ドラマ【アウトブレイク】ネタバレと見どころ。新型コロナウイルスを予言したと言われているカナダのテレビドラマシリーズ。世界で猛威を振るうコロナウイルス拡大ニュースと、あまりにもタイムリーで現実と酷似したリアルな描写だったことから、カナダでは視聴率1位となり社会現象を起こしました。
本作はカナダ・ケベック州モントリオールを舞台に静かに広がっていくウイルスの脅威と、そのなかで繰り広げられるヒューマンドラマが描かれています。
本作は、カナダのテレビドラマ界で活躍しているヤン・ラヌエット・チュルジョン監督のもと2020年にカナダで制作されました。原題「Epidemie」日本語の意味は「流行」。
主演はジュリー・ルブレトン。映画【ラブ・レクイエム】(2013)や【人生、ブラボー!】(2013)に出演し、カナダ・フランス語圏では数多くの賞を受賞しているフランス系カナダ人女優です。
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【アウトブレイク-感染拡大-】あらすじ
脅威の感染力で広がったウイルスは、大きな波紋を呼び起こしました。
ある日、イヌイット(諸民族)のひとりが死亡するも、死因が特定できないまま心臓麻痺として葬られ、事実上2人目の犠牲者から注目されます。
犠牲者は、路上で生活していたイヌイットばかりということもあり、医師は「よくあること」として感染を疑いませんでした。
ネッリ(ナンシー・サンダース)は事実上3人目の死亡者となる、イヌイットでいとこのアラシーの感染の疑いを医師に訴えるも全く相手にされません。
そこで、ネッリは数日前に知り合った緊急衛生研究所所長のアンヌ(ジュリー・ルブレトン)に直接訴えました。
すると、アンヌは即座に行動を起こしてくれたのです。
アンヌはパニックを考慮し、公安大臣と広報担当によって情報が伏せられようとするところ、早々に3人の顔写真を公表して接触した人間を探し出そうとしました。
その写真のおかげで、次々と情報が寄せられてきました。
しかし、他の場所でも感染者が続出。
ウイルスがコロナウイルスと判明するも、新型だったため抗ウイルス剤が全く効かずに死者は200人を越えてしまいます。
そこでアンヌは、元同僚の製薬会社で新開発されていた臨床試験前の広域抗ウイルス剤の投与を、公安大臣に提案したのです。
公安大臣は臨床前の薬ということもあり躊躇するも、自分の大切な人が感染していたため、緊急措置として許可を出しました。
臨床実験により、感染者が助かりだすも、感染経路や感染元を特定しないことには被害は増える一方。
しかし、緊急衛生研究所が総力をあげ、やっとの思いで感染元を特定しました。
1人目の感染者が、飼育していたフェレットの飼育小屋内を飛び交っていた蝙蝠の糞により感染。
その後、フェレットから新型へ変貌し人に感染していたことが公表され、市民にも終息宣言が発表されました。
【アウトブレイク-感染拡大-】ネタバレと見どころ
複雑な感情が飛び交うヒューマンドラマ
主人公アンヌの夫は医師で、同僚と浮気をしていました。
その相手となるのがクロエ(メリッサ・デゾルモー=プーラン)で、彼女は感染者を治療する医師。
感染の原因を調査する側(アンヌ)と、感染者を治療する医師側(クロエ)で、互いに私情を抑え込みながらウイルスと闘います。
しかし、クロエは感染者の治療過程で感染してしまいます。
夫からクロエを助けてほしいと言われるも、現状ではウイルスが特定されていないため手の打ちようがありませんでした。
「クロエが憎いから手を打たないのではない」と説明するも、何とか助けて欲しいと夫と娘に懇願されアンヌは複雑な思いを抱きます。
アンヌはクロエを救う為に自分の人生を架け、法に触れるのを承知で、元同僚のシルヴィが開発した薬を求めて国境を越え、臨床前の薬を2本欲しいと頼み込みます。
シルヴィは断りつづけますが、浮気相手を助けようとするアンヌの情熱に心を動かされ予備の薬を2本渡してくれたのです。
アンヌは夫と協力してクロエに薬を投与。
彼女は完治しました。
その後、クロエは多大な感謝の気持ちでアンヌを助けようとしました。
命を助ける事に必死で行動していたアンヌでしたが、元気になったクロエとの接し方など、彼女の複雑な思いは計り知れません。
また、公安大臣のローランには同性の恋人がおり、2人の為に代理母となったフランソワーズが感染して入院していました。
臨床実験では、感染者をランダムに12名選出することになりましたが、フランソワーズは選ばれません。
するとローランは、投薬を担当する医師に緊急衛生研究所の所長の座を打診し、フランソワーズへの投与を頼み込んだのです。
医師は12枚の投薬同意書の1番上の紙をローランに渡し、その1本をフランソワーズへ投与。
しかしフランソワーズには効かず亡くなってしまいました。
そして、本来投与されるはずだった7歳の少年も亡くなってしまったのです。
ローランは自分のした行いを後悔し、少年の母親に正直に話そうとしましたが恋人に止められたため、出来る限り支援することにしました。
医師とローランのやり取りを不自然に思い真相を突き止めた看護師は、少年の母親への同情から全てを話してしまいます。
真実を知った母親は泣きながらローランのところに行き「あなたが殺した」と、自殺する為に持っていた薬を、死ねと言わんばかりにローランへ渡して去って行ったのです。
思いつめ立ち尽くすローランの姿で最終話は終了します。
ドラマと映画それぞれの楽しみ方
1995年に、ダスティン・ホフマン主演の同タイトルの映画が公開されています。
映画では、未知のウイルスが突然変異種だったこともあり、感染から24時間以内に発症し致死率100%という驚異的な数値でした。
感染者は発疹が表れ、血や膿などが吹き出して亡くなっていくという恐怖が煽られるもの。
感染者を救うには、宿主の一匹の猿を見つけ出して抗生剤を作らなくてはいけません。
ドラマでは、ウイルスが実在する新型コロナウイルスだったため潜伏期間も長く、致死率も現在自分たちの身に起こっていることがそのままリアルに描かれています。
たまたま抗ウイルス剤が存在するあたりは実際とは違いますが、元を断つために発症元を探しました。
映画版はリアルに感じられない部分もありますが、アメリカ映画だけあってヘリコプターでの空中戦は実に見物です。
ドラマは、心情や人の行動などにスポットを当てられているところは見どころのひとつと言えるでしょう。
【アウトブレイク-感染拡大-】感想
このような状況下を経験したからこそ見て欲しいドラマでした。
何気ない日常でウイルスが広がっていく様は見て恐怖を感じましたし、いつどのように感染したのか分からないことには、さらなる恐怖感を煽ります。
また、本作のもうひとつ見どころはやはりヒューマンドラマ要素です。
アンヌは長年連れ添った夫に浮気され、動揺が隠せない中でも自分の立場や責任を全うする姿は本当に素晴らしかったです。
そのおかげもあって新薬を用いることに行動を起こすのですが、検閲を通る時はドキドキでした。
そしてもうひとり。
公安大臣のローランは、当初何も知らない素人が国民への対面だけ気にして現場を混乱させるだけのもの邪魔な存在だと感じていましたし、広報係の身勝手さにも怒りすら覚えました。
既に自国カナダではシーズン2の製作が決定しています。
シーズン1でウイルス問題は終息しているので、また違うウィルスをモチーフに今後降りかかるかもしれない脅威を描いていくのかもしれません。