「君子盟」第21話、22話、23話のネタバレあらすじ。
摩籮 (モールォ) 村の事件はおおむね全容が見えてきました。太后の命により、玄機らが実行犯として、孔明灯を使い、上空から毒を散らし、村人たちを殺したのです。
しかし、なんのために? そして蘭林はどうして通敵叛国の罪に問われたのか……
「君子盟」これまでのお話
ある目的のため暗躍する麗しき官僚と天才的推理力を持つ貧乏書生。
「君子盟」ドラマ公式サイト
正反対の2人が都で起きる不可思議な事件を解決しながら、宮廷内の「禁断の秘密」へと迫る-
美しき男たちの熱い絆とスリリングな展開に胸躍る、極上のミステリー時代劇!
鏡湖氏の目的はどうやら、二十年前の摩籮 (モールォ) 村の殺戮に関わった者たちを、同じ罪を犯させて、断罪することのようです。
毒を撒いた大医は、仲間とともに復活するという因吉天の伝説の話を聞き、そのために人々を再び毒殺しました。鳳凰の頭を盗み出すために常巍は再び孔明灯を建造し、玄機は自らの生死を偽りました。
陶周風は犯人がわかっていながら証拠を隠蔽し、事件の幕引きを図りました。そして、それらのすべてを命じた、太后は今……
21話:新たな芝居
含元殿へ密偵を送ることを決意した蘭珏。旭東はその決意は固いのかと尋ねます。
虫けらがどうして木を揺らすことができるのか、亡くなった陶寺卿の言葉を用いて、蘭珏は、たかが虫けらが木を揺らそうとしているようなものだと言います。「だがこの世の中には、いつも虫けらはいるんだ」
南棟国は東岭南道に侵攻し、既に三つの州を略奪し焼き討ちと略奪を続けている知らせが届いていました。朝議では国境の人々の辛苦を思い、すぐに助けに行きたいと願う皇帝と、和平交渉が唯一の手段だという臣下たちが言い争っています。二十年前の敗戦によって、兵力は衰え、西北からは蛮族が狙い、藩主たちも野心を抱いて都から塀を動かせる状態ではありませんでした。今回ばかりは柳太傅ですら太后の肩を持ちます。
太后の鶴の一声で、和平交渉を手配することとなり、歯噛みする皇帝。
朝議の後、蘭珏の馬車に乗り込む王硯。出征したいと申し出たのに却下されて伴月楼で痛飲しようとしたけれど、牡丹閣の予約が取れずふてくされています。
王硯の名を出しても予約が取れないというここは、よほど身分が高い人物が部屋を抑えていると予想した蘭珏は、旭東や流雲、張屏とともに伴月楼へやってきます。
伴月楼では今日から新しい芝居が始まるとのことで、にぎわっていました。それぞれ様子を探ると、密かに金吾衛も配置されていて、牡丹閣の向かいには弩を構えた刺客まで屋根に隠れています。
どうやら、太后は芝居を見に来たのではない様子です。
芝居が始まり、舞台上では二人の役者がくじを引きました。客の中から仙人役を募って、参加させようというのです。
引き当てたくじに書かれた文字は牡丹閣。事前にくじからは抜かれてあったはずなのに、なぜか太后のいる楼が引き当てられてしまいました。
静かに舞台に上がる太后。そして、仕掛けが転じて太后の姿が消えてしまいます。慌てて探す應熹公公や金吾衛、蘭珏たち。そして……
22話:知己朋友
誘拐された太后を追って呪禁科を訪れた一行。燃え盛る炎の中からひどい火傷を負いつつも一命をとりとめた太后。そこには謎の祭壇と、石版に血塗の文字が書かれていました。
後日改めて調査に来た蘭珏と張屏は、手がかりとなる書き付けの切れ端を見つけますが、その直後 中毒症状で気絶してしまいます。
二人を助けたのは辜という名の男性でした。毒消しを与え、飲むところを確認して去って行ったという男を蘭珏はよく知っているかのようです。
十年前。雪の日、街角で書を売る蘭珏に辜清章は話しかけてきました。二人は詩と書物を通じて心を近付け、得難い知己となりました。川の中州に家を借り、竹林の七賢を気どり清談する。そんな幸せな日を送ります。
ところが、その年の科挙が終わり試験官が予想していた担当者とは異なる官吏となったことで、及第できないと絶望した蘭珏は、ひとり殺鼠剤を酒に混ぜて飲んで自殺しようとしました。
落胆しているのを知り励ましに来た辜清章は、酔いつぶれた蘭珏を残して都を去りました。蘭珏は翌朝目覚めると、騙されて殺鼠剤が効かなかったのかと思いますが、それ以降 辜清章の姿を見ないことをいぶかしんでいました。
それ以来10年。再び、中州を訪れた蘭珏は辜清章と再会します。酒を組みかわしながら思い出を語り合う二人。蘭珏は、その日の話を確認します。
10年前自殺を決意している蘭珏に気が付いた辜清章は、慌てて盃を入れ替えて自分が毒を飲みました。酔って寝てしまった蘭珏を置き去り、すぐに飲んだ毒を吐き治療をしましたが既に毒は体を苛んでいました。
落ち込んでいる蘭珏に余計な負担を掛けたくなかったので町を離れ、治療に専念したと言います。
自分の身体を治療するために色んな医術を試したので、薬草などに詳しくなり、そのおかげで呪禁科で倒れていた二人を解毒することが出来たと笑顔を見せます。
蘭府に辜清章を連れて戻ると、張屏が待っていました。辜清章は詩や文学に造詣が深く医療にも詳しいと紹介する蘭珏。張屏はなんとなく、辜清章の声や物腰に違和感を覚えます。
23話:二頭の龍
殿試に臨むことになった張屏。陶寺卿のことがあって仕官することに戸惑いを覚え始めているため、試験にも気が乗りません。しかし、現れた皇帝は冕服ではなく軍服を身に着けていました。
絹を紡ぐ人が誰なのか、刺繍をする人が誰なのか、布を染めて裁断し運ぶ人たち。彼らは 腹を満たし安心して眠ることができるのか。皇帝は問いかけます。
いくつもの王朝を渡り歩いてきた老臣たちは大雍の過去で、働き盛りで国の柱を担う朝堂の臣下たちは大雍の現在。そして皇帝は続けて、今殿試を受けに来た彼らこそが大雍の未来だと告げ、大雍の未来のために南棟国に向けて自ら親征することを誓います。
「百回負けても敗走せず、九度死んでも悔やまない。」皇帝が述べると王硯は胸を打たれ、幾度破れようと決して退かず悔いなく死ぬと呼応し従軍すると申し出ます。
“君子有不戦 戦必勝矣”(君子は戦わないことを尊ぶが 已む無く戦うときは必ず勝つ)この課題で殿試は行われました。
一方、蘭府では呪禁科で手に入れた断片を解読しようと蘭珏は頭を悩ませていました。辜清章はそれを見て、普救寺の素覚という法師が蟲術を教えてくれたときに見かけた文字に似ているような気がするといいます。
旭東は蘭珏と張屏に報告します。普救寺へ赴き尋ねると、素覚は自分が呪禁科の唯一の生き残りであることを認めました。また、その陣形は “回生陣”という秘術だと教えてくれました。最後に使われたのは三十年前、現皇帝のために秘術は行われたのだそうです。
皇帝は生まれつき重症な疾患があり、玄機 (シュアンジー) は回生陣を設置したことで奇跡的に治癒したといいます。その話を聞いた蘭珏は、太后が陛下と常に距離を置いていることや、いつまでも垂簾政治を止めず権力を手放さないことに思い当たります。
また、呪禁科の全員が儀式の最中に漏れた毒で全員事故死したのは二十年前、摩籮村の事故の直後でした。当時先代の皇帝が亡くなったばかりで現皇帝が若くして即位しました。
太后が権力を握り始めた時期とも一致します。もしや、太后は皇太子をすり替えた秘密が暴露することを恐れて回生陣を設置した呪禁科の人々を毒殺したのではないかという疑念が沸きます。でもそれと、遠く離れた摩籮村はなんの関係があるのか。
そこへ、陳籌が駆け込んできます。大変なことが起きていると見せられた紙には以下のような文言がかかれていました。
一龙重翔游碧天
一龙沉渊无底洞
忽忽一梦三十年
不知真龙是假龙
一頭の龍は 碧天に舞い上がり
一頭の龍は 底なしの穴に沈む
三十年もの間 同じ夢を見ていた
龍が本物か 偽物か わからない
蘭珏たちが皇帝の真偽を疑ったのとほぼ同じときに、このような流言が撒かれました。偶然にしては出来過ぎていると不安になる蘭珏。
張屏はそもそもどうやって二十年も隠れていた素覚の存在を知ったのか尋ねます。辜清章がそのきっかけを与えたと聞くと、張屏は顔を曇らせました。
辜氏の話し方や振る舞いは私に話しかけた鏡湖氏に似ていると、とうとう張屏は蘭珏に打ち明けましたが、あり得ない「勝手な憶測はやめろ」と蘭珏は怒ります。蘭珏はかんかんに怒りながらも水鉢を隠せと助言し、帰って行きました。
事件のことを考え続けている張屏の元を、皇帝が祁公子の身なりでお忍びで訪れます。試験の出来があまり思わしくなかったので、仕官をためらっているのかと聞きに来ました。町を歩くとあちこちで街の人々が、南征軍のために募金や食べ物を寄付していました。
たった一人の力ではすべてを変えることはできないが、みんなが少しでも貢献することで希望が生まれると皇帝は言います。そこに例のチラシが風に飛んできます。慌てて隠す張屏ですが、皇帝はこともなげに言います。
本物か偽物か、それがどうした。もし私が本物なら天子として国のために戦うべきだ。もし私が偽物なら大雍国の臣民として同胞のために戦うべきだ。
出征を控えた王硯もまた蘭珏と食事をしています。簡素な食事で普段の別れのように装い、明日もまた会う気持ちでいようと考えた蘭珏。とはいえ、戦況は思わしくないことは二人とも理解しています。きみには借りが多過ぎてまだ返せないでいると蘭珏がうなだれると、子供の頃から 戦場で酔っぱらうのが夢だったと混ぜ返す王硯。
早い凱旋を待ち望む民衆、そしてそれぞれの兵士の家族や友人たち。
太后は摩籮村の残党を本格的に追いはじめ、都も出陣の暗い空気が漂います。そんななか突然、師父が訪れました。科挙の吉報を聞こうと田舎から旅してきたのです。再会に心がほぐれる張屏でしたが……