【麗姫(レイキ)と始皇帝~月下の誓い~】47話と最終話(48話)。嬴政暗殺のために参内した荊軻は、ついに嬴政と対峙します。しかし、初めから荊軻の暗殺目的を知っていた嬴政は、あらかじめ手を打っていたのです。壮絶すぎるドラマの結末とは?この記事では、ネタバレ感想をお届けします。
【麗姫と始皇帝】47話のネタバレ
絶対に死なせない
麗と再会した荊軻は、もしも天明の父親が自分だと知っていれば、たとえ師父の教えに背いてでも親子3人の穏やかな生活を選んだと話します。
麗は天明を韓申に託したことを伝えた後、嬴政の暗殺をやめてほしいと荊軻を説得します。
しかし、麗の説得をもってしても荊軻の意志を変えることはできませんでした。
麗は荊軻の腕の中で“絶対にあなたを死なせはしない”と心に誓います。
韓申の最期
夜に荊軻の部屋にやってきた蘭は、あなたがどんな決断をしても私は味方だと伝えて寄りかかりました。
荊軻は蘭との思い出を反芻しながら、心の中で「来世では兄となり生涯君を守る」と誓います。
翌日になり荊軻を見送った蘭は、父の盖聶と合流し、荊軻の息子である天明を探しだすことにしました。
一方、天明を連れて逃げている韓申は、追っ手が近づいていることに気づいたため天明だけを林に逃がし、自身は敵を迎え撃ちます。
ところが、秦国のなかでも屈指の刺客である風林火山を相手に1人では太刀打ちできず、一方的にやられるばかり。
そんな中、駆けつけた盖聶と蘭に助けられますが、すでに重症を負っていた韓申は2人に天明を託して死亡します。
飲ませたはずの眠り薬
麗は侍女の清児に「燕から来る使者の荊軻に眠り薬を飲ませてほしい」と頼みます。
これは荊軻に参内させないため、つまりは嬴政との対峙を阻止して彼の命を守るためでした。
夜になり王宮に戻ってきた清児は、指示どおりに薬を飲ませたと麗に報告。
これで荊軻は秦の王宮に参内しないはずでした。
ところが翌日、なぜか荊軻は秦の王宮に現れたのです。
最終話(48話)のネタバレ
壮絶な結末
*以下、重大なネタバレがありますので未視聴の方はご注意ください。
燕の使者として嬴政に謁見した荊軻は、献上品として持参した地図を自らの手で渡したいと申し出ます。
すると嬴政は、荊軻が自分の暗殺を狙う刺客だと分かっていながら許可し、自分の近くに来させました。
地図のなかに剣を隠していることさえも見抜いている嬴政は、地図を開く荊軻の手を止めて「やめておけ。今やめれば自由の身にしてやる」と言います。
「あんたに自由が分かるのか」
荊軻はそう言うと、以前に麗が描いた“荊軻との穏やかな暮らしを願った絵”を見せ「これが麗の望んだ自由だ」と言います。
絵の中に“2人の愛”を見た嬴政が嫉妬心に駆られて机を蹴り上げると、地図から剣が飛びだしてきました。
荊軻が剣を手にした瞬間、控えていた兵たちが一斉に動いて荊軻を包囲。
しかし、嬴政は兵たちを下がらせて1対1で剣をまじえます。
本来ならば剣力は圧倒的に荊軻のほうが上ですが、前日に清児に毒を飲まされた荊軻は力を発揮できません。
決闘の末、毒で弱りきった荊軻を剣で貫いた嬴政は、彼の死を確信して背を向けます。
ところが、まだ生きていた荊軻が渾身の力を振り絞って起き上がり、嬴政に襲い掛かりました。
それに気づいて飛びだした李仲は、嬴政の代わりに荊軻の剣を受けて死亡します。
嬴政は荊軻にとどめを刺しました。
その頃。
嬴政の手回しにより薬で眠らされていた麗は、すぐに正殿へと向かいますが禁軍たちが行く手を阻みます。
麗は次々と禁軍をなぎ倒し、ようやく正殿に着いた時にはすでに決着がついており、瀕死状態の荊軻が運びだされるところでした。
荊軻の息絶える瞬間を見た麗は「待ってて」と呟きます。
全員をさがらせ麗と2人きりになった嬴政は、荊軻に毒を飲ませたのも、麗に眠り薬を飲ませたのも清児であることを明かしました。
麗が入内したその日から、嬴政は清児に麗を監視させていたのです。
そのことを知った麗は、やはり自分は信用されていなかったのだと涙を流し、そして言いました。
「あなたは荊軻を殺した。今度は私の番」
「つまり余を殺すのか」
「そうよ」
「そうか。ならば縁もここまでだ。来いっ!」
直後、2人は同時に剣先を相手のほうに向けながら走りだしました。
2人の距離が縮まり、嬴政の胸に剣が刺さりそうになった瞬間、麗は剣の向きを変えます。
麗は最初から彼を殺す気などなかったのです。
しかし、嬴政の剣はすでに麗の体を貫いていました。
「なぜだ……」
「あなたに必要なのは愛する人を失う気持ち。だから私を殺せばいい。民の心に寄り添えば、きっとあなたは明君になれる」
麗はそう言うと、嬴政の胸に抱かれながら息絶えました。
3人の出会いと願い
物語は、嬴政と麗が出会った昔に遡ります。
そこには、少年だった荊軻もいました。
3人はそれぞれ、満月にお願いごとをします。
荊軻「剣術の奥義を習得して、民を救う英雄になりたい」
麗「私たちの友情が長く続きますように」
嬴政「人に恐れられるほど強くなりたい。大切な人を守れるから」
そして現在。
嬴政は気がつくと自分自身が回想の世界にいましたが、目の前の子供(荊軻と麗)は消え 自分ひとりだけがその場所に取り残されました。
【麗姫と始皇帝】47話の感想
このドラマは悲劇的な要素がいくつもありますが、そんな中でも蘭や韓申といった絶対に裏切らない純粋キャラがいるのが救いです。
侍女の清児もずっと善人キャラでしたが、ここにきて裏切りの予感が……。
そして、韓申の死は予想できたものとはいえ、実際に死んでしまうとやはり悲しい。
敵に囲まれてどれだけ絶体絶命の状況になっても、「麗のために 死んでもここを通さない」と強い意志をみなぎらせるシーンは 涙なしには見れませんでした。
このままいくと、主要人物が誰も幸せにならない結末を迎える気がします。
最終話(48話)の感想
最終話はチャン・ビンビン(嬴政役)の演技にひたすら圧倒されました。
荊軻と対峙した彼は、初めは貼りつけたような笑顔を作っていたのに、麗の話になった途端に爆発しそうな嫉妬心をあらわにする瞬時の変化がまず見事。
その後に1対1で剣を交えるシーンも、荊軻をただの刺客としてでなく“麗の昔の男”として色々な感情を抱きながらの決闘は、最後まで目が離せませんでした。
嬴政はこれまで王として、様々な局面で「名目」をうまく利用してきました。
今回の荊軻の件もたぶん同じで、今まではどれだけ嫉妬に駆られても 麗に嫌われることを怖れて決して荊軻を殺そうとはしませんでしたが、荊軻が暗殺を企てたことで、嬴政には心置きなく荊軻を殺す名目ができたのです。
荊軻の死で麗を悲しませたくない、という気持ちもおそらくは本当でしょう。
しかし心のどこかでは、荊軻を殺すことのできる「名目」を待ち望む気持ちもあったのではないかと思えるのです。
なぜなら嬴政は、麗が荊軻に眠り薬を飲ませることを知っていたはずで、そのまま眠り薬を飲ませていれば 荊軻は参内することもなく死なずに済みました。
それなのに、眠り薬を飲ませるのを阻止し、代わりに毒を飲ませた時点で荊軻への殺意は明白。
しかも、ただ殺すだけなら即効性のある毒でいいはずなのに、わざわざ遅延性の毒を飲ませて参内させています。
これはやはり、荊軻を刺客という「名目」で心置きなく殺したかったからではないかと。
それほどまでに嬴政の心の闇が深いからこそ、麗を愛しながらも信じ切れずに、最後は自分の剣で彼女を死なせてしまったのでしょう。
もしも麗を信じられたなら、こんな結末にはならなかったはずです。
結局のところ、嬴政は“恐れられる人間になりたい”というかつての願いを達成できたけれど、愛する人は得られませんでした。
彼はきっと、心の奥にある闇や孤独をこれからも背負って生きていくのでしょう。
作品全体を通して見ると、穏やかな場面もたくさんありましたが、ドラマはやはり最終話の印象が強く残るもの。
本作は数ある中国ドラマの中でも、かなり悲劇的な結末でした。