【九州縹緲録~宿命を継ぐ者~】40話・41話・42話のあらすじ。いよいよ離国軍と連合軍の戦いが幕を開け、互いに一歩も譲らぬ熾烈な争いが繰り広げられます。やがて辰月の雷碧城が大勢の赤牙を連れて殤陽関に現れると、記憶が戻った阿蘇勒は卒倒してしまいます。一方、翼天瞻に連れられ青州を目指す羽然はようやく青州へと辿り着きますが、そこはかつての面影などない荒廃した街でした。
40話あらすじ
殤陽関。ついに離国軍と連合軍による戦いの火蓋が切って落とされました。
殤陽関で守りを固める離国軍でしたが、連合軍を率いる楚衛国の白毅により、水路への毒の混入や毒煙を撒かれたことで出撃を余儀なくされます。しかし戦に長ける離国軍は苦境に立たされるほど士気を上げ、連合軍の前衛を最も簡単に倒して白毅率いる山陣へと辿り着きます。
山陣は大きな盾を持った歩兵を先頭に立て、その裏には大量の弓兵が配置されていました。そこで離国軍を率いる嬴無翳は一列縦隊で自ら正面突破を図り、姫野には脇から攻撃するよう命じます。
さすがの離国軍も山陣相手には多くの犠牲を払い、嬴無翳は何とか楚衛国の白毅と下唐国の息衍将軍の元へと辿り着くも右腕的存在だった側近を失ってしまい、無念を感じずにはいられませんでした。なおも嬴無翳は己を奮い立たせ、白毅の攻撃を退けて息衍将軍と対峙します。
その一方、姫野と共に離国軍が陣を置く殤陽関へと連れて来られた阿蘇勒と白舟月は殤陽関の地下牢へと捕われていました。
荒野。羽然は依然として天駆武士団の翼天瞻と共に、青州を目指して歩き続けていました。
翼天瞻からは大した説明もないうえ、逃走防止用に縄で体を繋がれていることから、ついに羽然の不満が爆発します。羽然は突然引き離された阿蘇勒と姫野はどこにいるのかと、翼天瞻に食ってかかりました。
ただでさえ羽然は自分の意思とは関係なく青州に連れて行かれているのに、親友の阿蘇勒と姫野の行方もわからず怒りを覚えていたのです。翼天瞻は阿蘇勒たちの正確な場所こそわからないとはしつつも、村に程近い殤陽関にいる可能性が高いとの考えを示しました。
ようやく街へと辿り着いた羽然は、すぐさま殤陽関の姫野宛ての手紙を商人に託します。
40話の感想
男気溢れる嬴無翳の戦いっぷりはとても格好良く、国主でありながらも自ら先陣を切る嬴無翳の姿には胸を打たれました。こんなにも逞しい国主だからこそ、離国の者たちは嬴無翳を深く慕うのでしょう。
確かに自分は戦場に足も運ばず命を下すだけの主なんかよりは、嬴無翳のように自ら体を張る主の方がよっぽど信頼できますし、兵士も自ずと追従したい気持ちにもなるのは間違いありません。それにしても流れとはいえ、嬴無翳と共に離国軍として出撃する際の姫野の表情は非常に生き生きとしており、姫野は生粋の戦闘民族のように感じました。
また、翼天瞻はどうして故郷の青州で逆賊扱いを受けているのかについても気になるところです。
41話あらすじ
青州への道中。羽族の刺客から襲撃を受けた際に逆賊呼ばわりされていた翼天瞻は羽然からその訳を尋ねられると、己の過去について話し始めます。
翼天瞻の羽族名は古莫で、青州では王殺しの反逆者の汚名を着せられてきました。羽然の父である羽皇の鶴雪団の首領を務めていた翼天瞻は参内したところで、絶命していた羽皇を発見します。
ところが、現場には翼天瞻しかいなかったうえ、羽皇の胸には翼天瞻の矢が刺さっていたことから王殺しを疑われてしまったのです。それゆえに青州からの脱出を余儀なくされた翼天瞻でしたが、再び青州に戻ることを諦めたわけではありませんでした。
翼天瞻はいずれは青州に戻るべく天駆武士団を率いて邪魔者を排除しており、阿蘇勒殺害に加担したのもこれが理由でした。さらに、翼天瞻が阿蘇勒たちを引き連れて山中の村に行ったのも記憶が戻りつつある阿蘇勒を殺害するためで、羽然をさらったのも青州に戻るために馬賊らと結託したと明かします。
羽然はずっと騙されていたことに声を荒げはしたものの、東大陸に必ず戻ることを条件に青州行きを決めました。
殤陽関。連合軍は離国軍との戦いで3万もの死者を出し、残る4万のうち半数が負傷していました。そんな中、傷兵らが秘術の影響で赤牙化していきます。しかも殤陽関の外は、辰月の雷碧城が連れてきた大勢の赤牙によって完全に包囲されてしまいました。
帝都、天啓城。殤陽関が赤牙に包囲されたことを知らされた長公主は、下唐国の国師の宮羽衣と今後の対応について意見を交わしていました。
すると、そこへ下唐国の国主である百里景洪が拝謁を求めに現れます。百里景洪は自ら兵を率いて天啓城を訪れており、天啓の包囲を解くためにやって来たとのことでした。
41話の感想
やっと翼天瞻の目的や過去が明らかとなりましたが、まさかこれまでの翼天瞻の行動全てが青州に繋がっており、その理由がこんなにも身勝手なものだとは思わず驚きました。これまでの翼天瞻は天駆武士団を利用して青州での汚名返上を目論んでいたものの、羽然を連れてきたということは羽皇の娘である羽然に利用価値を見出したからでしょう。
さすがに青州側も羽皇の娘の羽然を持ち出されては翼天瞻を無碍にはできないため、彼の要求を飲むしかありません。羽然からすればそもそも青州に帰りたかったわけでもないので、青州行きには特段メリットはないように感じますし、もうこれ以上の面倒事には巻き込まれないことを願います。
それにしても辰月のやり口は相変わらず卑怯でしたし、傷兵までもを赤牙化させられるとは何とも厄介です。
42話あらすじ
殤陽関。阿蘇勒は辰月の雷碧城の姿を見て卒倒してしまいましたが、実は雷碧城が作り上げた幻の世界で彼との再会を果たしていました。
そこで全ての記憶を取り戻した阿蘇勒は雷碧城の駒として生き返ったことに加え、己の体に毒虫を仕込まれ赤牙大陣の陣主となったことを知らされます。そして、今こそ選択の時であり、戦場の数万の生死も阿蘇勒の肩にかかっているとのことでした。
目を覚ました阿蘇勒は、楚衛国の白毅の作戦に痺れを切らした陳国の費安によって命を狙われます。阿蘇勒は咄嗟に費安の剣を掴んで事なきを得ましたが、次の瞬間に費安が赤牙化したことから陣主だとの疑いをかけられてしまいました。
陣主を殺害すれば赤牙は機能しなくなるため阿蘇勒を始末しようとする連合軍に対し、下唐国の息衍将軍と白舟月は必死に阿蘇勒を擁護します。すると、阿蘇勒はこれまでは雷碧城に操られていたことを明かしたうえで、今度こそ決着をつけると雷碧城の元へと向かいました。
青州へと向かう船の中。ついに青州が目前に迫ると翼天瞻だけでなく、羽然も胸を高鳴らせているようでした。
故郷とはいえ青州についての記憶がない羽然は、翼天瞻に青州の特徴を尋ねます。青州は三方向が海に囲まれ、森林や草原だけではなく3本に分かれる大河があり、それは四季によって色を変えるとのことで、羽然は自然豊かな青州への思いを馳せて思わず頬を緩めます。
しかし、翼天瞻と羽然が辿り着いた青州は物騒な雰囲気で、船着場では罰を受ける者の姿もありました。ようやく青州に帰って来れたことに感動する翼天瞻でしたが、そこには自然とは程遠く荒れ果てた街並みが広がっていました。
42話の感想
ついに阿蘇勒によって倒された雷碧城ですが、秘術使いの雷碧城がこんなにも容易く死亡するのかについては疑問が残ります。事実、雷碧城が死亡したと思しき場所の近くからはカラスが飛んでいましたし、あのカラスに雷碧城が転生した可能性も否めません。
阿蘇勒との戦いの中で、雷碧城は常人には持つことすらできない蒼雲古歯剣を握っても何ともなかったのも不思議で、雷碧城については常識が通用しないように感じます。しかも阿蘇勒は雷碧城の秘術で蘇っており、通常は術者が亡くなればその術も効果が切れることが多く、阿蘇勒の身が心配です。
そして、ようやく翼天瞻と羽然も目的の地である青州に到着しましたが、何故青州はあんなにも荒廃してしまったのかなど、今後迎える新たな展開も楽しみです。
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