「君子盟」第8話、第9話のネタバレあらすじと第5の事件解説。画聖・偉茂の最後の作品に描かれる、都で一番才能のある女性を選ぶ競技会が飛花閣で行われました。
「君子盟」これまでのお話
ある目的のため暗躍する麗しき官僚と天才的推理力を持つ貧乏書生。
「君子盟」ドラマ公式サイト
正反対の2人が都で起きる不可思議な事件を解決しながら、宮廷内の「禁断の秘密」へと迫る-
美しき男たちの熱い絆とスリリングな展開に胸躍る、極上のミステリー時代劇!
最後に登場した、戸部尚書の娘・楚啓儿は見事な舞を披露し、その夜の優勝者と思われましたが、舞い終わった瞬間 皮膚が硬直しひび割れた状態で舞姿のまま死んでいました。
謎の人物による毒殺と判明しましたが、その共犯者となってしまった礼部尚書の孫・龔毓貞を匿った蘭珏とその事実を突き止めた張屏。
二人はまた対立する形になってしまいました。そして、龔毓貞は毒殺犯にさらわれて同じ毒で医師がまた殺され、事件は思わぬ方向へ進んでいきます。
8話:洞穴の黒い影
封家の四兄弟が生前に修復した巻物は因吉天の六賢人の伝説の絵画でした。どうやら犯人は、彼らに挑戦しているかのようです。顔料の中に赤い毒を隠して四兄弟を殺害し、一人の死体と三人の頭部と腕を切り落として去って行ったのです。
死体を検分すると、頭部を切断する前に血が抜かれていたことや蚤に食われていたことがわかります。しかし、作業をしていた閣内には血は流れておらず、また清潔で書物を置くような乾燥した場所に蚤がいるのも不自然でした。
入念に調べると、棚の裏に秘密の通路が掘られており暗渠とつながっていました。
王硯に知らせるように伝え、犯人の後を追う蘭珏と張屏。遺体を引きずりながら移動する犯人に追いつけると考えたのですが、途中で分かれ道が入り組んでいて犯人の足跡を見失います。蘭珏は旭東に水門を閉じるよう命じ、奥へ進みます。犯人も二人が追ってくることに気が付きました。
犯人は遺体を放置し、どこかへ行ってしまっていました。二人は奥の脇穴を見つけ様子を見に入って行きます。
そこは牢獄のような行き止まりになっていて、奥には毒の処方らしきものもあります。不穏な音がして入口の方へ戻る二人。そして爆発音。二人は閉じ込められてしまいました。
暗い暗渠に身をひそめる幽鬼と名乗る男は、崩れたがれきの壁越しになぜ人々を殺したのか尋ねる二人に、賢いのだから推理しろと言います。龔毓貞を攫った理由を尋ねると、彼女は羅那錦なのでまだ生まれる時間ではないと言い残し立ち去ります。
ようやく二人は事件の全貌に気が付きました。龔毓貞は最後の音楽の聖人なので、その前に2人の人間が殺されるはずです。巻物の賛桑の上には雲裳坊の赤霞金箔絹、そして烏尤の上には大理寺の印字がある惊堂木。
それぞれが殺害予定の人物を表しているならば、その二人を救えば、龔毓貞も助かるはずです。
一人は雲裳坊の吴婦人、そうしてもう一人は大理寺卿の陶周風のようです。一刻も早くこのことを王硯に伝えなければと必死に穴の出口を探そうとした時にふと気が付きます。
殺人の始まりから 今に至るまで犯人は故意に手がかりを残しているのではないか。
死を体験して初めて生きる意味を理解できる、死の扉を探せばいいと気が付き、白骨が燃やされてある焼却炉を発見して、そこから外に呼びかけると無事 探しに来た王硯を旭東に助けられました。
二人を助けようと手分けする一同。刑部を引き連れた王硯は吴婦人、蘭珏と張屏は大理寺に。大理寺卿に事情を説明していると王硯が合流し、吴婦人は間に合わなかったと伝えます。
最後の頼みの綱である大理寺で警護することになりました。
大理寺から自宅に戻った張屏は、字が読めない馬の息子からの手紙を読んであげます。馬は礼を言うと、張屏に楚啓儿の毒の犯人は見つかったのかと尋ねます。まだだと答えると、馬は彼の息子が南方で聞いたという噂話を伝えます。
南方の秘境に人の魂を奪うという技を持つ部族がいて、神の怒りにふれすべての村人が硬直して立ったまま死んでしまったというのです。毒の死に方と似ていると思った張屏は王硯に伝えます。
王硯はその話を聞き、永宣元年の岭南道 越裳郡 摩籮村の卷宗の事件の顛末を調べると顔色を変えました。
張屏は移動にかかった時間を計算できると言い、蘭府へ向かう王硯について行きました。だいたい90日かかると答えると蘭珏と王硯は張屏を無理やり追い出します。
こっそりと外から聞き耳を立てる張屏。二人は蘭珏の父に関わる事件とこのことが関係があると考えたのです。
そして、根が真っ直ぐな張屏は、官僚の世界がわからないので、危険な目に遭ってしまうと、敢えて遠ざけたのでした。
それから数日、大理寺を警護する一同。一向に犯人の動きはありません。そして、刑部で報告を受ける蘭珏と王硯のもとに、旭東が戻る途中で唖者の死体回収係に会い、張屏はその様子の怪しげな男の頼みを聞いて荷車を引くのを手伝うために別れたと言います。
胡椒でも臭がる旭東が死体の匂いに我慢できるはずがない、墓地のある西の方角は家と同じ方角だが 蘭府は違うと、まったく意味不明なことを言って立ち去ったことを伝えると、蘭珏は顔色を変えて墓地へ向かうと言い……
9話:幼き日の約束
あなたを長い間捜していたと言う死体回収係。張屏が次に気が付いたときは、どこか窓のない密閉された空間で縛られていました。
墓を探しに来た一同。蘭珏は胡椒の粉を探してくれと皆に頼みます。胡椒を頼りに一同が死体回収人の台車を見つけた場所は、帰義坊の難民を埋葬する集団墓地の近くでした。見つけたら信号弾を発射することを打ち合わせて手分けして探します。
その頃、張屏は複数の死体から作られた偶像と縛られた状態の龔毓貞に気が付きます。割れた陶器の破片のようなもので密かに後ろ手に縛られた縄を削りながら毒殺犯に話しかけます。
毒殺犯はどうして張屏が彼に気が付いたのか知りたがります。暗渠の中で空ろな左目を見て義眼だと気が付いたと張屏は答えます。暗渠の中で足あとが左に歪んでいたのもそのせいだと言います。
また、蚤に噛まれて体中を掻いていたことや、腰から下げていた布袋に赤い染みもあったので犯人だと確信したと答えると男は満足そうに頷きました。
張屏はなぜ私を探していたのかと、逆に問います。孫神医の書物や楚啓儿の蓮華の謎はわざと、正義の賢者 烏尤を探すために残した謎かけだったのです。そしてそれを解いた張屏が、毒殺犯が次に狙う目標になってしまいました。
絶体絶命の危機の中、時間を稼ぐためと好奇心から張屏は続けて問います。赤い血の霧の毒はどこから来たのか?男は自分で作ったものだと答えます。
以前他の場所でも使ったことがあるのか?数え切れないほどの悪事を働いた、以前も毒で人を殺したことがあると男はほのめかします。摩籮村で二十年前村人を殺したのもあなたなのか?
男はその問いを無視して、六賢人を蘇らせて因吉天に捧げればかつての親友たちに再び会えると言い、張屏を殺そうとします。
縄を切った張屏は石灰の粉を男の目に投げつけ、ひるんでいる間に鏡花水月の術をかけて男を幻想の中に連れて行きます。
三十五年前に大雍を疫病が襲った時に孤児となった少年時代の毒殺犯は都に流れ着き、悪い医師に騙され暗渠に閉じ込められてしまいました。
医師は表では診療所を開いていたけれど裏では毒薬を売っていて、その効き目を試すために孤児たちを攫って来ては実験台に使っていました。
彼は死と隣り合わせの暗渠の中で、阿虎と石奴という同じ年頃の子供と仲良くなり、互いに助け合っていました。
一緒逃げようと計画していましたが逃げられたのは彼一人で、二人は彼を逃がすために必死で医者にしがみつき、逃がしてくれました。必ず助けに来ると約束して、逃げたのに恐ろしくて数カ月逃げたままでいました。
ようやく勇気を取り戻して暗渠に戻ると、二人は殺されて骨になっていました。大人になってから彼は恨みを抱えたまま毒を扱うようになり、赤い霧の毒を作り上げました。
医者とその家族すべての命を奪って復讐を遂げたあと、虚しくなり暗渠に戻りました。
そして、ある日一人の男が因吉天の伝説と呪文を教えに来たのです。いわく、六賢人を蘇らせて因吉天に捧げろと。男はそのために4人を殺し、今また張屏と龔毓貞を殺して術を完成させようとしていたのでした。
鏡花水月の術が男の不安定な心の動きによって解けそうになっています。早く蘭珏たちが二人を見つけないと、毒殺されてしまいます。
危うく術が解けて、二人が殺されそうになった直前に蘭珏がやってきて、龔毓貞を縛る縄を切り張屏を助けようとします。
蘭珏を見て、男は蘭林の息子だな、と声をかけます。二十年前 摩籮 (モールォ) 村の事件に関わりがあるのか知りたい蘭珏は男に詳細を尋ねようとしますが、彼は答えず全員もろとも死のうと毒の仕掛けを起動します。
間一髪で逃れた三人。毓貞を助けるためには、男が秘密を抱えたまま死ぬことを止められませんでした。
朝堂で事件のいきさつを説明する王硯。前日の狩りで疲れて欠席した皇帝の代わりに太后は、龔毓貞の死罪を免じて処罰は刑部に一任すると宣言します。
そして、同じ日の朝堂で新たな議題として、天監監正の玄機が報告したのは天球儀の頂点に飾る鳳凰の像の件でしたが……