「有翡(ゆうひ)」45話・46話・57話ネタバレあらすじと感想。周翡たちは地煞山荘の五荘主の胡天瑛に奪われた海天一色の品を奪還を目論むも失敗に終わり、海天一色のありかとされる大薬谷を目指します。しかしそこにはすでに先入りした二宗主の谷天顕と七宗主の陸天曠の姿があり、周翡は海天一色を手に入れるため彼らに果たし状を出しました。
45話:仲違い
寒水鎮。李晟は、擎雲溝の掌門の楊瑾と第3皇子の側近の白先生と行動を共にしており、海天一色の品を奪還するための作戦を練っていました。李晟は柱国の兪聞止のスパイから奪った令牌を取り出すと、ある奇策を明かします。
それは、令牌を利用して兪聞止と地煞山荘の五荘主の胡天瑛の結託を逆手に取り、大荘主の沈天庶と胡天瑛を仲違いさせることでした。
海天一色をよりどころにして手放さない胡天瑛と疑い深い沈天庶を仲違いさせることができれば、李晟たちには海天一色を持たない沈天庶との対決を避けられるという最大のメリットがありました。
早速、李晟は寒水鎮に向かう地煞山荘の二荘主の谷天顕を捕らえるべく、行脚幇と羽衣班の手を借ります。李晟からの要請を受けた行脚幇の徐舵主と羽衣班の霓裳夫人は谷天顕の行く手を阻み、あっさりと谷天顕を捕らえました。
一方、李晟は行脚幇でもある白先生を通じて連絡を取った周翡と謝允(蕭川)と合流します。そこで李晟は周翡たちにも沈天庶と胡天瑛の仲違い作戦を共有し、再び二手に分かれて作戦を実行に移します。
李晟の妹の李妍は親切心から助けたはずの沈天庶に捕らわれ、海天一色の守り人の劉有良に覚えさせられた、海天一色の場所を示す詩を書き出すよう迫られていました。
四十八寨の拠点の店主を人質にとられて我慢の限界を迎えた李妍は、ついに詩を書き出してしまいます。
全てを書き終えて解放を望む李妍でしたが、疑い深い沈天庶はその場しのぎで書いたものなら音読は不可能との理由から、李妍に書いた詩を読み上げるよう求めました。
李妍は怯えて言葉に詰まりながらも、ぽつぽつと詩を読み上げていきます。そんな中、周翡と謝允は偶然通りかかった小屋から李妍の声が聞こえ、李妍が沈天庶に捕らわれていることを知ります。
そもそも李妍は謝允から買い物を頼まれて寒水鎮を訪れており、責任を感じた謝允は李妍に代わって自ら人質になると言い出しました。
さすがに危険すぎると反対する周翡に対し、謝允は父に恩がある沈天庶は自分には手を出さないとして李妍が捕らわれる小屋の中に入っていきます。周翡は万が一の事態に備え、小屋の外で待つことにしました。
46話:沈天庶の目的
寒水鎮。地煞山荘の五荘主の胡天瑛は周翡の破雪刀に敗れ、息も絶え絶えに大荘主の沈天庶を待ち続けます。そんな胡天瑛を眺める周翡たちの元へ四十八寨の使いの者が現れ、四十八寨に周似棠が帰還したとの知らせが入ります。
周翡は胡天瑛を李晟に任せ、謝允(蕭川)と共にひと足先に四十八寨へと戻ることにしました。間もなくして胡天瑛は力尽き、沈天庶を待ち侘びながら息を引き取りました。
地煞山荘。四十八寨から海天一色の品を奪った沈天庶の次なる目的は海天一色を手に入れることですが、李晟の妹の李妍から聞き出した海天一色のありかを示す詩を解明できずにいました。
そこで沈天庶は、二荘主の谷天顕と七荘主の陸天曠に詩を頼りに海天一色を探し出すよう命じます。沈天庶が海天一色にこだわるのは、かつて耳にした“宿鉄法“という書物を探し求めているからでした。
安平軍を抜ける際に自ら右腕を切り落とした沈天庶は、義手の製作を頼んだ鍛冶屋から宿鉄法について聞かされます。宿鉄法は鍛冶屋の師匠が持っていたもので、鍛造と製錬の最高技術が記されており、その技術を使えば今より100倍も優れた武器が作れるとのことでした。
実際に沈天庶は宿鉄法で作られた牛刀を試しており、その牛刀は一太刀で通常の刀を真っ二つにするほどの威力を持っていました。
すっかり宿鉄法の技術に魅力された沈天庶は、直に宿鉄法を見ることを望みます。しかし宿鉄法は鍛冶屋の師匠によって皇室に献上されていたうえ、宿鉄法の内容を知る者は他にいませんでした。
それでも、もし宿鉄法を手にすることができれば虎に翼となるため、沈天庶は宿鉄法を前朝の宝物である海天一色に求めていたのです。
四十八寨。周翡は帰還した父の周似棠と再会を果たし、毒に当たった母の李瑾容の解毒法は海天一色の中にあると胡天瑛が言っていたことを伝えます。ところが、周似棠は蓬莱の同明大師なら解毒できるかもしれないとして、李瑾容を連れて蓬莱へと旅立ってしまいました。残された周翡は謝允と李晟、擎雲溝の掌門の楊瑾と李妍、呉費将軍の娘の呉楚楚と共に海天一色を探すべく下山を決意します。
47話:大薬谷
大薬谷の周辺。地煞山荘の二荘主の谷天顕と七荘主の陸天曠は、ついに大薬谷の入口を発見します。水や岩を使った仕掛けが施された入口の先には村が広がっており、多くの農民が生活していました。
穏便に事を進めようとする谷天顕とは反対に、陸天曠は村人を捕らえ、力尽くで海天一色のことを聞き出そうとします。そんな陸天曠に谷天顕は眉を顰め、苛立ちを露わにしました。
谷天顕と陸天曠が大薬谷に到着したことは大荘主の沈天庶にも知らされ、沈天庶は大薬谷行きを決めます。一方、大薬谷を目指す周翡たちは、第3皇子の陳子琛の配下に遭遇します。
陳子琛の配下は謝允(蕭川)宛ての手紙を預かっており、そこには敵の大軍が国境に集まっているゆえ相談がしたいと記されていました。周翡の身を案じる謝允は行くつもりはないとするも周翡に説得され、陳子琛を訪ねてから合流することにしました。
早速、謝允は迎えの馬車に乗り、陳子琛の元へと向かいます。その道中、女性の叫び声を耳にした謝允はこの辺りの民が戦によって苦しめられていることを知り、行き先を近くに駐屯する安平軍の副将の聞煜の元に変更します。
安平軍の軍営。謝允は聞煜に今後の相談をしにきたようで、今の王朝のやり方に苦言を呈しました。謝允は哲学者である孟子の言葉を用いて、最も尊いのは国家ではなく民であり、君主は重要ではないと説きます。
謝允の自分の力で民に平穏な生活をもたらしたいとの思いを受け、聞煜は何をすべきか悟ったと理解を示しました。
大薬谷。周翡たちは草藪に身を隠す子供についていくことで大薬谷へと辿り着き、村人が地煞によって監禁されている現場を目撃します。少し離れたところから様子を伺っていた周翡たちは、地煞が手掛かりもなく村人を捕らえたのは村人を拷問して海天一色のありかを吐かせるからだと気づきます。
直ちに村人の救出を提案する李晟の妹の李妍でしたが、想像以上の敵の多さに李晟と周翡は頭を抱えていました。ここは身の安全を優先して安平軍に助けを求めるべきだと主張する李晟に対し、周翡は四十八寨に退却の文字はないと村人を救出することを宣言します。
そのために周翡は谷天顕と陸天曠に果たし状を出し、周翡が2人と戦っている隙に李晟たちで村人の救出することになりました。その間、呉楚楚は安平軍に助けを求めるべく、近くに駐屯する聞煜の元を目指します。