14話(最終話)終わりと始まり
陸鳶の真実
現代に戻った沈不言は南夢湖を訪れました。そこへ沈不言にヒスイの玉佩を渡した老婦人が現れます。あのヒスイの玉佩は先祖代々”沈不言という人に渡すように”と受け継がれてきた物だったとのこと。
沈不言が「陸鳶の子孫なんですか?元啓の変で死んだのでは?」と尋ねると老婦人は「私の先祖は陸鳶ではない だが陸鳶は元啓の変では死んではいないよ」と答えました。
また老婦人は次のように語ります。
元啓の変の時、陸鳶が矢を受けたのは計略のうちで、李擁が北烈に渡したとされる防衛図はすり替えられた偽物だった。また防衛図が偽物だとわかり、李擁は北烈の陣営で刺殺された。
沈不言が「だが本では陸鳶は元啓の変で死んだことに」と疑問を口にすると、老婦人は「確認してみたら?」と沈不言が書いた「南晟遺事」を差し出しました。
確認すると本は元啓の変で陸鳶は死んでいないという内容に戻っていたのです。老婦人は「全てはあなたの解釈と見解が変わっただけなんだ」と言い、沈不言は「陸鳶の運命は変わらなかった」とつぶやきました。
沈不言は老婦人に、陸鳶は元啓の変では生き延び、晩年楚同裳に粛清されて生涯を終えたのかと確認します。
老婦人が肯定すると沈不言は「どうして楚同裳は粛清など?」と尋ねました。老婦人は「私は楚同裳の子孫なんだ」と言った上で「答えは自分で探すものだろう?」と言います。
元啓の変から5年後。陸鳶は毎年上巳節に願い事を木に吊るしていました。陸鳶が吊るした願い事には”沈不言にもう一度会いたい”と書かれていたのです。
現代。沈不言のスマートフォンに南夢湖で古墓が発見されたとの速報が入ります。
その後、沈不言は「南晟遺事」の改訂稿に”楚同裳は望みどおり陸鳶を南夢湖に埋葬した”と書きました。南夢湖の古墓から陸鳶の妖后の汚名をそそぐ詔書も見つかったのです。
沈不言は最初に夢で見た城門の上にいる女性が民衆から「妖后!」と罵られていた情景を思い出します。その女性は陸鳶でした。
皇帝になった楚同裳が陸鳶に「私が民を説得しましょう 母上が犠牲にならずとも太平の世を築いてみせます」と話しかけます。
しかし陸鳶は「長らく国が疲弊したことに理由が必要なのです 妖后の粛清は民意 応えてこそ民は明日に希望を持てましょう」と言いました。
楚同裳は「長らく晟国のために苦労なさったのに」と言いますが、陸鳶は「私の功労については後世が判断しましょう」と言うのでした。
沈不言は生涯をかけて史料を研究し世の中に真実を伝えると陸鳶に誓います。
再会
沈不言が南夢湖で見つかった古墓の出土品展を見に行くと、弦の切れた箜篌が展示されていました。そこに陸鳶が現れ、切れた弦は”あなたを想ってる”の意味だと言いました。沈不言は琴の前で横笛を奏でるのでした。
すると沈不言はまた昔にタイムスリップします。そこでは小さな女の子が苗木に水をあげていました。沈不言は「陸鳶」と呼びかけますが、女の子は祖父から名乗ってはいけないと言われているようです。
沈不言は女の子を家まで送って行くことにしました。道中で沈不言は「近い将来晟国の民たちは君のおかげで平和に暮らせるよ」と言います。
それを聞いた女の子が「何をしたらいい?」と尋ねると、沈不言は「心配は要らない 人を愛してやりたいことをすればいつか願いは叶う」と答えました。
そして沈不言が「”鳶”の本来の意味は”鷹”なんだ」と教えると、女の子は「紙鳶(凧)のことかと思ってた」と言います。沈不言は「君に糸は必要ない 1人で帰らないとな」と言いました。
すると女の子は「またおじさんと会える?」と尋ね、沈不言は「会えるよ」と答えます。沈不言と女の子は約束の指切りをして別れました。女の子が少し歩いてから振り向くとそこにはもう沈不言の姿はないのでした……。
感想
結局、陸鳶の運命は変らなかったという終わり方に少しモヤモヤしましたが、悪者扱いされていた人物が解釈と見解を変えたら悪者ではなかったということはいつの時代にもどんな組織にもあることかもしれませんね。
本作は主役の2人のうち1人は時代を進んでいて、1人は時代を遡っているというタイムスリップものの中でも異色のストーリーでした。
設定を理解するのが大変でしたが、沈不言目線で見ていると他の登場人物の過去がだんだん明らかになってくるという展開にワクワクします。
ドラマの中で、現実ではありえない世界観に浸ってみたいという人にオススメの作品です。