事件解説:飛花閣舞姫殺人事件
これから先の一連の事件は、ある目的をもって行われた連続殺人事件となります。蘭珏も張屏も全く別の理由からこれらの事件に関わることになりますが、この偶然はまるで天からの采配のように、二人を絡みつけて行きます。
今回も、ストーリーとは別の切り口で、時系列でご案内していきます。
発端となったのは、画聖・偉茂が最後の作品を描くために都中の女性たちに芸を競わせたことでした。凄惨な事件の幕開けです。
どうしても画家に描かれたい戸部尚書の娘 楚啓儿は、卑劣な手を使ってライバルである礼部尚書の孫娘 龔毓貞の参加を阻み、なおかつ自分の舞の伴奏者として出場させます。(図1)
あまりにひどい手口に、龔毓貞は泣き暮らしていました。そこへ謎の男が、代わりに恨みを晴らしてやると声をかけます。怒りと絶望のあまり、龔毓貞はよく考えずに男の言いなりになって舞台の脇の暗渠に目印の頬紅を落としてしまいます。(図2)
ところが、やはり怖くなって協力したことを後悔し、そのことを蘭珏に相談します。蘭珏は取り急ぎ暗渠に落とした頬紅を旭東に回収させようと飛花閣にやってきました。(図3)
ところが、事件が発生して楚啓儿は毒殺されてしまいます。捜査には刑部の王硯だけではなく、彼が連れてきた張屏までもがいます。(図4)
頬紅は匂いが強く、暗い暗渠の中で遠くからでも出口が簡単に探せることを利用して、殺人犯は彼女に頬紅を暗渠の穴から落とすよう指示していたのです。(図5)
証拠を隠滅するために頬紅を回収するときに、うっかりこぼしてしまった上に光まで漏らしてしまう旭東。これ以上 張屏に探らせないよう、町中の化粧品屋に張屏が頬紅のことを聞きに来たら知らぬ存ぜぬで通すよう口止めをさせます。
事件は胡烟仙人の犯行ということで一件落着したかのようですが、納得がいかない張屏はやはり化粧品屋を回って聞き込みをします。先に手を回してあったので誰も答えません。
疲れて休んでいるところを、化粧品の原料を卸している自分でも口紅などを作っている女性と知り合います。女性は頬紅がミョウバンを使わない特殊なもので、化粧品屋であればすぐに気が付くはずだと教えてくれます。(図6)
張屏は礼部尚書の孫娘・龔毓貞だけがミョウバンの入っていない頬紅を使っていたと知り、蘭府の前で張り込みを始めます。(図7)
一部始終を知る張屏。毓貞に自首を促しますが、蘭珏に阻まれてしまいます。(図8)
龔尚書に次第を説明しに行く蘭珏。戻ってくると毓貞は攫われてしまったと聞きます。刑部にそのことを報告し王硯に相談していると、今度は張屏が孫医師の毒殺事件を伝えにやってきます。(図9)
孫医師と楚啓儿、二人の接点には犯人が残したメッセージの「因吉天」が関わっているようです。(図10)
思賢書局で古文書を調べていると、古代貘王国の因吉天伝説が絡んでいる様子です。(図11)
伝説を紐解き、次の被害者が莫日根・無名閣の封兄弟と気が付いた蘭珏は張屏と共に無名閣へ駆けつけますが、そこには……(図12)