11話 待つ人がいる
最初の出会い
馬車が止まったので陸鳶が御者席を見ると沈不言は忽然と消えていました。陸鳶は雨の中で沈不言を捜しまわります。
その頃、沈不言は現代に戻って救急車で運ばれていました。目覚めた沈不言はヒスイの玉佩がないことに気づき、救急車を飛び降りて雨の中でヒスイの玉佩を探します。
やっとヒスイの玉佩を見つけた時、沈不言は倒れてしまい……。
次に沈不言が目覚めると南夢湖のほとりに倒れていました。そばに落ちていたヒスイの玉佩を陸鳶が拾い、沈不言を心配そうにのぞき込みます。
沈不言が「陸鳶」と呼びかけると、陸鳶は不思議そうに「私を知っているの?」と言い、沈不言と初めて会ったようでした。
陸鳶は沈不言にヒスイの玉佩を返して立ち去ります。ヒスイの玉佩は全部つながっていて、沈不言はこれが最後のタイムスリップなのかと涙しました。
その後、沈不言は陸鳶の家を見に行きます。陸鳶は祖父と食事していました。陸時は祖父に禁じられた剣の稽古をしていたために罰を受けているようです。
陸鳶は様子を見に行くと言って陸時にこっそり食べ物を運びました。陸時は後から来た祖父に軍に入りたいと言います。陸姉弟の父が戦死したため、祖父は陸時が軍に入ることに反対しているようでした。
陸時を叱って興奮した祖父は倒れてしまいます。陸姉弟が祖父を家に連れ帰ると、牧監(州の長官)の息子が訪ねてきました。陸時は牧監の馬の世話をしているようです。
この日は非番なのにも関わらず牧監の息子は町に行くのに陸時をお供にさせようとしていました。陸時が断ると牧監の息子が怒り出し、陸鳶は取りなそうと山で採ってきたきのこを差し出します。
牧監の息子はきのこのかごを受け取る時、わざと陸鳶の手に触ります。陸時は急いで陸鳶を引き寄せました。そのやり取りを見ていた沈不言は陸鳶に”未来を切り開く強さ”を与えたいと思います。
その後、陸鳶が食事の支度をしていると笛の音が聞こえてきました。それは陸鳶が作りかけの「相思曲」という曲だったので、陸鳶は完成していない曲をなぜ演奏できるのかと尋ねます。
笛を吹いていた人物が振り向くと、それは沈不言でした。陸鳶が不審がると、沈不言は最初にタイムスリップした時に陸鳶が言ったのと同じように”3つの要求に応えたら3つの質問に答える”と言います。
陸鳶は最終的に”1つの要求で3問、さらに銀子5両”なら応じると言いました。沈不言が銀子を持っていないそぶりをすると、陸鳶は物でもいいと言って先ほどの玉佩を要求します。
話をするうちに沈不言は今は前回のタイムスリップの3年前で、陸鳶は18歳だと知るのでした。
沈不言の授業
沈不言は陸鳶に”虐げられないように知恵を与えたい”と言って毎日授業をすることにします。最初の日、沈不言は陸鳶に次のように問いかけました。
牧監の息子は当然のようにきのこを受け取った。→他でも銀子を巻き上げている。
牧監の俸禄は多くないのに大きな屋敷を構えている。→それはどういうことか?
次の日、沈不言は陸鳶に次のような質問をしました。
沈不言の質問:誰かが10日後に死ぬと知ったらその人に伝えるか?
陸鳶の答え:もし伝えたら残りの9日間がつらくなるから伝えない。