【麗姫(レイキ)と始皇帝~月下の誓い~】15話と16話のネタバレ感想。韓申の手引きで王宮から脱出した麗は、ついに荊軻と再会したもののどこか憂いのある表情を浮かべている。実は彼女は、荊軻のためを思って“ある決心”をしていたのだ。その決心とは?
【麗姫と始皇帝】15話のネタバレ
荊軻との再会
麗と韓申は、警備が緩む一瞬のスキをねらって王宮から脱出した。
あらかじめ荊軻には「王宮から麗を連れだす」と伝えてある。
2人は荊軻との合流場所に向かうが、麗はその前に韓申にお願いをする。
「天明を生んだことはまだ言わないで欲しいの」
合流場所の小屋につくと、麗はすぐには中に入らず足をとめて荊軻との思い出を回想した。
そして、なぜかは分からないが嬴政と過ごした日々も頭によぎる。
部屋に入り再会を果たした麗と荊軻は強く抱きしめあった。
「これからはずっと麗のそばにいる。やつらが追ってきても渡すものか。共に生きて共に死のう」
≡王宮≡
王宮では、麗が姿を消したことで大騒ぎになっていた。
この件を調査する趙高は、侍女の清児が脱走の手助けをしたのではないかと疑い拷問にかける。
しかし完全に無実の清児は、どれだけ酷い拷問をうけても ただ知らないと言うしかできなかった。
成功者か敗北者か
流刑を言い渡された呂不韋は、息子の嬴政に浴びせられた辛辣な言葉の数々を思い返していた。
そして、長年そばで仕えてくれた司空馬に「私は成功者か敗北者か、どちらに見える?」と尋ねる。
司空馬は、巨万の富を手にいれたことや相国の座に登りつめたことを以て”成功者”だと答える。
「富や権勢がなんだ。手塩にかけて育てた息子からは忌み嫌われている。私の人生は一体なんだったのか」
呂不韋はそう言って司空馬を下がらせた後、毒をあおって自害した。
父子の情
呂不韋の死を知った嬴政は、口では「喜びでいっぱいだ」と言いながらも彼との対話を思い起こしていた。
それをかき消したのは、報告をしにきた配下の声だった。
「麗夫人が王宮から居なくなりました」
嬴政はすぐに王宮に向かった。
【麗姫と始皇帝】16話のネタバレ
すべては荊軻のために……
麗、韓申、荊軻、蘭の4人は、食卓を囲みながら風のうわさで聞いた呂不韋の死について語り合う。
荊軻が「嬴政が殺したも同然だ。やつには血も涙もない」と批判をすると、麗は嬴政の肩をもった。
「そんな人じゃない」
麗は、嬴政が愛情を知らずに育ったことや彼には信用できる人が誰もいないことを3人に教える。
すると、荊軻は嬴政への嫉妬心をみなぎらせ、食事のあとも「この1年で麗は嬴政に手なづけられてしまったようだ」と韓申に本音をもらす。
夜になると、麗は3人に別れを切り出した。
麗ははじめから王宮に戻るつもりだったのだ。
どこへ逃げても嬴政は地の果てまで追ってくるだろうし、たとえ子の天明を連れ出せたとしても一生日陰で暮らすことになるからだ。
子供にそんな暮らしをさせたくはない。
何より荊軻を巻き込みたくはないし、彼の前途を潰したくない麗は王宮に戻るしか選択肢はなかった。
また、荊軻が天明の父親だと知れば、きっと王宮から助けだそうとして荊軻が危険な目にあってしまう。
だから、荊軻が子の父親であることは伏せることにした。
「王宮に戻るわ。嬴政との子を産んだの。子を放っておけない」
自分こそが子の父親だと知らない荊軻は、麗が嬴政を受け入れたのだと思い込みつい声を荒げてしまう。
「道理で嬴政の肩をもつはずだ!出ていけ!」
手助けをした者
王宮に戻った嬴政は、麗がいなくなった日に当直だった侍衛を見せしめに殺した。
趙高も死罪になりかけるが、李仲がとりなしてくれたお陰で首の皮一枚つながった。
とはいえ、麗が見つからなければ死罪にすると言われてしまった趙高は全力で捜索にあたりながらふと思い至る。
もしも麗を手引きした者がいるとすれば、その者はいま王宮にいないはずだ。
それに気づいた趙高は、ここ数日の間に暇をとった人間がいないかを調べることにする。
【麗姫と始皇帝】15話の感想
ついに麗が王宮から脱出!
荊軻との涙ながらの再会は、これまで2人の情の深さを見てきただけに胸にくるものがありました。
でも麗が、嬴政のことまでもを回想していたのは意外です。
嬴政への情はまったくなさそうに見えたのに、実は麗も気づいていないだけで多少の情があるのかもしれません。
一方、麗がいなくなった王宮では大変なことに……。
侍女の清児は麗の脱走に手を貸したと疑われ、潔白なのにこっぴどい拷問を受けてしまい可哀想でした。
彼女はこのことで麗を恨むかもしれません。
そして今回のもうひとつの大きな出来事といえば、呂不韋の死です。
商人から相国にまで登りつめた人生は一見すると華やかなように見えますが、彼が死の直前に抱いた感情は虚しさでした。
息子の嬴政を手塩にかけて育ててきたつもりでも、嬴政が自分に心を開くことはなく、それどころか最後まで嫌われつづけたことに虚無感を抱いたのでしょう。
そんな呂不韋の死を聞かされたときの、嬴政の表情が秀逸でした。
確かに嬴政は呂不韋のことを忌み嫌ってはいたけれど、そんな中でもわずかに父子の情があったと分かる一瞬の表情が素晴らしかったです。
【麗姫と始皇帝】16話の感想
麗は荊軻と再会してもどこか悲しそうだったり、笑顔のなかに憂いが見え隠れしていたのは、すぐに王宮に戻るつもりだったからでしょう。
“荊軻にとってはこれから永遠に続く麗との時間、でも彼女にとっては束の間の再会にすぎなかった”
この対比がなんとも切ない再会シーンでした。
麗が王宮に戻ったのは子と荊軻を守るためです。
でもそれを知らない荊軻からしてみれば、麗が嬴政に心変わりをしたと思い込んでしまうのも無理はありません。
実のところ、麗は心変わりまではしていないものの 嬴政の理解者になりつつあります。
彼女は嬴政のまえでは無視を決め込んだり心を閉ざしているように見えましたが、本当は彼の孤独や優しい一面に気づいていたのでしょう。
だからこそ、憶測だけで嬴政のことを悪くいう荊軻たちの言葉を正したのだと思います。
*次回17話・18話のネタバレ感想はこちら。