「黒豊と白夕(こくほうとはくせき)」9話・10話・11話のあらすじとネタバレ感想。船が雍州の都の近くに差しかかると黒豊息は下船して散策しようと白風夕を誘います。黒豊息は如玉軒という酒楼へ行き、白風夕に食事だけでなく衣と簪まで贈るのでした。
9話:豊蘭息の生還
天霜門の船が雍州の都の近くに差しかかり、黒豊息は下船して散策しようと白風夕を誘います。黒豊息は白風夕を如玉軒という酒楼へ連れて行きました。
黒豊息が如玉軒の入口で合言葉を言うと店主はすべてを理解したようで2人を2階の個室に案内します。如玉軒では白風夕に食事だけでなく美しい衣と簪まで用意してくれました。
さらに黒豊息は白風夕に今後必要な物がある時はここで先ほどの合言葉を言えば用意してもらえると言うのでした。
冀州に戻って来た玉無縁に皇朝が手中の玄極令の真偽を確かめますが、それを見た玉無縁は偽物だと答えます。
雍州では豊萇が憔悴しながらも豊蘭息を懸命に捜索していました。また豊莒も雍州王に禁足を解かれ、豊蘭息の捜索に加わるように命じられます。
実は豊蘭息の船への襲撃は豊莒の腹心の王元が豊萇の仕業に見せかけて仕組んだことでした。豊蘭息が長らく見つからないため、王元は豊蘭息と体の特徴が似ている骸を見つけてきて豊蘭息の骸に仕立てあげることにします。
一方、黒豊息は如玉軒から密書を出し、鳳棲梧に事件を調べさせていました。黒豊息は自分の失踪で豊萇が心を痛めていること、自分の配下や隠泉水榭の中には裏切者はいないことを知ります。
黒豊息は黒幕が豊莒だと確信するのでした。
そんな中、船上で白琅華が高熱を出してしまいます。黒豊息は雍州の都で下船すれば休養する場所と医者を手配すると申し出ました。
医者に診せると白琅華の養生には半月ほどかかると言われ、白風夕はその間の薬代や天霜門の門弟たちの食事代も工面しなければならないと気づくのでした……。
豊莒は雍州王に豊蘭息の無事を祈って祈願を行うことを上奏。豊莒は王元に、祈願の儀式の最中に豊蘭息の骸が見つかったと報告するように命じていました。
計画は予定どおり実行されますが、その直後に任都督が豊蘭息が生きて屋敷に戻ったことを報告しに来ます。
10話:百里氏の帰還
屋敷に駆けつけた雍州王から黒幕の手がかりを尋ねられた豊蘭息は豊莒だと答えました。ところが雍州王は豊蘭息が自分の生存を隠して豊莒を調べていたことは王を欺く罪だと言って立腹します。
結局、雍州王は悩んだ末に豊蘭息に爵位を与え、豊莒の罪は問わずに王元だけを罰しました。その後、豊莒は祈祷のために山に籠っている百里氏に会いに行きます。
百里氏は王元の代わりに豊莒のそばに新しい腹心を置いて挽回すると言うのでした。
大東国では太子が皇帝に、3つの偽の玄極令のうちの1つが冀州の世子の手に渡ったと話していました。皇帝はこの機に2大勢力の雍州と冀州のうちの冀州の力が削がれればいいと言います。
その時、冀州から急報が届き、そこには玄極令を返還したいと書かれていました。皇帝は6州を招いて冀州への感謝の態度を示す宴を開くと言うのでした。
その後、豊蘭息が帰還したと聞いた豊萇が雍州の都に帰ってきました。豊莒が、豊萇が懸命に捜索しているにも関わらず、豊蘭息は無事を知らせてこなかったと嫌味っぽく話しかけてきます。
豊萇は豊莒を無視して豊蘭息に会いに行き、豊莒に気をつけろと忠告するのでした。
天霜門が滞在している屋敷に黒豊息が来て、白風夕を散歩に誘います。街を歩いている時、鳳棲梧を見かけた黒豊息は慌てて白風夕の手を引いて人込みに紛れるのでした。
街中で、絵描きが白風夕に声をかけてきます。白風夕は姿絵を描いてもらうためにいつものように足を開いてどっかりと椅子に座りました。
それを見ていた黒豊息は絵描きに金を渡して自分が姿絵を描くと言い出します。白風夕は慌てて足を揃えて座り直すのでした。
美人に描けた姿絵を眺めていた白風夕は、子供が鞠を拾おうとして橋から落ちるのを目撃します。とっさに跳んで子供を受けとめた白風夕は足を痛めてしまうのでした。黒豊息は白風夕をおぶって帰ります。
百里氏が祈祷から戻ってくる日。雍州王と王子たちが待っていると現れたのはなぜか流民の一行でした。兵たちが流民を阻むと、なんと一行の中に質素な身なりの百里氏がいたのです。
豊蘭息が災難に遭ったと聞き、御仏に”豊蘭息を無事に戻してくれたら質素な身なりで歩いて戻る”と願ったと自分の功徳を強調する百里氏。
また百里氏は雍州王に、先日偶然蕭氏の血を引く方に会い、家系図を送ってもらうことになったと報告しました。雍州王はとてもうれしそうにします。
そして雍州王は豊蘭息に、孝行心を表すために百里氏を乗せた馬車の御者を務めるように命じました。家臣たちが静まり返って見守る中、鳳棲梧が上奏したいことがありますと声を上げます。
鳳棲梧は、流民の中に逆賊が紛れていたかもしれないのに百里氏が流民と同行するために衛兵を退かせると言ったことを諫めなかった護衛は職務怠慢だと上奏しました。
雍州王は鳳棲梧の言葉に納得して百里氏の行いは不適切だったとし、豊蘭息に御者を務めさせることを取り消します。
一件落着して屋敷に戻った任穿雲は任都督に、雍州王はなぜ蕭氏の話であんなに喜んだのかと尋ねました。任都督は次のように語ります。
雍州王は生母がもともと宮女で、王座に就く前は身分が王子の中で最下位だった。世子が落馬で早世しなければおそらく王座には就けなかった。
母方の家系が貧しいことから雍州王は大東国の倚歌公主を正室として娶らされた。
話を聞いた任穿雲は、そのために雍州王は生母の出自が高貴な豊蘭息に冷たく、出自が卑しい百里氏を寵愛しているのだと納得します。
11話:鳳棲梧の決意
雍州に滞在中、天霜門の門弟たちの食費の工面に困った白風夕は如玉軒に金を借りに行きます。
その時如玉軒では、豊萇が祈祷から戻って来た百里氏が自分に見向きもしなかったことが辛くて1人で酒をあおっていました。
白風夕が合言葉を言って店主が金を持ってくるのを待っている時、豊萇が持病の発作を起こして倒れてしまいます。
咄嗟に応急処置をした白風夕のおかげで豊萇は落ち着き、店の者に運ばれて行きました。一部始終を見ていた店主は、白風夕に今見たことは口外しないようにと言うのでした。
屋敷に運ばれた豊萇は、幼い頃に持病があるために百里氏に殺されそうになったことを夢に見て飛び起きます。
その後、如玉軒で豊萇が発作を起こしたのを見た店主以外の者たちは密かに消されるのでした……。
後日、鳳棲梧が豊蘭息の屋敷を訪ねてきます。豊蘭息が百里氏を出迎えた際に鳳棲梧が助け舟を出してくれたことに礼を言うと、鳳棲梧は爵位を与えられたら次は縁談が持ち上がるはずと言いました。
そして鳳棲梧は”私と縁を結んでくださるなら今後毎夜高枕で寝られるようにしてみせます”と言ったのです。
豊蘭息は”それでは妻の威を借る男になってしまう”と言ってはぐらかそうとします。すると鳳棲梧は”私は王様と群臣の前で王妃の顔を潰しました。今後は非難の的となるやも”と言って豊蘭息を頼る姿勢を見せます。
そう言われた豊蘭息は今度は”私は恋情など抱かぬ。そなたを不幸にはしたくはない”と言ってはっきりと断りました。
鳳棲梧は豊蘭息を必ず自分になびかせると決意しつつ、その日は一旦帰ることにします。
帰り際、鳳棲梧は環娘が豊蘭息の帳簿をつけているところに通りかかりました。環娘は女物の衣と簪の勘定書を見て何かの間違いだと言い、侍女に勘定書を如玉軒に返しに行くように命じているところでした。
鳳棲梧は環娘に、自分と豊蘭息は家族同然だと言って勘定書は自分が如玉軒に返しに行くと言います。環娘は”家族同然”という言葉にひっかかりながらも勘定書を鳳棲梧に渡しました。
鳳棲梧は先日街で見かけた女の手を引いて身を隠した後ろ姿はやはり豊蘭息だったと確信。鳳棲梧は豊蘭息が誰に衣と簪を贈ったのか確かめると意気込んで如玉軒へ行きます。
ところが勘定書を見た店主は豊蘭息の秘密を守るためにこの勘定書は偽造だと嘘をつくのでした。
一方、豊萇は配下に、あの日如玉軒で自分を助けた白い衣の女子を探し出して口封じするようにと命じていました。
天霜門では白琅華が意識を取り戻し、白風夕は安堵します。また白建徳に送った伝書鳩が戻って来ますが、文が読まれた形跡がありません。白風夕は病み上がりの白琅華を動揺させないため、それを内密にすることにします。
白風夕は如玉軒に行って黒豊息を呼び出してもらおうとしますが、今は屋敷にはいないようだと言われてしまいます。
その帰り道、白風夕は刺客に襲われ……。