ストックホルムオリンピックでは、羽田の走りで世界レコードを更新した金栗四三への期待が高まるなかでマラソンレースが行われようとしていました。1914年7月14日、体調は万全、日本の未来を背負った金栗四三の挑戦が始まります。遠く離れた日本でも今か今かとその時を持っていました。
大河ドラマ『いだてん』
第12回「太陽がいっぱい」あらすじ
ストックホルムオリンピック最後の競技マラソンレース。スタートは1時30分ということで、金栗は少し早めの11時にホテルを出発することにしました。
大森監督も、「金栗の走りが見たい」と病を押して会場に向かうことになります。2人は電車で会場入りする予定でしたが、降りる場所を間違えてしまい結局歩いていくことになりました。
しかし、大森監督は歩くのがやっとの状態。金栗は、大森監督を背負って時間ギリギリで会場に到着したのです。
大森監督を背負っている間、金栗の脳裏には亡き父を背負ったあの頃の思い出で溢れかえっていました。父も応援してくれている……そう思っただけで顔もほころびます。
その頃、嘉納治五郎はオリンピック創設者クールベタンを訪ねていました。クールベタンは「4年までのロンドンオリンピックでは、イタリアの選手がゴール直前で倒れたこともあり、何かアクシデントがあればマラソンレースを続けることが出来ない」と不安を口にします。
嘉納は、注目してほしい選手として金栗四三の名をあげました。「彼はこう呼ばれている”いだてん”」と……。
スタートギリギリで控室に入ってきた金栗四三。急いで支度して会場に入るなり、群衆の熱気に圧倒されてしまう。スタート位置に案内してもらとすぐにレースが始まります。
その頃、金栗の故郷・熊本県春富村ではスヤの計らいもあり、金栗家に大勢の人々が集まって四三を応援する一方で、東京高等師範學校では校長からの電報を今か今かと待っていました。
ストックホルムでの気温は30度以上となる中で、金栗は息の上がった選手を次々と追い越していきます。
そして4.8 キロ地点での通順位が旗揚げで知らされました。
1位通過:フィンランド
2位通過:スウェーデン
3位通過:アメリカ
大河ドラマ『いだてん』の見どころ
幼少時代の金栗が登場!
金栗四三は、スタートを出遅れたものの折り返し地点では選手の中盤ほどにいたとのことでした。気温が30度以上という過酷なレースの途中では、足元がふらついてしまう場面も。
ストックホルムの到着した当初のコース確認で、金栗は一か所道を間違えたことシーンがありましたが、脱水症状で朦朧としていた際にあの場所でコースダウンしてしまいました。
最初は給水所に立ち寄る余裕もありましたが、他国の選手の速さに圧倒され、中盤以降は給水所にも立ち寄らなかったことで日射病となり、体がいう事を聞かなくなってしまったようです。
そんな中、金栗の前に幼少時代の自分が現れます。幼少時代の自分は、「呼吸はスーハーじゃなくてスッスッハッハッだよ」と言いますが、金栗はその呼吸法も出来なくなるほど体力が限界に来ていました。
何度も道しるべとなってくれた幼少時代の四三。最後には「先に行くよ」と、姿が見えなくなります。自分を限界まで追い込んだことがレースにどんな影響を与えたのか……。
金栗はどこへ?ゴールでも棄権もしていない?
次々と他国の選手がゴールするなかで、棄権者も続々と出てきました。1位は南アフリカのマッカーサー選手、2位は同じく南アフリカのギッシャ選手で3位はアメリカの選手となりましたが、1位のタイムは金栗が羽田で出した記録よりも4分遅かったのです。
そして最後の選手がゴールするも、金栗の姿がどこにも見当たりません。棄権者の名簿にも載っておらず、金栗の行方が分からなくなってしまったのです。
そしてついに、ストックホルムオリンピックは幕を下ろします。嘉納や三島弥彦らが、棄権した選手の控室や病院、コースに至るまで捜しましたが、金栗はどこにもいません。
仕方なくホテルに戻ると、金栗の部屋のベッドに本人が寝ていたのです。見つかったことに安堵する一方で、寝ているとは何事だと怒りを露わにする者もいましたが、金栗自身もなぜベッドで寝ているのかも分からなかったのです。
その理由は、コースを外れた場所で倒れている金栗をガイドのダニエルが見つけ、申し訳ないと思いつつもホテルに運んだということでした。
結果として金栗は、棄権扱いとなり残念な結果となってしまいます。しかしこれで、当時のストックホルムの過酷さがひしひしと伝わってきました。
大河ドラマ『いだてん』12話の感想
金栗四さんが万全の体制で走り切っていれば、立てたかもしれないレースだっただけに、日射病で棄権となってしまったことは残念でなりません。
多くの人々からの期待を背負っていただけに、金栗には相当なプレッシャーが掛かっていたことでしょう。
他国選手の走りに、自分のペースを崩したのかもしれませんし、坂道ではスイスイ行けるから走れると思ったと金栗自身も思っていたようでしたが、それが逆に水分不足と日射病を引き起こしてしまったのかもしれませんね。
今回で、ストックホルム編は終わってしまいましたが、次は東京オリンピック開催に向けてのスタートなるようですね。
オリンピックで世界を東京に招致するまでの物語。その裏側ではどんな人物が、どのようにして働きかけたのか。次のストーリーにも期待が高まります。