「黒豊と白夕(こくほうとはくせき)」3話・4話・5話のあらすじとネタバレ感想。断魂門が虞城にある隠泉水榭の拠点を壊滅させたと聞いた黒豊息は、虞城の名門、祁家の手を借りると言います。その後、黒豊息の馬を見た祁家の息子が馬を売れと言ってきて……。
3話:虞城へ
断魂門は黒豊息たちに先回りし、虞城にある隠泉水榭の拠点を壊滅させます。天下に遍在する隠泉水榭の拠点の1つを無くして情報源を減らすのが狙いでした。
黒豊息は虞城で隠泉水榭の力を使えなくなったので、虞城のもう1つの名門である祁家の手を借りると言います。
一行が馬を外につないで茶楼で食事をしていると、祁家の息子の祁雲が馬を売れと言ってきました。断られると祁雲は護衛に黒豊息を襲わせようとします。
侍従の鐘離が応戦しようとしますが歯が立たず、黒豊息は白風夕を自分の侍女のように呼び、祁雲の護衛の相手をするように言いました。
白風夕のひと蹴りで護衛は立ち上がれなくなり、祁雲は怒って立ち去ります。白風夕は黒豊息が祁家の力を借りると言っていたのに怒らせてしまったことを不思議に思いますが、黒豊息には考えがあったのです。
逃げ帰った祁雲は父の祁延年にあの馬を買ってほしいと泣きつきますが、馬の持ち主の特徴を聞いた祁延年は祁雲を連れて謝罪に行きました。
謝罪後、祁延年は相手が黒豊息だと見抜いた上で、祁家の財産の一部を差し出す代わりに商売敵の尚家が持っている塩の売買許可証を手に入れてほしいと頼みます。
そして祁延年は、尚家当主の尚也が今夜訪れるという酒楼の情報を伝えました。
黒豊息は白風夕に妓女に扮して尚也の個室で踊って誘惑し、断魂門との関係を聞き出して塩の売買許可証を出させるように言います。
白風夕が踊り始めると尚也が迫ってきたので黒豊息が部屋に踏み込み、2人がかりで尚也を断魂門の根城を吐くように脅しました。尚也は根城の地図を描くふりをして立ち上がり、そのまま窓から逃げてしまいます。
黒豊息と白風夕は一緒に尚也の後を追い、断魂門の根城に潜入しました。すぐに武器を持った断魂門の者たちに囲まれてしまいますが、2人で協力して倒します。
尚也は取り逃がしますが、黒豊息は断魂門の根城で1枚の手巾を拾っていました。手巾の刺繍を見た黒豊息は“蛩蛩と距虚”という伝説の珍獣だと言います。
翌朝、白風夕は昨夜尚家で火事があったと知りました。黒豊息によると尚也は家財に火を放ち妻子だけを連れて逃げたとのこと。
白風夕は黒豊息が火事場に行って尚家の財産を横取りしたと思い込んで非難しますが、黒豊息は取り残された尚家の侍従も助けていたのでした……。
その後、白風夕が韓樸を連れて天霜門に向かっていると、目の前に黒豊息が現れます。白風夕は先ほど勘違いで非難してしまったことを謝ろうとしますが、黒豊息はもう許したと言って遮りました。
その時、一行は怪我をした白と黒の2羽の子鳥を見つけます。黒豊息は白い子鳥を、白風夕は黒い子鳥を連れ帰って世話することにし、それぞれの帰路につきました。
道中、白風夕と韓樸がわずかな所持金で食事をとろうとしたところ、たくさんの流民がやってくるのを目撃します。
店主によると大東国が玄極令を紛失したために商州軍が皇室の直轄地である洛城に戦をしかけ、民が逃げてきているとのこと。
その話を聞いた白風夕は店主に所持金を渡して流民に食事を配るように言い、自分たちは食事をしないで立ち去るのでした。
4話:皇朝との出会い
食事ができなかった白風夕と韓樸は山中で魚を焼いて食べようとしていました。焚き火を吹いた韓樸は白風夕の顔に灰をかけてしまいます。白風夕が怒ったので韓樸は草むらに逃げ込みました。
すると何者かが韓樸に剣を突きつけてきます。白風夕が素手で剣を止めると、それは冀州の皇朝の配下、蕭雪空でした。その時皇朝が来たので、白風夕は蕭雪空の剣を奪って皇朝に斬りかかります。
皇朝も自分の剣を取って応戦。白風夕はこんな強敵は久しぶりだと言いました。皇朝に名を尋ねられた白風夕は名乗らず、正体をごまかすために韓樸とは姉弟ということにします。
白風夕は韓樸を連れて先を急ごうとしますが皇朝は白風夕を呼び止め、手合わせをして覚悟したのは2人目だと言いました。白風夕が1人目は誰かと尋ねると玉無縁だと答えるのでした。
その頃、商州軍に攻められている洛城に玉無縁が到着していました。玉無縁は商州軍総帥に撤兵してくれれば商州人は洛城で免税するという交換条件を提示します。
総帥はひとまず停戦してその言葉を商州王に伝えることにしますが……。
山中では、空腹だという白風夕と韓樸に皇朝が食事をふるまっていました。食べ終わると白風夕はごちそうしてもらったお礼だと言って皇朝に1つの包みを渡し、”黒豊息は偽物だと言っていたが真偽は自分で確かめて”と言います。
白風夕と韓樸が立ち去った後、皇朝が包みを開けると中には玄極令を隠した短剣があったのです!皇朝は彼女が白風夕だったと気づきます。
商州軍総帥は商州王に上奏文を送りますが敵前逃亡とみなされて軍権を奪われ、代わりに劉太監が軍を指揮して洛城を包囲しました。
そこへ黒豊息が現れ、「欲に目がくらむ者は多いが己を見失うな」と商州王に伝えるよう劉太監に行って停戦させます。
その後、黒豊息と玉無縁は戦で死者を出すことは極めて愚かだという考えが一致して意気投合しました。2人が酒を酌み交わしているところへ皇朝から玉無縁あてに手紙が届きます。
玉無縁は黒豊息に朗報が2つ、凶報が1つだと言いました。黒豊息は凶報は燕瀛洲の死、吉報の1つは玄極令を入手したことだろうと言い当てます。
そして玉無縁から、もう1つの朗報は皇朝が白風夕と出会ったことだと聞かされた黒豊息は動揺するのでした。玉無縁は急用だと言って帰ってしまいます。
一方、引き続き天霜門を目指して韓樸と歩いていた白風夕は玄極令を追う者たちに行く手を阻まれました。白風夕は玄極令はもう皇朝に渡したと言いますが、追っ手たちは信じようとしません。
そこへ皇朝が現れ、玄極令は私の手にあると宣言しました。それを聞いた追っ手たちは立ち去ります。皇朝も騒動が起きる前に自国に帰ると言いました。
しばらくして天霜門宗主の娘である白琅華と弟弟子の修久容が迎えにきます。
天霜門に帰った白風夕は宗主の白建徳に断魂門と戦ったこと、断魂門の根城で拾った手巾の刺繍が蛩蛩と距虚がだったことを話しました。
その話を聞いた白建徳は驚き、かつて都を襲った残虐非道な謎の軍隊の旗印が蛩蛩と距虚だったと語るのでした。
5話:黒豊息の正体
韓樸は天霜門で修行することになります。
黒豊息は実は雍州の第二王子、豊蘭息でした。正体を隠すために病弱なふりをして温泉宮で静養していることにし、黒豊息として動いていました。ある日、第三王子の豊莒が兄の病状を確かめようと急に温泉宮を訪問します。
豊蘭息の秘密を知る侍従の任穿雨は慌てて鳴り矢で父の任都督を呼び、侍女の環娘は時間を稼ぐことにしました。
環娘は豊莒に、豊蘭息は気功治療中だと言って足止めします。そこへ第一王子の豊萇も来て豊蘭息に会いたいと言いました。
環娘が再び気功治療中だと言うと、豊萇は環娘を平手打ちして強引に宮に入ろうとします。それでも環娘は「たとえ死んでも殿下の命には背けません」と言って豊萇を止めました。
その言葉を聞いた豊萇は環娘を鞭で打ち、見ていられなくなった豊莒は豊萇を止めます。そこへ任都督が来て豊萇の乱暴な振る舞いを諫めた後、豊萇と豊莒を宮の中に案内しました。
しかし任穿雨が豊蘭息の部屋の扉の前に立ちふさがり気功治療中は風を入れてはならないと言ったので、豊莒は窓から中の様子を覗くだけにしておきます。薄暗い部屋の中では身代わりが気功治療を受けていました……。
豊莒は任穿雨に金を渡し環娘に滋養のある物を食べさせてやれと言って帰って行きます。その後で豊萇は任穿雨に今回はだませても次は助けてやれぬと言って帰って立ち去りました。
任都督は任穿雨に大至急、黒豊息を呼び戻すように命じるのでした。
豊莒は宿に帰った後、部屋の中で気功治療を受けていたのは身代わりだったのではないかと考えます。豊莒は父である雍州王を伴って再び温泉宿へ行くことにしました。
翌日、雍州王とともに第二王子の部屋に入った豊莒は豊蘭息本人が寝ていたことに驚きます。雍州王は自分が連れて来た太医に豊蘭息を診るように命じました。
脈を診た大医は極度の疲労と寒邪によって持病が再発していると診断。豊莒は温泉で静養していたはずなのになぜ疲労して寒邪に侵されているのかと追及します。
豊蘭息は写経をしてこの近くにある母の墓参りに行ったと言ってごまかしました。雍州王は豊蘭息の行いに感心し、都に戻って秋の狩猟に参加するように言います。
一行が帰った後、任都督は豊蘭息に今年の秋の狩猟は鳳家の女性当主である鳳棲梧の婿選びも兼ねていると明かすのでした。
その後、豊蘭息は環娘が体を張って秘密を守ってくれたと聞いて簪を渡しました。環娘は平静を装いながらも喜びます。
その頃、断魂門によっていくつもの門派が滅ぼされるという事件が起きていました。白風夕は白建徳らとともに滅ぼされた門派の調査に向かうことにします。