「風起隴西(ふうきろうせい)」15話・16話・17話ネタバレあらすじと感想。陳恭は燭龍が指定した場所に設計図入れを置いて木陰に隠れて見張っていました。
それを取りに来たのは……。一方、駐屯軍に拷問を受けた荀詡は立ち上がれなくなってしまいます。
15話:燭龍の正体
陳恭は燭龍が指定したクスノキの上に設計図入れを置き、木陰に隠れて見張ります。すると高堂秉が取りに来ますが、設計図入れの中は空でした。
高堂秉に飛び掛かった陳恭が白帝だと名乗ると高堂秉は自分の負けを認めます。
朝、李厳の屋敷から戻って来た馮膺に陰輯が連弩の設計図が盗まれ、荀詡が駐屯軍に捕らえられたことを報告。馮膺が荀詡を帰すように駐屯軍に照会状を書くために執務室に行くと部屋の前で陳恭が待っていました。
陳恭は連弩の設計図は自分が持っていると言います。
馮膺は陳恭と陰輯を連れて駐屯軍に行き、陳恭は連弩の設計図を駐屯軍に渡します。また馮膺は荀詡は曹魏の間諜の確保に協力するためにここに来ていたと説明しました。
駐屯軍は荀詡は今帰り支度をしていると言いますが、なかなか出てきません。しびれを切らした陳恭が建物の中に駆け込むと、荀詡は拷問を受けて立ち上がれなくなっていました。陳恭は荀詡に、燭龍を捕らえたと報告します。
一行が蜀漢に戻った後、高堂秉の屋敷を捜索すると複製された暗号解読用の木版が発見されました。また馮膺は荀詡が持っていた偽造の通行証は自分が渡したということにします。
荀詡を医者に診せると、拷問で足を打たれていて元どおり歩けるようになるかは運次第だと言われました。
陳恭は病床の荀詡に燭龍の正体は高堂秉で、荀詡の尋問にしか答えないと言っていると言います。また陳恭は荀詡と翟悦が山神廟で会っているのを見た高堂秉が五仙道に警告して翟悦の正体が露見したことも話しました。
荀詡は翟悦に会いに行ったことを激しく後悔します。陳恭は一緒に行くと言う荀詡をなだめて1人で翟悦の骸を迎えに行きました。
陳恭の留守中、荀詡は病床で翟悦の遺した暗号と解読文をもとに五仙道の典籍を調べ、連弩の製造所の夜回りで使う合言葉の番号が暗号解読のカギになっていることを発見します。
骸を引き取って戻って来た陳恭は位牌の前で自分の小指を翟悦からもらった宝剣で切り落とし、黄預への復讐を誓います。
その後、荀詡は陳恭に、馮膺も間諜を使って曹魏と取引しているのではないかという疑念を話しました。荀詡は曹魏の雍州刺史の郭淮(グオ・ジンフェイ)の書いた文書を馮膺の机の上で見たことがあると言うのです。
陳恭は確かな証拠が見つかるまではその話を他言するなと荀詡に忠告するのでした。
16話:曹魏の真の計画
間諜に長く司聞曹に潜入されていたことで自分の首が危ないと考えた馮膺は、李厳が気に入っている柳瑩を住まわせる屋敷を探しておくよう孫令に命じます。
ある日、陳恭は李厳を訪ねました。実は陳恭はかつて李厳の影武者となって戦い、命を落とした忠臣である陳黻の1人息子だったのです。李厳は訪問を大変喜び、陳恭を李邈の後任に推すと言いました。
一方、松葉杖でなんとか歩けるようになった荀詡は高堂秉を尋問しに行きます。荀詡は尋問の前、高堂秉にお前が五仙道に警告したせいで死んだ密偵は自分の従妹で陳恭の妻だと言って怒りをぶつけました。
尋問を開始した荀詡は、まず暗号解読用の木版をどうやって入手したのか尋ねます。
高堂秉は1年以上前に孫令が木版を輸送する時、事前に木版が入っている箱を同じ箱とすり替えておき、木版の型を取った後に目的地でまた箱をすり替えたと説明しました。
次に荀詡は協力者を尋ねますが、高堂秉は常に単独で動いていたと答えます。
また荀詡が曹魏との連絡方法を尋ねると、高堂秉は赤帝という密偵をでっちあげて司聞曹の伝達経路を使ったと明かしました。
それを聞いた荀詡がいつ司聞曹の連絡係である谷正の存在を知ったのか尋ねると、高堂秉は自分を赦免し二度と追わないと約束するなら教えると言い出します。荀詡はその言葉を無視して立ち去るのでした。
そんな中、陳恭は紫煙閣に行って柳瑩を指名します。陳恭が割り符を差し出すと柳瑩は合言葉を言い、陳恭も合言葉で答えました。柳瑩は「待っていました」と言います。
曹魏では郭淮が郭剛に天水郡郡守に復職するように言っていました。郭剛は驚いてまだ罪を償っていないと言います。
すると郭淮は先日の計画の真の目的は連弩の技術を盗むことではなく、曹魏の手の者を敵の上層部に送り込むことだったと言いました。続けて郭淮は、高堂秉は”真の燭龍”を育てるための踏み台でしかなかったと言うのでした。
17話:真の燭龍
郭淮は郭剛にこれ以上の昇進は望めない高堂秉は捨て、この度高堂秉を捕らえた者を司聞曹の高みへと近づけると説明。郭剛は”真の燭龍”が陳恭だと確信します。
紫煙閣では柳瑩が馮膺は今回の件で失脚するはずと言いますが、陳恭は司聞曹を完全に掌握するまでは油断するなと忠告しました。
また柳瑩が翟悦は必要な犠牲だったのかと尋ねると、陳恭は今後その名を出したら許さぬと言います。
陳恭は、李厳は楊儀の復職と引き換えに馮膺を残留させるようだと話しました。そして陳恭が馮膺が死ななければ我らの計画は失敗する、そのために極端な手を使うかもしれないと言うと柳瑩は覚悟はできていると言うのでした。
曹魏では郭淮が郭剛に、陳恭にどんな話をして曹魏に引き入れたのかを明かしていました。
かつて蜀漢の初代皇帝の劉備が曹魏の国境を侵してきた時、郭淮は秘密裏に蜀漢の武将を説いて寝返らせ李厳の軍を包囲させた。その時、陳恭の父である陳黻が李厳の影武者となって戦い命を落とした。郭淮は李厳の軍の居場所の情報を馮膺から得た。つまり陳黻を死に追いやった馮膺は陳恭の父の仇だ。
蜀漢では朝議で皇帝が燭龍の件で馮膺を免責すると言い、馮膺は宮中に置いている密偵からいち早くその情報を得ていました。
朝義の後、皇帝は李厳に単独で参内するように伝えます。再び参内すると皇帝の代理の者が李厳に密勅だと言って先帝が崩御の際につけていた玉帯を授けました。
その時、代理の者は「先帝の意を受け陛下をお守りし生姜と酢をすする思いで耐え陛下を支えて漢の復興を頓挫させぬように」と言います。
玉帯を持ち帰った李厳はその中から1枚の紙を見つけ出しますが、そこには何も書かれていません。李厳は代理の者の言葉を思い出し、使用人に生姜水と酢を持ってくるように命じ……。
一方、再び高堂秉を尋問した荀詡は、もしあの時設計図を手にすることができたとしても周囲が封鎖されている状況でどうやって持ち出すつもりだったのかと尋ねました。
高堂秉は近くにある倉庫から兵糧を運ぶ輸送車に紛れ込ませる計画だったと答えるのでした。
李厳が紙に生姜水と酢を塗ると文字が浮かび上がってきます。そこには次のように書かれていました。
朕は即位したのち諸葛亮を武郷侯に任じ益州を任せ朝廷での決定権を与えた
だがいまだ天下は不穏で朕は安心できぬ
しかも諸葛亮は専横を極め重大事案も上奏せず皇太后も罪を問いたがっている
さらに諸葛亮は張飛の娘を勝手に皇后に立てた
献帝に対する曹操さえこうもひどくなかった
先帝いわく諸葛亮には曹丕の10倍の才がある
朕に価値なくば諸葛亮は国を奪えと言ったがその言葉は先帝の疑念を表す
李厳が司聞曹に戻ってくると、馮膺は馬車の前にひざまずいて自分を擁護してくれた感謝を述べます。そして馮膺は李厳をある屋敷に案内し、公務のない時はここでゆっくりお過ごしくださいと言うのでした。
そんな中、陳恭は荀詡に高堂秉の尋問に私情を挟むなと助言し自分に尋問を任せるように持ち掛けます。