8話 南夢湖(なんむこ)に願いを
願かけ
翌日、沈不言は自作の幻灯機で謝罪文を投影し、陸鳶との仲直りに成功します。そして都から遠ざければ陸鳶を守ることができると考えた沈不言は陸姉弟が以前住んでいた南夢湖で上巳節を過ごそうと誘うのでした。
実は陸鳶は説得のために15日後に皇帝に会うことになっていました。陸鳶は自分が皇帝に会うことを沈不言に言わないよう倚華に口止めします。
南夢湖で楽しく過ごす沈不言、陸鳶、倚華。沈不言は現代でヒスイの玉佩を持っていた老婦人から聞いた晟国の風習を思い出し、願い事を木に吊るして願かけしようと言います。
陸鳶と倚華はそんな風習は聞いた事がないと言いますが、沈不言は旅先で聞いたとごまかして2人に願い事を書かせました。
お互いに願い事は秘密にしましたが、倚華は”陸さんが早く私の大将軍になれますように”、沈不言は”陸鳶の運命を変えたい 2人で共に生きたい”と書いていました。
都では李擁が陸鳶の居場所を同僚の妓女に尋ねていました。妓女は上巳節を愛する人と故郷で過ごしていると答えます。陸鳶の”愛する人”が自分を襲った男だと知った李擁は激怒。
妓女は李擁をなだめ、皇帝が来る日が早まったと陸鳶に伝書鳩を飛ばしたのできっと急ぎ帰ってくると言いました。そして妓女は何かあれば陸鳶ではなく自分に申しつけてほしいと言いますが、李擁は妓女を部屋から追い出します。
その後で部屋に趙啓龍が入って来ました。李擁は趙啓龍に「手は組まぬ」と言います。趙啓龍は李擁に「誰があなたを丞相の位に戻してくれるのか」と問いかけるのでした。
望む生活
夜になり、陸鳶が書いた願い事をこっそり見に行った沈不言は驚き……。
陸家の旧家に戻った沈不言は外の柵に伝書鳩が止まっているのを見つけます。手紙には”陛下が予定を早めた 急ぎお戻りを”と書かれていました。
翌日、沈不言は陸鳶と倚華に笛を吹いて聴かせますが音を外してしまいます。陸鳶は沈不言に以前音を外す間隔で「詩経」の文字を伝えて暗号にすると教わったが、今のは何も読み取れなかったと言いました。
沈不言は話題を変えて陸鳶に「君の望む生活とは?」と尋ねます。陸鳶は「ささやかでも楽しく自由な生活がしたい 富はいらない 家族で支え合うの」と答えました。そして陸鳶は家族とは陸時、倚華、沈不言だと言います。
陸鳶は「あなたは?」と尋ね返しました。
沈不言は「両親を知らずに育った 孤児院への恩返しのため金を稼ぐことばかり考えてた 金儲けには際限がなくてどんどん欲が出てくる 自分の望む生活を考える余裕もなかった 君に会うまではね」と答えました。
そして沈不言は陸鳶に都に戻らずここでこのまま楽しく暮らそうと言います。
陸鳶がためらっていると、沈不言は皇帝を説得して徴兵と北伐を中止できたら妓楼を辞めて都を離れ自分とここで暮らそうと提案し、昨夜の伝書鳩の手紙を取り出しました。そして沈不言は自分が皇帝を説得すると言うのでした。