【麗姫(レイキ)と始皇帝~月下の誓い~】43話と44話。昌平君は楚国の安泰のために、楚の血筋である扶蘇公子を太子にしようと画策し、楚良人に結託をもちかけます。一方の嬴政は、自分の崩御後も麗を守れるように天明を太子にするつもりです。この記事ではネタバレ感想をお届けします。
【麗姫と始皇帝】43話のネタバレ
忘れえぬ恩人
子供のころに麗に助けられた話を語る嬴政は、年端もいかない自分にとって忘れえぬ恩人となった麗と再会したことが嬉しく、どうしても結ばれたかったと打ち明けます。
そして「そなたさえ信じてくれればそれで良い」と微笑みながら麗を抱き寄せました。
一方で、祖国の楚が滅亡する夢をみた楚良人は、自分が楚を守ってみせると心に誓います。
田光の最後の策
いよいよ嬴政暗殺を決行する日が近づいてきました。
蘭は涙ながらに暗殺を思いとどまるよう訴えますが、荊軻は亡き師父の遺志であり侠客としての務めだからと意志を変えません。
そして何より、嬴政を暗殺することが麗への償いになると思っているのです。
秦国への出立には、秦舞陽も同行することになりました。
一方で田光は、万が一暗殺が失敗したときにその罪を自分ひとりで被るための策を丹太子に申し出ます。
「田光は丹太子の怒りを買い殺された」と天下に広めることで、田光が独断で暗殺を進めた事にしようというのです。
ためらう丹太子の横で、田光は迷いなく己の胸を刺して自害しました。
立太子
朝議では昌平君が「国の未来のために太子を立てるべき」だと進言し、長子の扶蘇公子を推薦します。
嬴政は慎重に検討すると答え、朝議は解散となりました。
昌平君は自身が扶蘇公子の太傅であること、そして扶蘇公子が楚の血筋であることから何としても扶蘇公子を太子に立てたいと考え、養母である楚良人に結託をもちかけます。
これまで“祖国の楚には興味がないのだろう”と昌平君を評していた楚良人でしたが、昌平君の本心を知ったことで立太子の件は全面的に協力することにしました。
とはいえ、自分の名誉を回復してくれた麗とは争いたくない気持ちもあることを昌平君に伝えると、再起を図るには今しかないと言われます。
それから日が経ち、事態は一変。
昌平君はこの1年の間に諜報網を巡らせ秦国の動きを探っていましたが、その諜報網が何者かに破られてしまったのです。
諜報網を巡らせたことや楚国との内通を知られれば重い罪に問われてしまうため、昌平君にとっては危険な状況となりました。
【麗姫と始皇帝】44話のネタバレ
もしも男に生まれていれば
昌平君は秦国の軍略を密書に記して楚王宮に届けさせていましたが、受け渡しをしていた何人かの密偵が捕らえられ厳しい拷問を受けていました。
もしも密書を送ったことが明るみになれば、死罪は間違いありません。
そこで昌平君は、遠回しに「罪をかぶって欲しい」と楚夫人に懇願しました。
楚夫人は罪をかぶって自首する代わりに、生涯楚国に忠義を尽くすことを約束させます。
自首する前に麗に会いにいった楚夫人は、楚国への慕情を語り、もしも男に生まれていたならば祖国の役に立てたのに……と吐露しました。
そして最後に、大王(嬴政)にどれだけ寵愛されても、全てを信じず逃げ道を残しておくようにと忠告します。
「天下統一の道を阻む者は、寵妃であっても寵臣であっても、たとえ肉親でも破滅に追いやる。それが大王よ」
祖国の興隆
嬴政に謁見した楚良人は、楚王宮に情報を漏らした張本人は自分だと自首し、そして死を願い出ました。
誰かを守るためにウソの自白をしていると分かっている嬴政は、彼女を抱きしめて言葉をかけます。
「すまない。入内して以来そなたを大事にしてやれなかった。祖太后の手足であるそなたにどれだけ尽くされても信用できなかったのだ」
部屋に戻った楚夫人は、祖国の興隆を願いながら縊死しました。
丹太子の私怨
出立する荊軻に会いにきた高漸離は、以前に忠告したのを無視して丹太子の言いなりになっている荊軻を咎めます。
「丹太子の仮面の下にある浅ましい私欲に気づかないのか」
すると荊軻は、丹太子に利用されていることは分かっているけれど、嬴政暗殺は自分の意志だと言葉を返します。
高漸離は身を挺して荊軻の出立を阻止しようとしますが、止めることはできませんでした。
*
荊軻は見送りにきた丹太子に「口では国や民のためと言っているが、嬴政暗殺はあなたの私怨でしょう」と言い当てます。
丹太子は心の中でそれを認め、荊軻を見送りました。
【麗姫と始皇帝】43話の感想
祖太后を失ってからの楚良人は、いい意味で普通の女子のように見えます。
そんな彼女に手を組もうと持ち掛けたのは、これまで孤立を装っていた昌平君。
祖国の行く末には興味がないように見えた彼が、実は祖国の滅亡を怖れていたとは意外でした。
昌平君は扶蘇公子を太子につけることが楚国の安泰につながると思っているようですが、おそらく嬴政は扶蘇公子を太子には選ばないでしょう。
天下統一を目指す嬴政にとっては、楚がこれ以上の力を持つことは避けたいはずで、だからこそ楚の血筋である扶蘇公子は選びたくないはず。
一方で、荊軻サイドのストーリーはますますシリアス展開になってきましたが、そんな中でも秦舞陽のお気楽さが良いスパイスになっています。
【麗姫と始皇帝】44話の感想
本作に出てくる登場人物は、それぞれに敵対していても根本にあるのは祖国への想い。
国が違うゆえに敵対しているけれど、もしも同じ国に生まれていたのなら仲間になっていたのだろうと思える人たちばかりです。
そんな中でも、人間としての成長を最も感じるのは楚夫人でした。
祖国のために死を決意する姿は凛としていてとても気高く、過去の悪事をつい水に流したくなるほどに素敵な女性に映りました。
決して嬴政の寵愛を得られない彼女にとっては、自分が罪をかぶることでしか祖国を救えないと思ったのかもしれません。
一方の丹太子は、嬴政に個人的な恨みを抱いているようですが、その心境がよく分かりませんでした。
というのも、嬴政は自身が人質だった過去があるため、同じ境遇である丹太子に細心の心遣いを(彼なりに)していたと思うのです。
それを1ミリも汲み取らずに私怨を募らせる丹太子が少し残念ではありますが、丹太子にとってはそれだけ人質生活が屈辱的なものだったのかもしれません。
*次回45話・46話のネタバレ感想はこちら。