「馭鮫記(ぎょこうき)後編」13話・14話あらすじネタバレと感想。北淵に連行された阿紀は牢を抜け出して北淵からの脱出を試みるも鮫族王子の長意に遭遇したうえ、幻形術が解けて紀雲禾の姿を晒してしまいました。
一方、御霊師の雪三月らは無名山の謎を突き止め、仙師の寧清の力の源となった朱厭の存在を知ります。
第13話:長意と阿紀
北淵。北淵に連行された阿紀/紀雲禾は牢を抜け出し、仙師府の姫寧と行動を共にしていました。
師匠で万花谷の谷主の林旲青との約束を守るためにもいち早く北淵から脱出したい阿紀でしたが、土地勘がないため帰り道がわかりません。
阿紀は外に出るにあたり、鹿台山には行かない、北淵には行かない、顔を隠すという3つの約束をしている
するとその時、阿紀の真珠の首飾りが光り輝き、浮かび上がります。それはまるで”何か”への道を示しているかのようで、荒れ地の方角を示していました。
他に頼れるものもない阿紀たちは真珠を道標にして先を進み、冰湖で眠る鮫族王子の長意の元へと辿り着きました。阿紀は長意の顔を見るなり彼が夢に出てくる人物であることと、長意という名前を思い出します。
阿紀の名前を呟く声で目を覚ました長意は、阿紀と姫寧を捕らえます。長意が阿紀に正体を明かすよう迫ると、阿紀は「大尾魚」と紀雲禾だけの呼び方を口走りました。
これにはさすがの長意も驚きを隠せず、2人の間に異様な空気が流れます。そこへ長意の従者の羅索が現れ、阿紀たちは再び北淵に連行されることになりました。
なお、阿紀たちと共に脱獄した盧瑾炎と符兄弟の兄の符超も捕まり、4人は尋問にかけられます。そこでも阿紀は万花谷から来たことは隠したまま話を進め、言葉巧みに牢行きを免れました。
ところが、その際の阿紀の口ぶりは紀雲禾と酷似しており、怪しむ長意は羅索に阿紀の監視を命じます。
仙姫府。林旲青は順徳仙姫の汝菱に拝謁を願い、すでに何日も仙姫府の前で跪いていました。
汝菱の腹心である朱凌からは北淵に配下を帰順させた逆徒だと罵られ、手を上げられそうになります。その時、部屋の中から林旲青の入室を許す汝菱の声がしました。
中に入った林旲青は汝菱への忠心を改めて示し、東濂長老たちの解放を求めます。しかし汝菱は、東濂長老が持っていた薊柏草と、東濂長老たちの命のどちらかを選ぶよう林旲青に迫りました。
汝菱は寒さをしのぐ薊柏草から林旲青が寒霜の解毒薬を作っていることに勘付いており、林旲青に究極の決断を迫ります。止むを得ず林旲青は汝菱の目の前で薊柏草を消滅させ、汝菱の駒として動くことを自ら望みます。
その一方、御霊師の雪三月と仙侍の離殊は、仙師の寧清が不思議な力を得たとされる無名山を捜していました。とはいえ1000年も前のことを知る者など人間界にいるはずもなく、捜索は難航します。
そこへ仙師府の姬成羽が複数の配下を連れて現れ、雪三月と離殊は青羽鸞鳥を放った罪で捕縛すると告げられました。
第14話:長意と紀雲禾の再会
北淵。九尾狐族で北淵将軍の奇鋒は紀雲禾の罠にかかり、まんまと符兄弟の弟である符恒の殺害を白状しました。
奇鋒は鮫族王子で北淵尊主の長意に連行され、処分は奇鋒の従姉妹の卿瑶に託されます。卿瑶は奇鋒の霊力を廃し、北淵から追放しました。
しかし奇鋒は従者に阿紀と姬寧を追わせており、そこへ姬寧が助けを求めにやって来ます。すぐさま長意は阿紀を助けに行きますが、そこに居たのは紀雲禾でした。
実は、阿紀は奇鋒の従者に追われた際に霊力を弱める煙を吸わされたため、幻形術が解けてしまったのです。長意は突然の出来事に驚きながらも、後を追ってきた従者の羅索に見つからないよう紀雲禾を連れ、その場を後にします。
長意が紀雲禾を連れてきたのは自分の屋敷で、長意は紀雲禾との再会を心から喜びました。それに対して全く状況を把握できていない様子の紀雲禾を見た長意は、紀雲禾が過去のことを覚えていないと悟ります。
その後、長意は北淵に戻った腹心の空明から紀雲禾の身に起きたことを聞かされました。空明は長意の故人は戻るのかという手紙が気になり、あちこちで古書を調べて答えを突き止めていたようです。
空明が突き止めた答えは事実とほぼ一致しており、紀雲禾が九尾狐の霊力で生き残ったこと、阿紀に人間の姿を与えたのは双脈の原理を知る林旲青だということを突き止めていました。ただ、紀雲禾が記憶を失ったのは林旲青によるものだということまでは知る由もなく、御霊師としての紀雲禾が死んだゆえ記憶を失ったと結論づけました。
かつて離殊が救った夫婦の家。無名山を捜していることが姬成羽に知られてしまった雪三月と離殊は、かつて離殊が救った夫婦の家に身を寄せていました。
そこへ天君の汝釣が現れ、無名山の謎が解けたと告げます。汝釣によると、無名山は朱厭の乱の戦場だった無量山であり、先帝が身を捧げて朱厭を滅ぼしたとのことでした。
なお、無量山が人間界に現れたのは戦いの衝撃により天界と人間界の狭間に落ちたからで、無量山が人間界に現れるのは500年周期だということも判明しました。しかもその周期は間もなくと思われるため、雪三月たちは無量山へと急ぎます。そこで雪三月たちは、先帝が封じた悪念と化した凶獣の朱厭が寧清と取引をして、肉体の復活を企てていたことを知ります。