「黒豊と白夕(こくほうとはくせき)」18話・19話・20話のあらすじとネタバレ感想。白風夕は錯乱した黒豊息の経穴を押して正気に戻しました。黒豊息が正気に戻った時に白風夕は力を使い果たして倒れ、今度は黒豊息が白風夕に気を送って目覚めさせ……。
18話:玉無縁の正体
秘技を得る過程で錯乱した黒豊息は白風夕を攻撃してきます。白風夕は太陰老人の教えに従って経穴を押して黒豊息を正気に戻しました。
黒豊息が正気に戻った時、白風夕は力を使い果たして倒れてしまいます。黒豊息は白風夕を抱きとめ、今度は黒豊息が白風夕に気を送って目覚めさせました。
太陰老人は”蘭因璧月”は互いのために犠牲となり命を捧げてこそ得られる技だと言うのでした。
その頃、陣から解放された玉無縁のところに断魂門の門主が駆けつけ、玉無縁を”若様”と呼んでいました。玉無縁は断魂門の者たちを霧山のふもとに行かせ下山する者たちを待ち伏するように命じます。
太陰老人は黒豊息に”社稷堪輿図”(大東国のすべての山河を詳細に記した図)、白風夕に秘技と同じ”蘭因璧月”という名の花を授けました。黒豊息と白風夕が太陰老人の配下に案内されて下山した後、霧山が崩れ落ちます。
配下は、あの場所は太陰老人が自ら選んだ墓だと説明しました。黒豊息と白風夕を送り出した後、太陰老人の配下の前に玉無縁が立ちふさがります。
玉無縁は白風夕が”蘭因璧月”を会得したのかと尋ねますが、太陰老人の配下は自分は答えられないと言いました。すると玉無縁は太陰老人の配下を攻撃します。
玉無縁の技を見た太陰老人の配下は蛩蛩の子孫かと尋ねました。玉無縁は太陰老人の配下を殺してしまいます。
その後、玉無縁は黒豊息たちに先回りして偶然出会ったふりをし、ふもとで戦う音が聞こえたと言いました。
3人でふもとへと急ぐと、皇朝ら下山してきた者たちが断魂門に襲われていました。黒豊息と白風夕は協力して断魂門を撃退します。
それを見ていた玉無縁は黒豊息と白風夕が2人で秘技を習得したと察しました。
皇朝は霧山に閉じ込められていた者たちを率いて下山すると言い、玉無縁も同行します。黒豊息は白風夕に、断魂門の攻撃で負傷した白建徳の養生のために天霜門一行とともに雍州の都に来ることを勧めました。
翌朝、朝議の時刻になっても豊蘭息が姿を現さず、家臣たちはざわつきます。その時、豊蘭息が現れて遅れたのはこれを取りに行っていたからだと言い、雍州王に”社稷堪輿図”を献上しました。
そして豊蘭息は”社稷堪輿図”を得た経緯を次のように語りました。
船から落ちた時、自分を救ったのは実は漁民ではなく太陰老人だった。太陰老人は自分の病を治し武芸を伝授してくれた。しかし太陰老人からは秘密にするように言われていて口外できなかった。
東の辺境に行っている時に太陰老人から”命が尽きるゆえ霧山に来い”という知らせがあった。そして霧山で”社稷堪輿図”を授けられた。
その時、大東国の使者が来たとの知らせがあります。実はこの使者は豊蘭息が大東国にいる鳳棲梧の遠戚に頼んで遣わせたものでした。
前王妃の倚歌公主は大東国皇帝の妹。早世した倚歌公主に生誕40年の供え物を贈るため、大東国皇帝が今回の使者を派遣したとのこと。
使者は倚歌公主の霊廟にお参りしたいと申し出ますが、雍州王は自分が長らく訪れておらず祭壇が整備されていないので焦ります。
その時豊蘭息が使者に倚歌公主の誕生日は3日後、まずは旅の疲れを癒してはと提案してその場をしのぎました。
その後、婚姻のことで気が塞いでいた豊萇は気晴らしに街に出て偶然白風夕と再会します。豊萇が親の決めた婚姻をすると知った白風夕は「気の進まぬ婚姻は夫婦2人が苦しむことになる」と言うのでした……。
19話:豊萇の決意
倚歌公主の誕生日に祭礼が行われました。祭壇の前で酒を捧げようとした百里氏は怯えた様子になり盃を落としてしまいます。雍州王は百里氏を30日間の禁足処分にしました。
一方、玉無縁は黒豊息と白風夕から”蘭因璧月”を奪うためにしばらく雍州の都にとどまることにします。
百里氏は、祭礼は豊蘭息が自分を陥れるために仕向けことだと考えました。そのため百里氏は禁足中の身でありながらも豊萇の婚姻を強引に進めようとします。
婚姻を急かされた豊萇は百里氏にきっぱりと「あなたの用意した女子は娶りません」と言いに行きました。百里氏はそれなら私の豊蘭息への嫌がらせにあなたも関与していたことにし、持病のことも言いふらすと言って脅します。
仕方なく豊萇は戚国公の娘との婚姻を進めることにしました。
そんな中、白建徳は黒豊息に偽の玄極令を渡し、隠泉水榭で調べてほしいと言います。そして白建徳は自分は玄極令を密かに守る役目をする”護令者”だと明かしました。
白建徳が白風夕から偽の玄極令の話を聞いて他の護令者に尋ねたところ、その者も偽の玄極令を見つけていたとのこと。
また白建徳は黒豊息に、白風夕を心配させないためにこのことは秘密にしてほしいと言うのでした。
豊萇は婚姻にあたって雍州王から爵位を与えられます。豊萇が爵位を得たと聞いた豊莒は悔しがり、叔父の百里景とあることを企むのでした……。
20話:梅の宴での事件
百里景は梅の宴を催し、百里氏からの命だと偽って豊萇に豊蘭息を招くように言いました。豊萇は百里氏に従ったふりをして豊蘭息を招く一方、軍馬の件で恨みを持つ商人に豊蘭息を襲わせて外出を控えるように警告します。
豊蘭息が恨みを持つ者に不吉な黒犬の血を浴びせられたと聞いた白風夕は、厄払いだと言って香料の効いた西域の肉料理の屋台に誘いました。
梅の宴の日、豊蘭息は罠だと気づきながらも豊萇を案じて宴に出席することにします。
宴で豊蘭息は酒楼の2階に案内されました。そこで豊莒の息のかかった酒楼の使用人がわざと鐘離にぶつかって茶をこぼします。使用人は着替えを用意すると言って別の部屋に案内し、そこで鐘離を気絶させます。
1人で戻って来た使用人は豊蘭息に睡眠薬入りの茶を勧めます。
豊蘭息が眠ったところで、使用人は2階に戚国公の娘の骸を運び入れました。そこへ豊萇が来ます。その時、眠らされたふりをしていただけだった豊蘭息が起き上がり、使用人を気絶させました。
私を陥れたのかと尋ねる豊蘭息に豊萇はわざと冷たく私は長子、お前は嫡子、いずれは憎み合う日が来るだろうと言います。
その言葉を聞いた豊蘭息は兄上の本心ではなく誰かに強要されたのではないかと問いました。それでも豊萇は態度を変えず、豊蘭息を部屋から追い出します。
その後、豊萇は使用人が戚国公の娘を殺したように見せかけるため、気絶している使用人の胸倉を掴み、大声で”なぜ殺した?”を叫びました。
客たちがその声に気づき驚く中、2階から豊萇が落ちてきます。豊萇は意識はないものの命に別状はないことがわかり、運ばれて行きました。
その後、店主が豊莒と2階を見に行き、戚国公の娘の骸を発見します。戚国公は豊蘭息が娘を殺し、豊萇を突き落としたのではないかと疑いました。
そこへ外から豊蘭息が来ます。戚国公にここにいたのではないかと尋ねられた豊蘭息は退屈だったので庭の池で釣りをしていたと答えました。
豊莒が証人はいるのかと問うと、何人かの客が豊蘭息が庭で釣りをしているのを見たと証言します。
その時突然、意識が朦朧とした様子の百里景が部屋に飛び込んできました……。
実は豊蘭息たちは罠にはめられたふりをしていただけで真相は次のとおりでした。
鐘離は気絶させられたふりをしていただけで、給仕が出て行った後に部屋を抜け出し、笠を被った豊蘭息の身代わりが庭の池で釣りをするのに付き添っていた。鐘離が付き添っている様子を見た客たちは身代わりを豊蘭息本人だと思い込んだ。
また豊蘭息と鐘離は百里景を捕まえ、経穴を押して意識を朦朧とさせた後で戚国公の娘の骸の爪で百里景の頬にひっかき傷を作った。
その後、豊蘭息は雍州王に戚国公の娘の件は私を陥れるための罠だったと訴えます。豊莒は自分が疑われないように豊蘭息を擁護しますが、戚国公は豊蘭息が百里景を陥れようとしたのだと訴えました。
結局、豊萇の意識が戻るのを待って再び審議することになり、家臣たちは解散します。
家臣たちが下がった後、百里氏が禁足中にも関わらず強引に雍州王に謁見に来ました。百里氏は弟である百里景の罪を償うために王妃の冠を返還すると申し出ます。
そして百里氏は泣きながら今回の事件には自分と豊莒は関係ないと強調しました。
その後の調べで酒楼から使用人の骸が見つかり、骸の手には黒狐の毛が握られていたことがわかります。また戚国公の娘の骸にも同じ黒狐の毛が付いていていて、両方の毛から同じ酒の匂いがしたとのこと。
事件のことを百里氏に問い詰められた豊莒は、百里景から指示されたことだと言ってごまかすのでした。