『いだてん-東京オリムピック噺-』13話ネタバレと解説。
しかし、出場者の半数以上が棄権した過酷な環境下で、金栗自身も日射病となり意識を失ってしまいました。
そしてレース敗北から数時間後、金栗は……。
大河ドラマ『いだてん-東京オリムピック噺-』
13話「復活」あらすじ
金栗四三は、ストックホルムオリンピック、マラソンレースに敗北してから数時間後、ダニエルとマラソンコースを歩いていました。
不思議なことに金栗は、レース中のことを全く覚えていなかったのです。ダニエルによると折り返し地点から離脱者が続出。そのころ金栗は、上位20位以内に食い込んでいたとのことでした。
コースを間違えたことすらも分からず、後ろから迫ってくるラザロに追いつかれないよう、気力だけで走っていた光景を思い出します。
金栗は、「どうりでラザロが追いかけて来なかったはずだ」と、改めてコースを間違えていたことを思い出しました。
間違えたコースを進んだ金栗の後から、他国の選手も数人ついてきてしまいます。近くでお茶会を開いていた地元の人から、コースはあっちだと誘導されましたが、金栗だけはそのままフラフラと木の根のあたりで倒れこんでしまったのです。
お茶会の人たちは、金栗を日陰に寝かせて介抱してくれました。金栗は、無意識に「私は日本人で……」と繰り返し、そのまま意識を失ってしまいます。
知らせを受けたダニエルが、金栗を迎えに来ました。金栗が意識を取り戻し「残念だ……」と一言いうと、金栗は再びレースに戻ろうと起き上がろうとしますが、すでにレースは終わっていたことに気づき愕然とします。
ダニエルらは、そのまま金栗を汽車に乗せてホテルまで戻ることに。金栗は汽車の中で、レースを走り切ることが出来ない体力不足の悔しさや情けなさ、申し訳なさで涙が止まらず、周りの目も気にせずに泣きじゃくったのです。
10月15日、大敗後の朝を迎えた金栗は、日本人の体力不足、技の未熟さを日記に記しました。次のオリンピックに向けての課題として……。
大河ドラマ『いだてん』13話の解説
金栗が足袋をあげたラザロの運命
金栗が、かつて足袋をあげたポルトガルの選手ラザロは、日射病による髄膜炎で亡くなってしまいました。
彼の死は、選手や関係者に大きなショックを与えると同時に、オリンピック初の死亡者ということで”ストックホルムの悲劇”と呼ばれ、今後のオリンピックにも影響を与えることになります。
急遽、各国の大ひょうひゃたちが集められ会議が開かれました。オリンピック創設者のクーベルタンは、彼はスポーツ発展のために人生を捧げたと彼を称え、さらに妊娠4ヶ月の妻のためにも義援金を送ることを決定します。
また、ポルトガルの代表者は、彼の死を無駄にしてはいけない、ラザロを忘れないためにもと、オリンピック続投を熱く語ったのです。
これによりクーベルタンは、4年後の1916年も予定通りオリンピックを開催することを決めました。
一方で、ラザロの死は選手たちに涙をもたらしました。見晴らしのいい場所にラザロが着用していた<518>のユニホームと靴と共に墓が作られ、各国の選手が手を合わせます。
彼は42度の熱に浮かされて病院に運ばれてもなお、死の直前までレースを続けていたと彼の死を悼んだのです。
もし、金栗がコースを間違えずに走っていたら……。彼もアザロと同じ運命を辿っていたかもしれません。
大森兵蔵の偉大な仕事とは?
大森兵蔵は、今回のオリンピックに関して監督としての不甲斐なさを痛感し、病気がなければ……と弱音を吐いていました。
そんな大森に、嘉納治五郎は喝を入れます。大森は”陸上運動競技法”という偉大な遺産を残してくれた、こんな繊細な仕事がスポーツ界の未来を創るのだと、決して選手だけが主役じゃないと励ましました。
大森は、オリンピックは若者の大会であり、10年後、50年後の若者のためになる、日本人の体力が劣っているなら10年後、50年後に追いつけばいいという思いで競技法をまとめていたのです。
次の4年後のオリンピックには自分はいないだろう……そう思っていた大森に、命の息吹を与えたことは間違いないでしょう。
しかし、残念ながら大森は2度と日本の地を踏むことはありませんでした。ストックホルムオリンピックから数か月後、彼は妻アニコの故郷アメリカに渡った翌年1月。37歳という短い生涯に幕を下ろしたのです。
金栗四三の功績
金栗は、ストックホルムオリンピックで功績を残すことは出来ませんでしたが、当時スウェーデンで金栗は”Missing Japanese=消えた日本人”と呼ばれ、しばらくの間、語り草となっていたようです。
また、4年後(1916年)のベルリンオリンピックでネダルを期待されていましたが、第一次世界大戦勃発により、大会そのものが中止となってしまったようです。
1920年のアントワープオリンピックでは足を痛めて16位、1924年のパリオリンピックでは途中棄権したとされています。
ストックホルムで多くの外国人が履いていたゴム底の靴がヒントとなり、ハリマヤ(足袋屋)に頼んでハゼ(留め金)を紐に変更し、底をゴムに変えた”金栗足袋”を開発し、たくさんの選手が”金栗足袋”で走ったということでした。
また、今後は女性のスポーツ振興も大切だとして、関東女子体育連盟を結成して女性の活躍にも尽力したのです。
オリンピックでの成績は残せなかったとはいえ、金栗四三は実に様々な功績を残してくれましたが、100年後の日本のスポーツは果たして彼の思い描いた世界になっているのでしょうか。
大河ドラマ『いだてん』13話の感想
今回は、これまでで一番濃い内容だたのではないかと思いました。1話から『いだてん』を観続けていますが、ストックホルムオリンピックが終わった後の方が印象に残ります。
その時、金栗四三に何が起こったのか、当時を語る人はもうほとんどいないでしょう。だからこそ、このような形で日本初のオリンピック参加の記録を後世に伝えられるのは素晴らしいことです。
今回、金栗四三は東京師範學校と熊本、ハリノヤやスヤの嫁ぎ先の池部家に、オリンピックへの意欲を記した手紙を送っていました。
手紙が日本に届くまで2週間。届いたころにはすでにオリンピックも終わっていましたが、ハリノヤのシーンではピエール瀧が出演していたであろう部分がカットされているのが分かりました。
すでに制作済みの回で、ピエール瀧が出演しているシーンはカットされるとのこと。不自然な感じだったので、すぐにわかって頂けるはずです。
ハリノヤは金栗四三にとっても重要な協力者だったので、今後は代役があるのか、ハリノヤのシーンは省くのかを見守っていきたいですね。
次回、第14話「新世界」は2019年4月14日の放送です。時代は明治から大正へ移り変わります。金栗四三の新しい挑戦を期待しましょう。