【ヘビー・ウォーター・ウォー】全6話ネタバレと解説。
第二次世界大戦の最中。
ナチスが密かに進めていた原爆開発を止めるため、連合国はノルウェーの山岳に位置する工場で製作される重水工場を爆破する極秘作戦を計画。
世界の運命を背負った男たちの戦いを、ドラマチックに描いた実話アクション超大作。
この記事では30分×全6話のネタバレと解説をお届けします。
【ヘビー・ウォーター・ウォー】の作品情報
作品データ | |
公開年(製作国) | 2015 ノルウェー |
原題 | HEAVY WATER WAR |
監督 | ペル・オラフ・ソレンセン |
製作 | ノルウェー、デンマーク、イギリス |
キャスト | エスペン・クロウマン=ホイネル、アンナ・フリエル、クリストフ・バッハ、ピップ・トレンズ、デニス・ストーホイ、デビッド・ジマースキード、ソーレンピルマーク、ベンジャミン・ヘルスタッド他 |
公式サイト |
【ヘビー・ウォーター・ウォー】あらすじ
1934年、ノルウェーのノルスク・ハイドロ社は、肥料を生産する上での副産物として重水を作るための工場をリューカンに建設した。
そして1940年、ドイツがノルウェーに侵略。
ドイツでは、科学者のヘイゼンブルグを中心に原爆の開発を進めることになる。
原爆の開発には重水が不可欠。
そこでドイツは、ノルウェーのハイドロ工場からドイツに重水を運ばせようとした。
当時、まだ中立国であったノルウェーは、工場内に保管してある重水をすべてフランスに渡したが、工場はまだ重水生産が可能なままだった。
重水の生産を危惧した連合軍(イギリス、アメリカ、フランス、オランダなど)は、重水生産を不能にするための極秘計画を立てる。
作戦は、Grouse(ライチョウ)、Freshman(新人)、Gunnerside(イングランドの村の名前)というコードネームがつけられ、Grouse計画には4人(グラウス部隊)が選ばれた。
グラウス部隊は、ドイツ軍の目を掻い潜ってノルウェー中南部の山岳高原ハダンゲルヴィッダに到着して、次の部隊を待つ。
その後、Freshman作戦が実行されたが爆撃により軍用グライダーが墜落。
5名が死亡し、生き残った他の隊員はゲシュタポによって処刑された。
本来、彼らはグラウス部隊と合流してハイドロ工場へと向かうはずだった。
これによりグラウス部隊は、過酷な大雪原で次の部隊派遣まで食料なしで生き抜かなければならなくなった。
その頃、イギリスではノルウェー人によるガンナーサイド特殊部隊を編成し、グラウス部隊の元へと送り込む。
合流した部隊は、夜中にハイドロ社に侵入し爆破計画を成功させた。
しかし、ハイドロ社の重水生産機器は思ったより被害を受けず、1週間程度で生産可能なまでに再生する。
アメリカによる空爆も行われたが、それも失敗に終わってしまう。
業を煮やしたドイツは工場をドイツに移転することにし、ノルウェーにある大量の重水も客船に積んで持ち出そうとした。
その情報を掴んだイギリス軍は、客船に爆弾を仕掛けて海に沈める計画を進めたのだった。
【ヘビー・ウォーター・ウォー】キャスト
レイフ・トロンスタッド役/エスペン・クロウマン=ホイネル
ノルウェー工科大の教授で、ノルウェー抵抗軍の仲間だとバレそうになり、妻と息子をノルウェーに残してひとりロンドンに向かう。
重水の第一人者で、ハイドロ工場の建設にも携わった人物。
客船の爆破が成功し重水を海に沈めたあと、念願だった母国ノルウェーでの戦いに参加。
その後、彼は家族に再会することなく射殺されてしまった。
スミス大尉/アンナ・フリエル
スミスは、トロンスタッドや大佐らと計画を進行する女性大尉。
歴史上では存在しないドラマ内のキャラクター。
夫は戦争で行方不明のまま、トロンスタッドと行動を共にするうちに好意を抱く。
ヴェルナー・ハイゼンベルク役/クリストフ・バッハ
ドイツが原爆を開発しようとしていたカイザーヴィルヘルム研究所の主任科学者。
恐ろしい爆弾をつくるのではなく、膨大なエネルギーを生み出すと自分に言い聞かせながら原爆開発に注力した。
【ヘビー・ウォーター・ウォー】の解説
イギリス司令部
物語の舞台はノルウェーとイギリスが中心。
ハイドロ社、カイザーヴィルヘルム研究所、イギリス司令部を背景に物語が描かれている。
イギリス司令部では、ドイツに重水が渡らないようにするための作戦を計画。
アメリカは空爆を主張したが、トロンスタッドは重水工場が地下にあるため空爆では効果がないと説得し、グラウス部隊を編成した。
当初、グラウス部隊は5人編成だったが、銃の誤発砲により1名が負傷。
この兵士は、後にガンナーサイド特殊部隊に配属となり現地に向かった。
本来、グラウス部隊は片道切符と予想されていたが、ガンナーサイド部隊と合流して任務を遂行し、全員が無事に帰還している。
ハイドロ工場には思ったよりも打撃を与えられず、その後アメリカの空爆を許したが、工場の被害は最小限にとどまってしまった。
その後、重水工場をドイツに移すという情報を得たイギリス軍上層部は、重水を積み込んだ客船の爆破を決定。
一般人を含む多くの人々を犠牲にし、ドイツの原爆開発を阻止した。
ハイドロ社
ハイドロ社は、肥料を生産する過程の副産物として重水を生産。
ノルウェーのリューカンに工場を建設した。
ハイドロ社のアクセル・オーベール局長は、部下だったエリック・ヘンリクセンを工場長に任命。
ヘンリクセンは、事実上出世したかのようだったが、その後重水を巡りドイツから縛り付けになってしまう。
ハイドロ社には、ノルウェー抵抗軍が潜入しており情報はイギリスに筒抜けだった。
工場ぐるみで抵抗を行っていると疑われたが、実際にヘンリクセンが一番信用していた側近のブルンは抵抗軍側の人間で、ずっとヘンリクセンを裏切っていた。
ブルンは最後、重水に何かをまぜて出荷できないように細工し、スウェーデン経由でイギリスに向かった。
カイザーヴィルヘルム研究所
カイザーヴィルヘイム研究所では、ハイゼンベルクを中心に原爆開発が進められていた。
最初に入手した重水で実験を行ったが、失敗して火災を出してしまう。
その後、コペンハーゲンに渡った友人ニールス・ボーアを訪ね、原爆を開発していること匂わせた絵を渡している。
ボーアに見せた絵がドイツに渡り、抵抗軍の疑いを掛けられて主任から引きずり降ろされそうになったが、エネルギーを開発できるのは自分しかいないと主張して最後のチャンスを手にした。
なお、重水工場はあらゆる攻撃を受けたがカイザーヴィルヘイム研究所は攻撃を受けなかった。
【ヘビー・ウォーター・ウォー】を観た感想
1話30分という中に、あらゆるドラマが詰め込まれているため、まるで映画を観ているような長さを感じました。
部隊がヘイドロ社に潜入する緊張感が多いシーンが続く中で、それぞれの家族の在り方にも焦点が当てられるので、中だるみなく観て行ける作品です。
彼らがいなければドイツが勝利し、歴史が大きく変わってしまっていたかもしれません。
そんな第二次世界大戦の裏で起こっていた実話アクション。
3つの作戦を決行後、窮地に追い込まれた最後の作戦は、客船に積み込まれた重水を海に沈めるというもの。
しかし、客船ということもあり作戦を決行するのか苦悩する場面も。
50人を救うために50億人を犠牲にするのかという究極の選択。
これが戦争だと言われても、一言では片づけられません。
結局、計画は実行されたわけですが、チャーチル首相からの作戦成功への祝辞には憤りを感じました。
50人の罪なき人々の命を犠牲にして成り立った作戦、果たして成功と言えるのか。