「有翡(ゆうひ)」39話・40話・41話あらすじネタバレと感想。ついに四象山の殷沛を討つべく戦いが始まり、周翡たちは武林の者と協力しながら殷沛を追い詰めます。そこへ山川剣の鞘を狙う地煞山荘の六荘主の童天仰も現れ、周翡たちは童天仰の相手をせざるを得なくなりました。童天仰に追い詰められた周翡を、殷沛は身を挺して守ります。
39話: 団結力
柳家荘では、武林の武芸者が集結し、清暉真人こと四象山の殷沛を討つための協議を行っていました。中には家族や大切な人を殷沛に奪われて恨みを持つ者も多く、柳荘主の母はどんな手を使っても殷沛を仕留めると声を荒らげます。
とはいえ殷沛がここまでの短期間で多くの門派を壊滅させたのは侮れず、李晟は殷沛に勝る団結力を生かして戦うことを提案しました。柳荘主の母の誕辰祝いを利用して殷沛を誘き出し、武林の者たちは団結して戦います。
柳家で殷沛を討つことは使いの者を通じて周翡にも知らされ、すぐさま周翡は謝允(蕭川)と共に柳家へと向かいます。案の定、柳荘主の母の誕辰祝いに姿を現した仮面姿の殷沛を武林の者たちが捕らえました。最も簡単に捕まった殷沛を不思議に思う李晟たちの前に、さらに7人の仮面姿の殷沛が現れます。しかし呉費将軍の娘の呉楚楚だけは、8人の背格好からそこに殷沛が居ないことを見抜いていました。
李晟は人数不利を斎門の八卦を応用した戦法で乗り切り、羽衣班の霓裳夫人の助けもありながら偽の殷沛を倒していきます。そこへ周翡も到着し、周翡は目の前にいた仮面姿の殷沛を切りつけます。周翡の一撃で仮面は真っ二つに割れ、本物の殷沛が姿を現しました。殷沛は周翡の姿を見るなり逃げ出すも、後を追ってきた周翡と一騎打ちになります。
周翡と殷沛の強力な一撃が相打ちに終わったその時、わらわらと殷沛の腹心が現れ、周翡に襲い掛かります。周翡は何とか応戦するも戦闘中に刀が折れ、成す術がなくなってしまいました。
すんでのところで駆けつけた興南門の朱晨のおかげで九死に一生を得る周翡でしたが、身を挺して周翡を守った朱晨はその場で息を引き取ります。その際、朱晨は生まれ変わってもまた周翡に会いたいとの胸中を明かしました。
一方、偽の仮面姿の殷沛を捕まえた李晟たちは彼らが名家の子孫だとわかり、名家の子孫たる者が力を求めて悪に落ちたことを嘆いていました。彼らは鳳凰丹により余命僅かなことから、このまま投獄して反省させることにしました。
李晟は団結の必要さを説いて皆を正しい方向に導いたと武林の者から感謝されます。そして、今の江湖には李晟のようなリーダーが必要だとして、李晟を江湖のリーダーにすべきとの声が上がりました。
40話:山川剣譜
呉費将軍の娘の呉楚楚は、羽衣班の霓裳夫人から殷家に伝わる山川剣譜を託されたことで、四象山の殷沛(清暉真人)と地煞山荘の六荘主の童天仰に命を狙われます。家伝の山川剣譜を継承したい殷沛に対し、童天仰は大宗主の沈天庶が求める海天一色の品の山川剣の鞘を求めていました。
そんなことを知る由もない呉楚楚は山川剣譜が災いの元とならぬよう燃やそうとしていたところ、一部始終を見ていた殷沛に捕まり、殷家荘跡へと連れて来られました。その後、呉楚楚は救難信号の花火を上げ、呉楚楚の居場所は四十八寨の者だけでなく、敵の童天仰にまで知れ渡ります。
翌朝、呉楚楚の救援信号を受けて殷家荘跡へとやって来た李晟率いる四十八寨の者たちは、それぞれ分かれて呉楚楚の捜索を行います。呉楚楚は李晟によって発見され、李晟たちは直ちに殷家荘から脱出を図ろうとします。
しかしそこへ殷沛が現れ、李晟と呉楚楚は殷沛に拉致されてしまいました。李晟と呉楚楚が連れて来られたのは殷家荘の中で、呉楚楚は殷沛に燃やした山川剣譜を完全に書き起こすよう命じられます。
そこで呉楚楚は殷沛が山川剣譜の順序を知らないのをいいことに、実際とは異なる順序に変更して剣譜を書き起こしていきました。すると、呉楚楚の後を追ってきた童天仰も現れ、まんまと呉楚楚に騙された童天仰は本物とは順序の異なる山川剣譜を渡されます。
早速外へ出て山川剣譜を試した童天仰は異変に気づき、殷家荘に戻って呉楚楚を怒鳴りつけました。童天仰と呉楚楚が言い合う中、殷沛は童天仰が欲する鞘を譲る代わり、自分を地煞に入れて殷家再興に手を貸すよう提案します。
殷沛を地煞に入れる理由がないと相手にしなかった童天仰も殷沛が差し出した鳳凰丹を見るなり目の色を変え、鳳凰丹を手に取り飲み込みました。
一方、四十八寨の周辺では周翡は聞き覚えのある音色に導かれ、四象山の朱雀主の木小喬と再会を果たします。木小喬は地煞山荘の五荘主の胡天瑛を殺害したももの、その際に胡天瑛の毒を食らっているゆえ自身の余命もわずかだと打ち明けました。
そのためこれは周翡に返すと木小喬は周翡に慎独印を差し出し、謝允(蕭川)の助けには鳳凰丹がいいかもしれないとの情報を提供します。鳳凰丹には服用してから達人の内力を使って薬性を脈に封じると、体内が浄化されて命が蘇るという伝説がありました。
あまりに突拍子もない内容に疑念を抱く周翡でしたが、死者を蘇生できる禁薬ゆえ斎門は存在を隠したとの木小喬の説明に納得し、殷沛に効果が出ているなら謝允にも望みはあると期待を膨らせます。
41話:李瑾容の覚悟
殷家荘跡では、周翡を身を挺して守った四象山の殷沛(清暉真人)は、地煞山荘の六荘主の童天仰の攻撃をもろに食らい、息も絶え絶えに父の敵を討ったと呟きます。周翡は殷沛に近寄ると、出自に関係なく殷沛は殷聞嵐の息子に間違いないと話し、殷沛の最期を看取りました。その後、周翡たちは殷沛の墓を立て、周翡は羽衣班の霓裳夫人から山川剣の鞘を託されます。
また、四十八寨に戻った周翡たちは、当主の李瑾容にこれまでの出来事を報告します。李瑾容は地煞山荘の楚天瑜や童天仰を討ったのは大きな成果であり、柳家荘での李晟の活躍も素晴らしかったと周翡たちを労いました。
しかし周翡が海天一色の品を3つ持ち帰ったことで、四十八寨には全ての海天一色の品が集まっていました。このことを地煞が知れば四十八寨に攻め入るのは明白で、いつもは冷静沈着な李瑾容も焦りの色を浮かべます。
李瑾容は全て集まった海天一色の品を眺めながら、自身も父から海天一色の秘密を知らされていないことを思い返していました。父の我が子を巻き込みたくないとの気持ちを理解した李瑾容は、自分の子供たちを巻き込まぬよう一世一代の決断を下します。
それは、李瑾容が単身で地煞に乗り込み、大荘主の沈天庶を討つというものでした。これには地煞に攻め入られて勝算のない戦いに臨むより、李瑾容が自ら災いの元である沈天庶を討つ方が見込みがあるとの思惑がありました。
地煞山荘では、柱国の兪聞止は周翡たちが四十八寨に戻ったことを受け、地煞山荘の大荘主の沈天庶に安平軍の周似棠の暗殺を持ち掛けます。兪聞止は周似棠が四十八寨の当主の李瑾容の誕辰祝いに出向くと読み、この機会に周似棠を殺害してしまえば安平軍を手中に収められると考えていたのです。報酬に見合わぬ仕事はしないと渋る沈天庶に対し、兪聞止は不適な笑みを浮かべます。
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