「新・オスマン帝国外伝〜影の女帝キョセム〜」シーズン2第37話・38話・39話あらすじネタバレと感想。皇帝ムラトは素の自分と皇帝の自分の在り方に悩み、前皇帝ムスタファに疑問をぶつけます。
彼との会話にヒントを得たムラトは民の生活を一変させる勅命を下し、厳しい取り締まりを始めました。そんな中、ムラトは視察に訪れたブルサで夜伽をした女性に命を狙われます。
第37話:皇帝としての生き方
トプカプ宮殿、鳥籠。皇帝ムラトは、叔父の前皇帝ムスタファと話をするために鳥籠を訪れます。
ムラトは皇帝になって以来、”素の自分”と”皇帝の自分”の立場の違いに悩んでおり、その答えを皇帝を経験したムスタファに尋ねに来たのでした。ムスタファは姿こそ年老いたものの中身は変わらず、ガレー船が大好きな青年のままでした。
ただ、時折我に返ったかのように大人びた発言をすることもあり、皇帝としての生き方を尋ねたムラトにも果物を用いてわかりやすく説明します。ムスタファは果物を真っ二つに割り、片方を素のムラト、もう片方を皇帝のムラトとしました。
そして、素のムラトが凡人なのに対し、皇帝のムラトは神にのみ代償を払う超越した存在で、皇帝はこの全ての荷を背負わなければならないと話します。
それでは荷が重すぎると指摘するムラトに、ムスタファはそれは皇帝が背負うべき荷なのだと説きます。
なお、その荷を背負えねば皇帝オスマンのように失命するか、ムスタファのように心が壊れるとのことでした。そこでムラトは、2つの荷を背負う方法について尋ねます。
しかし早々に幽閉されたムスタファにそんなことがわかるはずもなく、ムスタファの答えは秘訣は調和にあるのではという憶測に過ぎませんでした。それでも今のムスタファには十分だったようで、ムスタファはどこか吹っ切れた様子を見せます。
翌朝。ムラトは御前会議の高官らを始め、ボスニア州軍政官アバザ・メフメトと母后キョセム付き用人ケマンケシュを招集し、勅命を下します。
それは、不穏の元凶であるタバコの全面禁止と、反逆の温床と化したコーヒー店を閉鎖して取り壊すといった内容でした。また、アバザ・メフメトは宰相に、ケマンケシュは歩兵常備軍の長官に任命されました。
一方、皇帝妃アイシェは皇子バヤジトの母ギュルバハルの策略を怪しみ、ギュルバハルの後をつけます。ちょうどギュルバハルは国璽尚書 兼 宰相シナンと密会しているところでしたが、アイシェの場所からだとシナンの姿までは見えませんでした。
とはいえギュルバハルが何らかの策略を巡らせているのは明らかゆえ、アイシェは太刀持ち兼小姓頭ムスタファを訪ねます。
早速、アイシェが太刀持ちムスタファに協力を求めようとしたその時、主馬頭デリ・フセインが衛兵を引き連れて部屋に入ってきました。
ムラトからの命を受けたデリ・フセインは、太刀持ちムスタファを連行します。
第38話:皇帝ムラトの厳しさと優しさ
トプカプ宮殿。皇帝ムラトの恐怖政治は止まるところを知らず、これまでに幾度となく血に手を染めてきた母后キョセムが危機感を覚えるほどでした。
ムラトが禁止令を出した帝都のコーヒー店とタバコ店は全て閉鎖され、禁止令に背いた者は何人たりとも容赦なく処刑されます。
このままでは民の敬愛を失いかねないことから、キョセムはムラトの厳しすぎるやり方に対して苦言を呈しました。
ところが、ムラトは亡き兄たる皇帝オスマンを引き回した民の敬愛など不要だと断言し、強硬姿勢を崩しませんでした。
こうして民には相変わらずの厳しさを貫くムラトでしたが、最側近の太刀持ち兼小姓頭ムスタファへの対応からは優しさが窺えます。
ムラトは皇女らを惑わせた太刀持ちムスタファを処刑はせず、ハルヴェティ教団導師スィヴァスィーの修道場へと送ったのです。これより太刀持ちムスタファは苦行房に籠り、40日間の精神修行を行うことになりました。
翌日。ムラトは御前会議にて、イスラムの長老アヒザーデ・フセインから火災で亡くなったイスラム法学者の後釜に据える者たちのリストを渡されます。
ムラトは即答はせずに持ち帰ったリストを、前イスラムの長老ゼケリヤザーデ・ヤフヤに見せて意見を求めます。ヤフヤはリストに目を通すなり、ここに書かれた者は皆アヒザーデ師に近しい者たちであることを明かしました。
ムラトはこのリストをキョセムにも共有し、アヒザーデ師が法学者の中に派閥を作る気だと説明します。すると、キョセムはアヒザーデ師の望み通りにするよう進言しました。
キョセムの意図がわからず戸惑うムラトに、キョセムはアヒザーデ師の仲間を任命することで自分たちの敵を知れるという利点を挙げます。
珍しくムラトはキョセムの提案を素直に受け入れ、自身は苦情が出ているブルサへ向かうことにしました。
実はこれもムラトの計画のうちで、ムラトは自分の不在に乗じて策略を巡らす敵の存在を暴こうと考えていました。ムラトは不安がるキョセムに、敵が気付かぬうちに踏み潰そうと不敵な笑みを浮かべます。
その一方で、キョセムは皇子バヤジトを呼び出し、以前バヤジトが釈放した軍団員を目の前で処刑させます。
無論これは軍団員が有罪を認めたゆえに行われたことですが、もしこれがキョセムよりも先に皇帝であるムラトの耳に入っていれば、バヤジトも処刑されかねませんでした。
そのためキョセムはバヤジトの軽率な行動を咎め、今一度行動を改めるよう忠告しました。
第39話:ブルサの暗殺者
帝都。皇帝ムラトは皇帝妃ファリアを連れ出し、夜の街を散歩します。
しかしこの日は普段と異なり、宰相アバザ・メフメトと歩兵常備軍長官ケマンケシュ、主馬頭デリ・フセインを始めとする数名の配下も同行させていました。
そのせいもあってかムラトの表情は険しく、いつものようなファリアへの優しさは感じられませんでした。
そんな中、ムラトたちの前に禁止令に背いて明かりを持たずに出歩く男が現れます。すぐさまムラトが男に明かりを持たない理由を尋ねると、男はどうせバレやしないと言ってのけました。
この言葉はムラトの逆鱗に触れ、男は衛兵によって処刑されます。ムラトは止めに入ったファリアに対しても容赦なく、決して余計な口は挟まぬよう言い渡しました。
トプカプ宮殿。部屋に戻ったファリアは、化粧台に置かれた差出人不明の手紙を見つけます。
それは皇子バヤジトの母ギュルバハルに関する密告で、ギュルバハルが高官と結託して皇帝ムラトへの策略を巡らせているとの内容でした。直ちにファリアはムラトに知らせに行こうとしたものの、ファリア付き女官マルグリットに止められます。
仕方なくファリアは母后キョセムを訪ね、手紙のことを打ち明けました。キョセムは対処を約束し、この件は他言せぬよう釘を刺します。
トルコ北西部、イズニク。ムラトは狩りと称してブルサへ視察にやって来ました。
帝都はアバザ・メフメトに託され、ブルサには皇子カスムとイブラヒム、ケマンケシュとデリ・フセインら数名の配下が同行します。ムラトたちは商人になりすまし、禁止令が敷かれたブルサの状況を探ります。
手始めにケマンケシュが金をちらつかせてみたところ、街の商人はあっさり闇営業のコーヒー店へと案内してくれました。コーヒー店は闇営業にもかかわらず、結構な規模で多くの人で賑わっています。
そこへデリ・フセインが呼んだ衛兵が続々と現れ、ムラトたちはイズニクの法官ギュムシュザーデの元へ連行されます。ムラトはわざと捕まり、ギュムシュザーデの賄賂の瞬間を捉えようとしたのです。
そんなことを知る由もないギュムシュザーデはまんまとカスムから賄賂を受け取り、賄賂を受け取った右手をムラトに切り落とされました。そのままギュムシュザーデは処刑され、遺体は街の広場に吊るされます。
その夜。ムラトたちはアナトリア軍政官の屋敷に泊まりました。
ムラトの部屋には贈り物として女性が用意されており、ムラトは女性の隣で眠りにつきます。すると、女性はおもむろに起き上がり、隠していた短剣をムラト目掛けて振り翳しました。