「新・オスマン帝国外伝〜影の女帝キョセム〜」シーズン2第34話・35話・36話あらすじネタバレと感想。
皇子バヤジトの母ギュルバハルが引き起こした火災は、皇帝ムラトの治世を脅かすほどの影響を及ぼします。
ムラトは膨れ上がる民の不満と、姉ゲヴヘルハンと太刀持ちの結婚に頭を抱えていました。ムラトは悩んだ末、前皇帝ムスタファを訪ねます。
第34話:火災の影響
※ 本記事は、物語が前後する箇所があります。
トプカプ宮殿。母后キョセムは印章の件と火災の黒幕が、皇子バヤジトの母ギュルバハルだということには気づいていました。
しかしそれを裏付ける証拠はなく、ギュルバハル本人に揺さぶりをかけても何の情報も得られません。それどころかギュルバハルは、亡き皇帝オスマンの件を引き合いに出し、そもそもキョセムが反乱を命じた瞬間に悪事の扉は開いたのだと強気な姿勢を貫きます。
キョセムはなかなか尻尾を表さないギュルバハルに苛立ちつつも、そのままではハリメ妃と同じ道を辿ることになると牽制しました。結局その場ではギュルバハルの関与を裏付ける証拠を掴むことはできませんでしたが、ひとまずキョセムは皇帝ムラトにも今回の火災がギュルバハルによる人災であることを知らせます。
事件の全貌を把握したムラトの瞳は怒りに満ち、自分の中の慈悲も帝都と共に灰になったと告げました。強く握りしめられたムラトの拳からは血が滴り落ち、そんなムラトをキョセムは心配そうに見つめます。
その後、ムラトは臣下を集めて火災の調査を命じ、キョセムは帝都に戻ったボスニア州軍政官アバザ・メフメトを呼び出します。キョセムは今こそアバザ軍政官の協力が必要だとして、アバザ軍政官を御前会議入りさせることを約束しました。
アバザ軍政官が立ち去ると、キョセムの金庫番エステルはアバザ軍政官を御前会議入りさせるためのいい方法があると申し出ます。それは、アバザ軍政官を皇女ゲヴヘルハンの婿にするというものでした。
一方、ギュルバハルは自室に戻り食事を摂っていたところ、皇帝妃アイシェがやって来ます。アイシェは、自分が入手したキョセムの印章の型を利用して火災を招いたギュルバハルに怒り心頭でした。
とはいえ、皇帝妃ファリア襲撃事件の隠蔽にギュルバハルの手を借りたアイシェに発言権などあるはずもなく、アイシェは沈黙を余儀なくされます。もしアイシェが火災の件でギュルバハルの悪事を暴いたとしても、自分がファリア襲撃事件の首謀者であることまで明かされては立場がないからです。
アイシェの前では余裕を見せたギュルバハルも内心焦りを感じており、疑いの目を逸らすべく措置を講じました。すぐにギュルバハルは国璽尚書 兼 宰相シナンと話し合い、この不安定な状況を自分たちの利益に変えることにします。
そこでギュルバハルは配下の1人の側女を呼び出し、とても難しい任務だとして何やら特別そうなかんざしを与えました。側女は真っ直ぐギュルバハルを見据え、命を賭けて任務に挑むことを誓います。
帝都。火災で壊滅状態の街には、規律の乱れが災厄を引き起こしたと主張する一派が現れます。
彼らはカドゥザーテ師と呼ばれる男性を筆頭に、喫煙者やコーヒー店に入り浸る人々を正道に導こうとしていました。ただ、そのやり方に際限はなく、悪習を正すためなら手段は厭わないようでした。
第35話:皇女らの恋の行方
大理石離宮。皇女アティケは姉ゲヴヘルハンを、彼女が太刀持ち兼小姓頭ムスタファと逢瀬していた場所へと連れ出します。
まだ何も知らないゲヴヘルハンは、アティケがここに呼び出した理由がわからず戸惑っていました。すると、アティケはここでゲヴヘルハンと太刀持ちムスタファの逢瀬を目撃したことを明かします。
最悪の形でアティケへの弁明を余儀なくされたゲヴヘルハンは、何度も気持ちを抑えようとしたとアティケに訴えかけます。しかしアティケには気持ちを抑えさせたのに、自分の気持ちは抑えられなかったゲヴヘルハンを、アティケが許せるはずもありませんでした。
そこへ皇帝妃ファリアから大理石離宮に向かうよう促された、太刀持ちムスタファが現れます。ファリアは事態を収集すべく太刀持ちムスタファを送りましたが、感情むき出しのアティケには逆効果でした。
トプカプ宮殿。母后キョセムは印章の件で、皇子バヤジトの母ギュルバハルの配下の側女を尋問していました。
最初は大人しく尋問を受けていた側女もキョセムを欺けないと悟ると、驚きの行動に出ます。側女は自らイエズス会の者を名乗り、近いうちにエルサレム騎士団がキョセムと皇帝もろとも地獄に送ると言って、かんざしで自害しました。
すぐにキョセムは皇帝ムラトを訪ね、側女の件を報告します。そして、根本の解決のためにも母の勘を信じてほしいとしたうえで、ギュルバハルの関与を指摘しました。ムラトはキョセムを信じ、二つ返事でギュルバハルの対処を認めます。
その頃、浴場ではアティケとゲヴヘルハンが太刀持ちムスタファの件を巡り、激しい口論を繰り広げていました。アティケたちは人払いをして浴場に籠っており、見かねたファリアがキョセムを呼びに行きます。
全ての事情を把握したキョセムは憤慨し、ゲヴヘルハンとアティケをそれぞれ嫁がせることにします。ゲヴヘルハンはボスニア州軍政官アバザ・メフメトに、アティケはこれから相手を探すとのことでした。
第36話:広がる噂
トプカプ宮殿。太刀持ち兼小姓頭ムスタファは一か八かで、皇帝ムラトに皇女ゲヴヘルハンとの関係を明かします。
自ら剣を掲げてムラトに判断を委ねる太刀持ちムスタファの手からは血が滴り落ち、相当な覚悟が伺えます。ところが、太刀持ちムスタファが頭を上げると、もうそこにムラトの姿はありませんでした。
まず、ムラトは事実を確認すべくゲヴヘルハンを訪ねました。そこで互いに深く想い合っていることを知ったムラトは、愛は尊重されるべきとはしつつも、何が最善なのかで頭を抱えます。
というのも、太刀持ちムスタファはムラトの最側近であり、本来ならば皇帝たるムラトの影で恋をするなど許されないからです。特にムラトは隠し事を嫌うゆえ、太刀持ちムスタファの行動に戸惑っていました。
この件は母后キョセムとも話し合われ、キョセムはゲヴヘルハンをボスニア州軍政官アバザ・メフメトと結婚させるべきだと意見します。そんな中、ムラトの元に皇女アティケが現れ、太刀持ちムスタファにたぶらかされたと泣きつきます。
アティケは太刀持ちムスタファとゲヴヘルハンに宣言した通り、2人の結婚の邪魔をしたのです。アティケに深い考えこそなかったものの、この申告は太刀持ちムスタファに対する死刑宣告のようなものでした。
帝都。皇子バヤジトは後宮宦官長ハジュを通じて、元料理長ベイナムと共同経営者のカリカが火事の夜に襲われかけたことを知り、見舞いにやって来ました。
バヤジトはカリカの無事を確認して安堵したようで、足早にその場を後にします。その帰り道、バヤジトはムラトが処刑を命じた反逆者の軍団員の1人から助けを求められます。
彼はバヤジトと共にベイナムを救助した人物だったことから、バヤジトは彼の釈放を命じました。この一部始終を皇子カスムの宦官が見ており、宦官から報告を受けたカスムはキョセムに全てを打ち明けます。
火事を機に帝都の治安は悪化する一方で、コーヒー店が襲われるなど暴動が発生していました。国璽尚書 兼 宰相シナンの策略も相まって、民の間にくすぶっていたムラトへの不満は大きくなっていきます。
実際に民が自分を非難する様子を見たムラトは、前皇帝ムスタファが幽閉される鳥籠を訪れました。