少し苦しむだけで致命的な怪我などは負っておらず、攻撃した卿舒の方が苦しそうでした。
第12話:紀雲禾の体の秘密
万花谷。新たに谷主となった林旲青は、父の林滄瀾が亡くなってからずっと部屋に篭りきりでした。
見かねた瞿暁星が紀雲禾を送り、久しぶりに部屋から出てきた林旲青はすっかり憔悴していました。それでも思考はしっかりしているようで、林旲青は万花谷を出るという紀雲禾の決意が変わっていないかを確かめます。
紀雲禾の決意が変わらぬことを知った林旲青は、最後に愛する人を守るための代償について尋ねました。紀雲禾の愛する人を守るためならどんな代償でも払うとの答えを受け、林旲青は解毒薬を捜すことを約束しました。
継承の儀。林旲青は父の林滄瀾の後を継ぐ形で、正式に万花谷の谷主となりました。
晴れて万花谷を出れると喜ぶ紀雲禾に対し、林旲青は紀雲禾には万花谷に残ってもらうと宣言します。そして、紀雲禾の帰りを待つ長意の元にも瞿暁星が送られ、長意は別の場所に連行されました。
家に戻った紀雲禾は長意まで奪われたことに怒り心頭で、林旲青が張った結界を無理矢理こじ開けて林旲青を訪ねます。林旲青はもの凄い剣幕で自分を手放さない理由を教えるよう迫る紀雲禾を密室へと案内し、これまで隠されてきた紀雲禾と寒霜に関する衝撃の真相を明かします。
それは寒霜の元凶は仙師で、万花谷で修行して出世した仙師が寒霜を用いて万花谷を支配していたというものでした。さらに、紀雲禾は万花谷を救う唯一の存在で、それゆえ天仙の林滄瀾と地仙の卿舒から霊力を与えられていたことも判明します。
林滄瀾は寒霜を抑える方法を探っていたところ、天仙と地仙の霊力の融合が有効だと突き止めて実験を行うが、紀雲禾以外の御霊師はこの2つの霊力に耐えきれず亡くなっていた
今も紀雲禾の体には2つの霊力があり、これが一気に寒霜を突破するか、経脈を損ねて死ぬかの状態で、残された時間は1ヶ月もないとのことでした。そこへ瞿暁星が現れ、仙姫がやって来たことを知らせます。
仙姫は近くまで来たから寄ったとのことで、鮫人を連れてくるよう命じました。しかし、仙姫の立場を理解していない長意は無礼な態度を取り、慌てて紀雲禾が間に入ります。
仙姫の怒りの矛先は紀雲禾に向けられ、鮫人を従わせるよう言い渡されますが、紀雲禾は強要はできないと拒否しました。仙姫のさらなる怒りを買った紀雲禾は、皆の前で鞭打ちにされます。
紀雲禾が痛めつけられるのに耐えられなくなった長意は仙姫を止め、自ら仙姫の言いなりになることを受け入れました。