最終回【九州縹緲録~宿命を継ぐ者~】55話・56話あらすじ。阿蘇勒は辰月の雷碧城を討ち、ついに朔北部との戦いの日を迎えます。朔北部の軍勢が阿蘇勒たちを待ち構える中、大勢の兵を率いて現れたのは姫野でした。この記事では、ネタバレ感想をお届けします。
55話あらすじ
彤雲山の地下牢。祖父の亡骸の傍で呆然とする阿蘇勒の元へ、辰月の雷碧城が現れます。
雷碧城は阿蘇勒が最後の暴血の戦士となったことが喜ばしいようで、阿蘇勒には聖者のように衆生を見下ろす資格があると力説しました。ところが、阿蘇勒は雷碧城との決別を望んでおり、己と天下のためにも雷碧城を討つとの覚悟を決めます。
秘術使いの雷碧城を相手に責めあぐねる阿蘇勒でしたが、祖父から受け継いだ”大辟の刀術”で、ついに雷碧城を仕留めました。すると、そこへ朔北部の狼主が現れます。
狼主から草原の王になるよう迫られても拒絶して強硬姿勢を崩さなかった阿蘇勒も、青陽部の密偵は蘇瑪だとの発言には動揺を隠せませんでした。
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青陽部、北都城。阿蘇勒の身を案ずる蘇瑪は青陽大君の旭達罕に拝謁し、真顔部の奴隷4000人と引き換えに阿蘇勒を見逃すよう願い出ます。
旭達罕からすれば、今青陽部が最も必要とする兵を補える魅力的な申し出です。しかし、それよりも旭達罕の阿蘇勒に対する劣等感のほうが勝っていたゆえ、旭達罕は蘇瑪の申し出を受け入れませんでした。
元より旭達罕は何をしても肯定される阿蘇勒を煩わしく感じており、同じ兄弟でも自分の声は聞き入れてもらえないことに私怨を抱いていたのです。このままでは埒が開かないと悟った蘇瑪は、懐に潜ませていた短剣を旭達罕に突き刺します。
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帝都、天啓城。無事に天啓城から長公主を排除することに成功した白舟月は、このまま皇帝として天啓城に残ることを決めます。
これは平和を案じるがゆえの決断であり、今の時世では第二の長公主が出現する可能性も拭えないため、自ら天啓城を正す必要があると考えてのことでした。その後、白舟月は正式に皇帝の座に就くと、天駆武士団を護国軍とすることに加え、下唐国の百里煜と婚姻することを宣言します。
55話の感想
阿蘇勒が苦戦を強いられてきた雷碧城がこんなにもあっさり死亡するとは思えず、また何処かで復活を遂げているのではないかという不安が残りました。そもそも雷碧城は秘術が使える時点で現実離れした存在ですし、もしかしたら彼には死という概念がないのかもしれません。
それにしても、幼馴染で大切な存在だった蘇瑪から憎まれていたことを告げられた阿蘇勒が不憫で、とても居た堪れませんでした。例え蘇瑪の話したことが本当だとしても、突然現れた神医が失語症を治したという話には未だ疑問が残りますし、蘇瑪にはまだ何か秘密があるように感じます。
また、新しく皇帝の座に就いた白舟月は今後どんな天下を築くのかについても気になるところです。
56話あらすじ
青陽部、北都城。青陽大君の旭達罕は、最後の邪魔者である首領たちを排除すべく宴を開きます。
とはいえ、宴の席を利用した暗殺を目論むのは首領たちも同じで、やがて宴の席は戦場と化します。命を狙われる旭達罕は辰月の者が助太刀に入り事なきを得ますが、唯一の味方だった弟の第4王子は命を落としてしまいました。
悲しみに暮れる旭達罕の元へ、阿蘇勒がやって来ます。阿蘇勒は蘇瑪から旭達罕が辰月と結盟していたことを聞いていたゆえ、旭達罕に辰月と手を切らねば殺害すると迫りました。
追い詰められた旭達罕は阿蘇勒の申し出こそ受け入れなかったものの、これ以上阿蘇勒に迷惑はかけまいと自ら命を絶ちます。
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朔北部との戦い前夜。阿蘇勒は青陽部の若者を集め、青陽部を守るために命を落とした九王らを偲びます。
そして、阿蘇勒はここに居る者たちは身分など関係なく家族だとして、何があっても家族を守ると明日に控える朔北部との戦いへの意気込みを語りました。
翌朝。阿蘇勒は自らの意志に賛同した若者たちを引き連れ、朔北部との戦いに挑みます。
そこには真顔部の奴隷4000人の姿もあり、これは阿蘇勒に対する憎しみから妨害行為を繰り返した蘇瑪が、謝罪の意味を込めて差し向けたものでした。阿蘇勒たちが北都城を出ると、そこには朔北部率いる大勢の兵が待ち構えており、ついに青陽部と朔北部による戦いの火蓋が切られました。
すると、どこからともなく馬の嘶きが響き渡ります。次の瞬間、大勢の兵を率いる姫野が姿を現し、阿蘇勒と共に朔北部との戦いに挑みます。
56話の感想
やはり蘇瑪の失語症は雷碧城によって治療されていたり、旭達罕も辰月と結盟していたりと青陽部にも辰月の手が及んでいました。しかし辰月の目的は曖昧なままで、雷碧城が何をしたかったのかついては謎が残ります。
雷碧城の真の目的こそわかりませんが、これまで強い者の元だけを転々としていることから、雷碧城は全ての物事を将棋のように捉えて自身は棋士として楽しんでいたのかもしれません。それにしても、ラストの姫野が駆けつけたところはとても感動的で、阿蘇勒と姫野の友情は素晴らしいものだとつくづく感じました。
阿蘇勒たちと朔北部の戦いの結末が見れなかったのは残念でしたが、ある日突然宿命を背負うことを余儀なくされた阿蘇勒という青年の物語としてはとても面白かったですし、大迫力の戦闘シーンには度肝を抜かれました。