ドラマ『インハンド』6話。
紐倉博士がサイエンス・メディカル・ルームのアドバイザーとなって初めての仕事はドーピング疑惑のある陸上選手の調査でした。
しかし検査の結果ドーピングは見つからない。
今回も紐倉博士自身の知識をもって疑惑の真相に迫ります。
6話あらすじ
紐倉博士がサイエンス・メディカル・ルームのアドバイザーとなった最初の仕事は、日本陸上界のスであり異端児と呼ばれる野桐俊選手に関するものでした。
ひとりで10000mの記録を更新し続け、次の世界大会では金メダルも期待されているとのこと。紐倉博士に依頼されたのは、野桐選手への国民栄誉賞授与にあたり、ドーピング検査をしてほしいということでした。
当然のごとく紐倉博士は断るも、高家は引き下がりません。病院を辞めて田舎の親が心配している。村のみんなの期待を背負っているからどうしても一旗揚げたいと、当月分の給料がゼロでもいいからと交渉したのです。
紐倉博士は渋々承諾。そもそもドーピングが違反だということを知らなかった紐倉は、何か質問はありますか?という問いに「ドーピングってしちゃだめなの?」と、変人ぶりを発揮しました。
まずは、牧野と高家の3人で練習中の野桐を訪ねることに……。
紐倉は練習中の野桐を細かくチェック。すると彼には細かい”ルーティン”があることが分かったのです。
☑スタート前に左右の足に触ってストレッチ
☑軽い瞑想のあと5回ジャンプして深呼吸
☑鼻を触る
☑ゴール後には野獣の雄叫びを上げて勝利のダンスを踊る
☑水分を摂って短く2回息を吐きテーブルクロス引きのような動き
☑逆の手で水を摂り、それを飲んでまた2回息を吐きテーブル引きの動きをする
すべてが規則的な動きでした。さらに、野桐には全て同じものがきれいに2つ並べられていました。
これを観た紐倉は、偶数へのこだわり、厳密なルーティンを手順通りに行わないと不安に駆られて暴れ出すということから、彼は”強迫性障害”ではないかと疑ったのです。
しかし、事態は思わぬ方向へ……。
ドラマ『インハンド』6話の解説と見どころ
高家(濱田岳)のひとり芝居に笑える!
高家が、今回の依頼を渋る紐倉を説得するときに、「田舎の母親が…」のひとり芝居は傑作です。病院を辞めて心配する田舎の母親に、内閣官房で働くことを自慢したという高家。
以下、高家のひとり芝居です。
母「いや、大したもんだね。それでこそうちの自慢の息子だよ」
高家「上司も期待してくれてんだ」
母「そうかいそうかい、死んだ父ちゃんも鼻が高いね。」
「チン…」鈴を鳴らす真似。
母「父ちゃん聞いてるかい?春馬が立派に出世したよ」
高家「なんだ母ちゃん、泣くことねえじゃねえか」
母「バカ言いな!線香の煙が目にしみただけだよ」
村人「おーい、入るぞ。あっ、春坊 帰ってたのか!?」
母「ちょうどいいとこに来た。実は、上がんなさい上がんなさい、うちの春坊がね……」
出典:ドラマ『インハンド』6話から引用
と、村中大騒ぎになったから親孝行させてほしいと紐倉に頭を下げます。
このコミカルなひとり芝居は、濱田岳ならではの魅力いっぱい詰まったひとコマでした。
野桐は命がけの挑戦をしていた!
紐倉が野桐を観察していくうち、彼がドーピングをしていることが明らかになりました。ただ、彼が行っていたのは通常のドーピングとは違う遺伝子ドーピング。
遺伝子とは、遺伝子情報のひとつの単位で、全ての生物は遺伝子を持っています。それらは個々の生物によって異なり、特定の筋肉がつく遺伝子などを取り込む遺伝子ドーピングをすれば筋肉を増強したり。血液の酸素運搬能力を高めたりすることが理論的に可能というもの。
普通のドーピングとの違いは、検知することが格段に難しいということで、見破る方法としては、ドーピング前の生態サンプルとの比較しかないということでした。
しかし、時に狙いではない遺伝子に傷がついてしまう危険性もあったのです(オフターゲット効果)。野桐はまさにその状態でした。彼は、リンパ系組織がガン化し悪性リンパ腫を発症してしまったのです。
彼が喉や脇を触ったり、ルーティンに変化があったのも、すべてリンパがある場所。紐倉は、野桐のちょっとした仕草や動きの変化から、彼がオフターゲット効果によるガンを患っていると見抜いたのです。
野桐は、自分がガンを患っていることを知りつつも走る理由は、「自分という人間の限界を超えた景色を見てみたい」ただ、そのためだけに走っていたのです。
そして彼は、最後の走りを覚悟したレースの参加途中で意識を失い倒れてしまいました。
6話視聴率は9.8%でした。(ビデオリサーチ調べ、関東地区)