「黒豊と白夕(こくほうとはくせき)」6話・7話・8話のあらすじとネタバレ感想。黒豊息と白風夕はそれぞれ断魂門が今まで滅ぼした門派を検証し、断魂門の次の標的を予想します。そんな中、雍州で秋の狩猟が行われ……。
6話:秋の狩猟
黒豊息と白風夕はそれぞれ断魂門が今まで滅ぼした門派を検証していました。
その結果、今まで滅ぼされた門派の中には薬の秘方を持つ門派、布陣に長ける門派、刀匠のいる門派があり、断魂門は強い軍隊を作ろうとしていると2人とも気づきます。
そして黒豊息も白風夕も断魂門の次の標的は馬術に長ける冀州の馬家だと考えるのでした。
雍州の秋の狩猟の日。鳳棲梧は3人の婿候補を次のように品定めします。
- 第一王子は鹿を狩るために子鹿を囮にしている。もし嫁げは私も殺されるかも。
- 第二王子は狩場で狩りをせすに茶を飲んでいる。弱々しく女子以上にこだわりの強い男。
- 第三王子は一心に狼を追っている。功名心に駆られている証拠。
豊蘭息が茶を飲むばかりで一向に狩りをしようとしないことを見かねた豊萇は、自分の獲物の1つを豊蘭息に与えるのでした。
その後、馬に乗って1頭の狼を追っていた鳳棲梧は、いつの間にか4頭の狼に囲まれていました。1頭は仕留めたものの、残りのうちの1頭に馬に体当たりされて落馬してしまう鳳棲梧。
鳳棲梧が狼たちに襲われそうになった時、豊蘭息が駆けつけ、鳳棲桐の弓を手に取って3本の矢をつがえ3頭の狼を同時に仕留めました。
弓の腕前を隠していたことに驚いている鳳棲梧に、豊蘭息は”鳳家は秘密を守る”とは誠か?と意味深な質問をしました。鳳棲梧が黙っていると豊蘭息は弓を返して立ち去りました。
遅れて駆けつけてきて狼を見た配下に「当主が仕留めたのですか?」と尋ねられた鳳棲梧は「そうよ」と答えるのでした。
狩りの成果を雍州王に報告する刻限になります。
まず、豊萇が鹿2頭、小獣10羽を献上し20点と評価されました。
次に雍州王は豊蘭息を指名しますが、豊蘭息は今侍従に取りに行かせていると答えます。
それを聞いた豊莒は意気揚々と鹿2頭、狼2頭を献上し30点と評価されました。
その時、鳳棲梧が自分も参加したいと名乗りを上げ、先ほどの狼4頭を献上します。豊蘭息以外の全員が驚き、雍州王は鳳棲梧に褒美の家伝の剣を授けようとしました。
そこへ豊蘭息の侍従たちが鹿20頭を生きたまま連れてきます。そして豊蘭息は自分は病弱なため殺生を望んでいないが父の命には背けなかった、そこで獣がおとなしくなる植物の汁をまき餌として侍従に使わせたと説明しました。
雍州王は感心し、家伝の剣を豊蘭息に授けます。
屋敷に帰った鳳棲梧は配下に隠泉水榭に文を送り黒豊息を調べるように命じるのでした。
その夜、任穿雨が環娘になぜ豊蘭息が病弱なふりをしているのか尋ねると、環娘は次のような話をしました。
豊蘭息の生母は大東国から嫁いだ倚歌公主。倚歌公主は側室の百里氏のことも快く迎え入れ、百里氏の子の豊萇の世話までした。そのため豊萇は他人には冷淡でも豊蘭息にだけは親身にしている。
倚歌公主は豊蘭息を出産後に体調を崩したが、百里氏は第三王子となる豊莒を産んだ。数年後、倚歌公主は亡くなり、百里氏が王妃になった。
百里氏は表向きは豊蘭息を実子と同様に育てたと言われているが、本当は豊蘭息を放蕩者にするために妖艶な女たちに世話をさせ、自分の子である豊莒を世子にしようとしていた。
豊蘭息は表面上は百里氏とうまくやるため、百里氏が盛った毒で病弱になったふりをしている。
鳳棲梧からの文を受け取った黒豊息は、豊蘭息の姿で鳳棲梧に会いに行くことで暗に正体を明かします。鳳棲梧は”今日から鳳家は豊蘭息と黒豊息の両方の殿下に忠誠を尽くす”と誓うのでした。
その夜、馬家は断魂門に襲われましたが、白風夕ら天霜門が事前に陣を張っていたために事なきを得ます。
7話:断魂門の襲撃
雍州王が朝議で大東国の力が弱まり玄極令が冀州の手に渡った今、我が国はどうするべきかと質問します。家臣たちから冀州を攻めるべきだとの意見が出て、豊莒が同調しました。
それを聞いた雍州王は豊蘭息に意見を求めます。豊蘭息は今は戦を仕掛けずに民に武器を配って稽古をさせ、機会を窺うべきだと答えました。
家臣たちは民に武力を与えるのは王権の力を失わせて国力を弱めると反対。雍州王は豊蘭息を叱責します。豊萇は豊蘭息をかばいますが、雍州王は豊蘭息に半月の禁足を命じました。豊莒はほくそ笑みます。
その後、雍州王は豊蘭息の屋敷を訪ねました。雍州王は豊蘭息に朝議で叱責したのは、大臣たちから豊蘭息を守るためだと明かします。
豊蘭息はわかっていますと言いながらも今日の叱責で体調が悪くなったとさりげなく強調。雍州王は屋敷への立ち入りを禁じるのでしっかり養生するようにと言って帰っていきました。
狙い通り豊蘭息は屋敷に籠っているふりをして馬家に向かうことにします。
その頃、馬家は凄腕の刺客6人に襲われていました。2人は倒したものの、馬術の秘伝の書が奪われ、白建徳も負傷してしまいます。
白風夕は白琅華たちに白建徳を連れて逃げるように指示し、残りの刺客4人に1人で立ち向かおうとしました。そこへ現れた黒豊息は白風夕の腕に傷があるのを見て、白風夕の口にさっと薬を入れます。
そして黒豊息は白風夕に傷を負わせた者に復讐すると言って次々と3人の刺客を倒しました。その時玉無縁が現れ、残りの1人の刺客を倒し馬術の秘伝の書も取り返します。
黒豊息が玉無縁の名を呼ぶのを聞き、皇朝から話を聞いて玉無縁に会いたいと思っていた白風夕は喜びました。玉無縁も白風夕に皇朝から聞いた”天下一の女侠”を見に来たと言います。
玉無縁と意気投合して話す白風夕を見て面白くない黒豊息は”負傷しても口数は減らぬな”と言って話に割り込みました。
白風夕に”口は話すためにある 食事の時も使うけど今食べ物はない”と言い返された黒豊息は白風夕に食べ物を渡します。
すると白風夕はその食べ物を持って”一緒にどう?”と玉無縁を誘い、黒豊息はますますおもしろくないのでした。
翌日に白風夕がまた玉無縁と会う約束をしたと聞いた黒豊息は、玉無縁に探りを入れに行きます。すると玉無縁が真珠のついた装飾品を持っていました。
黒豊息が想い人に贈るのかと尋ねると玉無縁は想い人はいない、友に贈ると答えます。その友が白風夕だと聞いた黒豊息は贈っても売り払って酒代にされるぞと言って阻止しようとしました。
玉無縁は笑いながら、さすが黒豊息は白風夕を知り尽くしているなと言って白風夕との待ち合わせ場所へ向かいます。
実は白風夕が玉無縁と会う約束をしたのは皇朝から天下一だと聞いた玉無縁と手合わせがしたかったからでした。白風夕は仙術で川面を渡って対岸に着く速さを競うことを提案します。
それを聞いた玉無縁は黒豊息の心配は杞憂だったなと言い、2人の様子をこっそり見ていた黒豊息も安堵するのでした。
白風夕と玉無縁の速さ比べの結果は同着。2人は再会を約束して帰っていきます。
その後、白建徳は近くに住む友に会いに行くと言い、白風夕に弟子たちを連れて先に天霜門に帰るように指示しました。
雍州では、豊萇が吏部(人事を司る部署)、豊蘭息が工部(公共工事を司る部署)、豊莒が戸部(財政を司る部署)に配属されることになります。鳳棲梧は雍州王が3人の王子を考査するつもりだと考えました。
鳳棲梧は豊蘭息に会いに行き、吏部と戸部にいる鳳家の配下に命じて2人の王子を陥れることを提案します。豊蘭息はそれを断り、むしろ吏部の鳳家の配下に折を見て豊萇を手伝わせてほしいと頼むのでした。
8話:豊蘭息と豊莒の攻防
豊莒が王命により帳簿検査のために工部に来るという知らせがあります。工部尚書は密かに豊蘭息に昨年雹害で城壁工事に支障が出て陵墓の建造費から銀葉50万枚を流用していると明かしました。
豊蘭息は豊莒に王命だと言うなら雍州王親筆の王命を見せるように迫りますが、豊莒は言葉だけでは王命ではないのかと言って検査を強行します。
豊莒が銀庫を開けさせると中身がありません。豊莒は帳簿に銀葉50万枚の支出を見つけて陵墓の建造費の流用を指摘します。
ところが豊蘭息は落ち着き払って戸棚の扉を開けてその陰で衣のたもとから銀葉と同じ額面の銀票を取り出しました。そしてあたかも戸棚の中から取り出したように見せ、銀葉はかさばるから銀票で保管していたと説明します。
また豊蘭息は鐘離に本当に雍州王が王命を出していたか調べに行くように命じました。豊莒は慌てて自分の勘違いだったと言ってごまかそうとします。
その後、工部尚書が雍州王に豊莒が王命を偽ったことを報告しました。雍州王は立腹し、豊蘭息に豊莒をどう罰するのが適当か意見を聞きます。
豊蘭息は、豊莒には軽い罰でよいと思うが、伯父であり戸部尚書である百里恒の二心を疑うと進言しました。雍州王は百里恒を降格させて地方長官に転任させると言い、豊莒には禁足と罰金の罰を与えます。
すかさず豊蘭息は雍州王に廉江が氾濫していることを報告し、工部の者と河川改修に行く許可を求めました。雍州王はよい心がけだと言ってすぐに許可します。
荒れた廉江を船で視察した豊蘭息が帰ろうとした時、潜水してきた謎の集団に船底が破壊されて船が傾いてしまいました。豊蘭息は水中に投げ出され……。
その頃、天霜門一行は廉江を通って船で帰ろうとしていました。白風夕は廉江を流されてきた黒豊息を自分たちの船に引き上げます。
黒豊息は意識はないものの、うわごとで環娘の名を呼び寒いと訴えていました。白風夕は環娘の名に動揺しながらも黒豊息を抱きしめて温めようとし、そのまま自分も眠ってしまいます。
翌朝目覚めた黒豊息は白風夕が自分を抱きしめて眠っていることに驚き、とりあえずまた寝たふりをしました。
その後、目覚めた白風夕も自分が黒豊息を抱きしめたまま眠ってしまったことに驚き、気づかれないようにそっと寝台から抜け出します。
白風夕は黒豊息の熱を確認し、下がっていることに安心しました。その後、目覚めた黒豊息は白風夕に素直にお礼を言います。
珍しく感謝された白風夕は照れ隠しに何か食べたい物はあるか尋ねました。黒豊息はいつもの調子に戻ってわざと珍味を要求。白風夕は珍味は環娘にでも頼めばと言って部屋から出て行ってしまいます。
一方、王室の調べで豊蘭息の乗った船の船底を破壊した者たちは豊萇の配下だったと判明。しかし鳳棲梧は本当の黒幕は豊萇ではなくこの件で漁夫の利を得る豊莒ではないかと考えるのでした。
白風夕は要求された珍味の代わりに黒豊息に簡素な麺料理を作ります。麺を食べ終わった後、黒豊息は白風夕に、生母が亡くなった後に来た継母から家督を渡すまいと何度も毒を盛られていたと自分の生い立ちを話しました。
黒豊息は今回の件も家族に諮られたようだと言い、裏切者を突き止めるまでは隠泉水榭に自分のことを知らせないようにと白風夕に言います。また黒豊息は白風夕に”環娘は私の侍女だ”と言うのでした。