クレアとジェイミーのいる時代
夕食会
ジェイミーが、ジョン・グレイ卿の家で天井の吊り下げライトを付け替えていると、玄関のドアがノックされます。フィグ夫人がドアを開けるとアメリカ軍のビューティーマン中尉が何も言わずに入ってきて、部屋や厨房を確認し「ここならいける」と独り言を言っていました。
ジェイミーが対応すると、ビューティーマン中尉は准将であるジェイミーに頭を下げ、失礼を詫びながら事情を話します。彼は「大陸軍が街を占拠した。ワシントン将軍から夕食会を開くための家を探すよう命じられた」と話しました。
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夕食会が行われるのはその日の夜で、ジェイミーも招待されているので準備が急がれます。一方で、街に買い物に出ていたクレアは、男に足を踏まれ荷物を落としてしまいます。
男性は謝って荷物を拾い「非礼を働いてしまいましたが、お名前をうかがっても?」とクレアに尋ね、「私はラファイエット侯爵と申します」と名乗りました。
その瞬間、クレアの表情は明るくなります。ラファイエット侯爵も夕食会に招待されているので、足を踏んだお詫びにフランスから持ってきたチーズを送る約束をしました。
ラファイエット将軍はフランスの貴族であり軍人、政治家。アメリカ独立戦争の数々の戦闘でアメリカ軍を指揮し勝利に貢献しました。フランスに戻ってからは、1789年のフランス革命や1830年のフランス7月革命でも重要な役割を果たすなど歴史に名を遺した人物。
夕食会は、ジョージ・ワシントン将軍、フレイザー夫妻、ラファイエット侯爵を含む7名で行われました。食事が始めると、ラファイエット侯爵はフランスから持ってきた”マジョラムとローズマリー香るシャンパン酢のゼリー寄せという壺入りうなぎ”をクレアに勧めます。
クレアは「マジョラムは好きだわ」と嬉しそうに壺からうなぎを取り出しますが、その見た目に違和感のようなものを感じます。そして、恐る恐る少しだけ口に運んでみました。
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明らかに美味しくないという表情……。しかし、ラファイエット侯爵は「どうですか?」と嬉しそうに聞いてくるので、クレアは「うん、おいしいです」と答えるしかありません。
そこにラファイエット侯爵の副官が手紙をもってやってきます。彼は、パーシヴァル・ボーシャン。ボーシャンはイギリスではビーチャムと発音するためクレアは親近感をもって接しました。
そして夕食会も終わりに近づくと、ワシントン将軍がもてなしへの感謝として「フレイザー夫妻に星条旗」を送ります。
乾杯のあと、クレアは星条旗を見ながら将軍に尋ねます。「最初は六芒星だったと聞きました」。実は、ベッツィー・ロス夫人が「五芒星の方が縫いやすい」と指摘してくれたとのこと。
ベッツィー・ロス夫人は、星条旗の作成者と考えられている人物。六芒星から、縫いやすいという理由で五芒星に変更したと言われていますが、文書での証拠が残っていないため
「旗のない国は火のない炉も同じ」クレアのいう言葉にワシントン将軍は言います。
「いかにも 旗は一切れの布に過ぎないが大義を象徴する 我々も はかない人間にすぎないが 大義のために戦う 星条旗に人は何を見る?」
ジェイミーは「強い絆です 希望を抱く」と答えると、ワシントン将軍は嬉しそうにうなづきその場にいた全員が同調し、あらためて乾杯しました。
夕食会を終え、ジェイミーは大隊を率いる責任感をクレアに話します。今まで最高で50人の隊を率いたのが最大でしたが、今回は300人という兵士の命を預かることの重みをひしひしと感じていたのです。
ウィリアムに魔の手が迫りつつある!
ウィリアムは、クリントン将軍からの手紙を上官に届けましたがノド当てがないことを指摘され、父の馬丁みたいだと注意を受けます。ウィリアムはノド当てを失くしたことを伝えながらも「私は馬丁ではありません」と反抗的に答えました。
上官は、折り返しの手紙を渡しながら軍服を縫わせて顔を洗うよう命じます。ウィリアムが自分のテントに戻ると、そこに娼婦のアラベラ(12話で登場した娼婦)が妹のフランシス・ポコックを連れて入ってきたのです。
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ウィリアムが「ここで何してる?」と尋ねると、アラベラは「ハークネスが来た」と言いフランシスが「だから逃げてきた」とつけ加えます。
ウィリアムは、ハークネス大尉は軍人だから野営地にいるより街にいる方が安全だというもアラベラは、ほかにも用があるとウィリアムのノド当てを返してきました。
そして「わたしたちを守ってほしい」というのです。アラベラは、私は兵士がいれば稼げるけどこの子にはさせたくないとだけ言い、本当の理由を明かしませんでした。
ウィリアムは、従軍者として同行させるから代わりに自分の洗濯をするよう指示します。洗濯道具やせっけんを買うようお金を渡しましたが、アラベラは洗濯の仕方どころか硬貨の名前は分かるけどそれで何が買えるかわからなかったのです。
彼女は10歳から娼館暮らしだったため、知っているのは体の部分の値段だけ。3シリングで買えるのがパン1個なのか、馬一頭なのかも知りませんでした。
ウィリアムは「洗濯女たちといろ。ここは安全だ。まともな服を探す。そんな恰好をしてたら娼婦を思われる」というとアラベラは、「娼婦よ」と反論。ウィリアムはすかさず「いいや、君は違う。僕といる限り」と熱い言葉を掛けました。
アラベラは、従軍者として野営地にいましたが急にニューヨークにいくと言い出しました。ウィリアムが理由を尋ねるとフランシスが「もう話そうよ」とひとこと。
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実は、マッジ(娼館のオーナー)はフランシスの初めてを10ポンドで売ろうとしていました。初物好きな金持ちを待っていたところ、ハークネスは倍額出すと言ってフランシスを買おうとしたのです。
アラベラは断ることができず、マッジに言って妹の初めてに付き添うことに。でもハークネスは悪い男だから、それで終わりなはずがないことは分かっていました。
アラベラはナイフを隠し持ってハークネスの後ろから近づいて刺そうとしましたがフランシスの驚いた顔でハークネスが振り向いてしまったのです。
アラベラは迷う暇もなく、ハークネスのノドにナイフを刺しました。床は血の海になり、ハークネスは死亡。アラベラとフランシスは窓から逃げてウィリアムのところにやってきたのです。
翌日、ウィリアムはリチャードソン大尉から、スポッツウッドのドイツ兵のフォン・シュネル大佐への手紙を届けるよう命じられました。