【九州縹緲録~宿命を継ぐ者~】28話・29話・30話のあらすじ。戦争孤児の面倒を見るなど心優しき皇帝を信じ切る阿蘇勒はついに皇帝の本性を目の当たりにし、自身の立ち位置に悩み始めます。そんな阿蘇勒を心配するのは天駆武士団でも友でもなく、敵対する離国の国主の嬴無翳でした。この記事では、ネタバレ感想をお届けします。
28話あらすじ
帝都。皇室から追いやられた長公主の白凌波は現実を受け止められず、いつしか老いた自身の姿に憤りを感じていました。
そんな白凌波のため、世話役の百里寧卿は辰月の雷碧城を呼び出します。百里寧卿は、白凌波が再び栄光を取り戻せるよう雷碧城に力添えを頼んでいたのです。
最初こそ雷碧城の秘術に対し半信半疑だった白凌波でしたが、実際に秘術を通して若返りに成功したことでその力は確かなものだと確信します。白凌波は雷碧城の今後は辰月が王座を取り戻すべく尽力するとの申し出を受け、すぐさま長楽宮に上がるよう申し付けました。
その一方で、天啓城の護衛につく姫野は、下唐国の国師の宮羽衣から阿蘇勒が生死を危ぶまれる状況に置かれていることを知らされます。
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帝都、ある城。演武大会での傷を癒すべく静養していた阿蘇勒は、皇帝から天駆武士団の名誉回復に諸侯たちが反対していると聞かされます。
諸侯たちは天駆武士団が朝廷の転覆を企んでいると考えているため、公主の白舟月が説得に向かったとのことでした。とはいえ、乱世に白舟月ひとりで向かうのはあまりに危険なことに加え、阿蘇勒は天駆武士団の大宗主という立場であることから彼女の後を追います。
無事に白舟月と合流した阿蘇勒は、話し合いの場となる雁辺湖へと向かう道中で、彼女が正式な公主ではないことを知らされます。実は、白舟月の母は楚衛国の国主を務める白瞬であり、父の存在こそ知らぬものののかつて母が太清閣に暮らしていたことから、先帝との間にできた子だと考えられているとのことでした。
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下唐国、南淮城。国主の百里景洪は国師である宮羽衣からの文を通じて、辰月と天駆武士団が共に動き出したことを知ります。そこで百里景洪は天駆武士団の抹殺を拓跋将軍に命じますが、阿蘇勒の安全は最優先するよう念を押しました。
28話の感想
ついに雷碧城率いる辰月も行動に出ましたが、離国と手を切った今や躊躇うこともなく赤牙を使えるようになったのは厄介です。しかもまさかあんなにも莫大な数の赤牙を所持しているとは思わず、このままだと取り返しのつかない状況へと陥るのも時間の問題でしょう。
この状況を収めるには阿蘇勒が辰月と手を組むしかなさそうですが、ここでの交渉が後に響いてくるので判断を誤らないことを願いたいです。また、もう関係の修復は難しいかと思われた阿蘇勒たちだったものの、阿蘇勒のピンチに姫野が駆けつけてくれたのには思わず頬が緩みました。
いくら宮羽衣に煽られる形だったとはいえ、姫野が自分の意思で阿蘇勒を助けに来たのは間違いないですし、阿蘇勒の言う通りまた3人で酒を飲む日もそう遠くはないのかもしれません。
29話あらすじ
雁辺湖周辺。天駆武士団を巡り雁辺湖で話し合いの場が設けられたものの、阿蘇勒たちは赤牙を用いた辰月の襲撃を受けたことで多くの犠牲を余儀なくされます。
ところが、その甲斐あって諸侯たちの意識は変わり、無事に天駆武士団の再興を認める姿勢を見せました。これには天駆武士団の抹殺の命を受けていた下唐国も同調する姿勢を見せます。
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帝都。命からがら帝都へと戻ってきた阿蘇勒は、象に乗った羽然に出迎えられます。
どうやら羽然はかつて阿蘇勒が象が好きだと話していたことを覚えていたようで、阿蘇勒を喜ばせようとわざわざ南淮から象を取り寄せていたのです。阿蘇勒はそんな突拍子もない羽然の発想に驚きつつも一緒に象に乗り、束の間のひと時を過ごしていました。
その後、阿蘇勒と羽然は偶然遭遇した姫野を誘い、久しぶりに3人で酒を酌み交わします。阿蘇勒たちは互いの近況を確認し合い、ひと段落ついたら共に阿蘇勒の故郷である草原(青陽部)に行くことを約束しました。
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阿蘇勒の帰りを待っていた者は多く、皇帝はもちろんのこと、離国の国主の嬴無翳までもが阿蘇勒に接触を図ります。皇帝が天啓城で幅を利かせる嬴無翳の殺害を阿蘇勒に命じたのとは反対に、嬴無翳は純真な阿蘇勒が皇帝に利用されることを危惧する姿勢を見せました。
また、皇帝は阿蘇勒の”天駆武士団の大宗主”との立場を利用したいだけであり、無事に北大陸に戻りたいのならば己を大切にすべきだとの忠告をします。しかし阿蘇勒は皇帝を心優しい人物だと信じきっており、嬴無翳の言葉を真に受けてはいないようでした。
29話の感想
前々から皇帝にはきな臭い感じを受けていましたが、やはり権力を得て私利私欲に走る典型的なタイプの人物だとわかりました。確かにこれまで権力を持たないことを理由に虐げられてきたことは可哀想ではあるものの、だからと言って天駆武士団を己の武器のように考えるのはとんだ間違いでしょう。
そもそも阿蘇勒が率いる今や天駆武士団は無駄な争いをすることはないでしょうし、何よりも阿蘇勒自身が平和主義者なので、いくら皇帝とはいえ私利私欲のために血を流すようなことはしたくないはず。今回は嬴無翳が大人な対応をしてくれたから良かったですが、もしこれが一触即発となっていたらと考えると恐ろしくなります。
そして、ようやく阿蘇勒と羽然と姫野の3人の仲が戻り、再び3人でお酒を飲む姿が見れたのは本当に嬉しかったです。
30話あらすじ
帝都。阿蘇勒は雷碧城に呼び出され、この前洛子鄢から渡された文を今こそ読むべきだと告げられます。
それからあの文の存在自体はなくならないうえ、阿蘇勒が知るべき事実が記されているとのことでしたが、雷碧城の全てを見通すかのような口ぶりに阿蘇勒は不信感を覚えます。その一方、羽然と姫野はかつてのように2人仲良く街で買い物をしていました。
阿蘇勒と共に3人で青陽部に行くとの約束をしたことから、青陽部の厳しい寒さを耐え抜けるよう服を新調しに来たのでした。
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帝都、天啓城。これまで皇帝には絶大な信頼を置いてきた阿蘇勒でしたが、嬴無翳の殺害未遂の一件から皇帝に対して疑問を抱き始めます。
そこで阿蘇勒は皇帝の元を訪れ、彼の真意を確かめることに。しかし、皇帝には皇室を脅かす存在を武力行使で排除すべきだとの考えを改める気などなく、それどころか天下一の剣を持ちながら使おうとしない阿蘇勒に不満を募らせていました。
その後、阿蘇勒が公主の白舟月に皇帝との一件を相談していたところ、突如として燃やしたはずの雷碧城からの文が現れます。すかさず文を確認してみると、そこには何らかの場所を示す地図が記されていました。
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帝都。早速、地図を頼りに街へとやって来た阿蘇勒と白舟月は、そこで思いもよらぬものを目にします。
そこは皇帝自ら面倒を見ている戦争孤児たちが暮らす村で、村人たちは殺人術の修行に勤しんでいました。さらに、地図が示す場所には行方不明となったはずの皇室の私財が保管されていたうえ、それを剣を携えた村人らが監視していたのです。
30話の感想
やはり皇帝は権力に溺れるタイプの人間だとわかりましたが、彼をそうさせたのは皇室という環境なのが何とも痛ましいです。幼いうちから皇帝という立場に置かれつつも垂簾聴政をとられてしまったことで、それに対抗するには悪いことに手を染めるしかなかったのでしょう。
確かに幼い子には国など回せるはずもなく、大人が皇帝の代わりになるのはわかりますが、そもそもその座を狙う者が権力欲しさだったりするのが問題なのです。とはいえ、そのような者は常に皇帝の周りにおり、幼い皇帝がそれに気づいたとしても何もできないのもまた事実です。
だからこそ、皇帝がとった私財を盗むという行動を端から否定することもできず、彼の置かれた環境には同情します。
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