【山河令】最終回(36話)のあらすじとネタバレ。アナザーエンディングのネタバレも詳しくまとめました。アナザーエンディングとは、おまけエピソード(もう1つの結末)のこと。また、全体を通した感想や、アナザーエンディングの舞台裏も紹介します。
最終回(36話)のあらすじ
「なぜ極悪人の晋王を殺さないのですか」と張成嶺が疑問を口にする。
もし晋王を殺してしまえば、野心を抱く他の者たちが一斉にその地位を狙い国が乱れてしまう。だから周子舒は殺しはせず、晋王の体に内傷を与え病床から離れられない状態にした(30話)のだった。
しかし、蝎王と手を組んだ晋王がすべての瑠璃甲を手に入れた今、武庫の中の「陰陽冊」を入手し 内傷を治そうとするに違いなかった。
「晋王の狙いは陰陽冊だけではない」と七爺が言う。
七爺によれば、晋王の先祖は宝物庫を設立し6つの鍵を残したらしい。まるで、瑠璃甲と武庫そのものではないか。そう言えば、龍雀も武庫はもともと どこぞの貴族の宝物庫だと話していた。
周子舒は晋王の狙いを阻止するため、張成嶺と昏睡状態の温客行を七爺たちに託し、単身で武庫のある雪山へ赴くことにした。
張成嶺は心配で仕方がない様子だが、周子舒にしてみれば、体の釘を抜いてしまった以上 どの道あと数日の命だ。どうせ死ぬなら晋王を阻止し、大義に殉じて死にたかった。
くれぐれも温客行には黙っているように。周子舒はそう念押しして雪山へ向かった。
最終回(36話)のネタバレ
武庫の鍵
雪山。
蝎王と段鵬挙は、配下を率いて武庫の前に到着した。蝎王は趙敬も連れてきている。
段鵬挙が扉に瑠璃甲をはめ込み、武庫の鍵を差し込む。
武庫の扉はぴくりともしなかった。温客行に渡された武庫の鍵は偽物だったのだ。
突然、周子舒が現れた。周子舒に首を切られた段鵬挙はその場で倒れ死亡する。
「周子舒!!」
蝎王の怒声とともに、周子舒は包囲された。
その直後に雪崩が発生した。蝎王たちが一斉に逃げ出すなか、周子舒は死を受け入れたかのように突っ立っている。
そのとき、温客行が現れた。周子舒の髪から簪を抜きとり、武庫の鍵穴に突っ込む。
すると、武庫の扉が開いた。本物の鍵は、以前に温客行が周子舒の髪にさした簪だったのだ。
2人は武庫の中に飛び込み、雪崩から身を守った。一方、蝎王と趙敬は雪崩に巻き込まれる。
閉じ込められた2人
*一部、シーンが前後しています。
武庫の入り口は雪で完全に閉ざされた。
「なぜ来た?」周子舒が聞く。
「生死を共にする約束だろ」と答える温客行。
「あの簪は……武庫の鍵だったのか。だが、俺が簪を置いてきたらどうするつもりだったんだ」
「死地に赴くなら、必ず身に着ける」
そう言われて、周子舒は否定できなかった。
2人が武庫の奥へ進んでいくと、仰々しい箱を発見、その中には“六合心法″の奥義書が入っていた。温客行は「あったぞ!」と喜びの声をあげる。
だが周子舒はそれよりも、大量に備蓄されている朽ちた穀物が気になっていた。ここに来るまで、農書や農具もたくさん目にした。
考え込んでいた周子舒は、ふと気づく。なるほど、晋王の先祖が残した天下安泰の秘密とは、自給自足の力を養うことだったのだ。
温客行は「晋王は、穀物と農具のために膨大な労力を費やしたのか」と笑う。
それはさておき、雪に扉を塞がれてしまったこの状況をどうしたものかと周子舒が頭を悩ませる。
「雪だけを口にして 何日生きのびられる?」
雪と聞いて、温客行は葉白衣のことを思い出した。葉白衣は“六合心法”を会得した代償として、氷雪しか食べられなくなった。だから彼は、極寒の地(長明山)に籠っていたのだ。
“六合心法”とは、一言でいえば不老長寿である。会得すれば全身の経脈を再構築でき、若さを保って神仙のように生きられる。だが、もしも俗世の料理を口にすれば、六合心法の効果が消え老化が始まる。
葉白衣は江湖に来てから俗世の料理を貪り食っていた。生ける屍の状態に嫌気がさし、不老長寿を捨ててでも食べたかったのだろう。
温客行が周子舒に問いかける。
「この先ずっと共に氷雪を食べてくれるか?」
「熟慮しないとな」
周子舒は笑ってそう答えたが、実際は熟慮などしなかった。すぐに、六合心法を会得することに決めた。この先ずっと氷雪を食べて生きることを選んだのだ。
2人は六合心法の習得を始めるにあたり、向かい合って座った。そばには、奥義書が広げられている。
実は温客行はここに来る前、葉白衣から周子舒を救う方法を伝授されていた。それは、六合心法を会得し全身の経脈を再構築する方法だった。しかし、そのためには、温客行が補助者として自らの命を犠牲にしなければならない。
自らを犠牲にした者(温客行)から鍛錬した真気を受け取ってこそ、周子舒の経脈が再構築され生死の境界を越えられるのだ。それを聞いて、温客行は迷わず「願ってもない」と答えた。
そうして、葉白衣から周子舒を救う方法を教わった温客行は、周子舒には命の代償のことを伏せたまま、六合心法の習得方法を説明する。
「六合心法とは、破壊と構築だ。破壊で地獄のような苦しみを経た後、全身の経脈が再構築される。一時的に五感すべてが失われるかもしれないが、慌てず気の流れに集中すれば五感は回復する」
温客行が説明を終えると、2人は両手を前に出し、お互いの手のひらを合わせた。目を閉じ、六合心法を会得するための修行を始める。
しばらくすると、温客行が目を開いて呼びかけた。
「阿舒、阿舒」
周子舒は聴覚を失ったのか反応がない。
温客行は周子舒が聞こえていないことを確認してから、この治療法は自分の命と引き換えであることを明かして謝罪した。
「残された者こそ、つらく苦しい。師兄のお前がそれを引き受けてくれ」
絶えず周子舒に真気を送り込んだ温客行の髪は真っ白になっていた。その真気を受け取ってこそ、周子舒の経脈が再構築されて生死の境界を越えられる。
やがて、五感を取り戻し、生死の境界を越えた周子舒が目を開いた。合わせていた温客行の手が、力なく落ちる。その手をとっさに掴んだ周子舒は、温客行の姿を見て涙が溢れた。
数年後……
青年に成長した張成嶺は、弟子の少年たちに「六合心法の物語」を聞かせていた。
「師匠、武庫に閉じ込められた2人はどうなったのですか」
「六合心法を会得するには、自らの体を犠牲にしてくれる者が必要だ。だが犠牲になった者は、即死を免れても最終的には経脈が途絶える」
「2人は会得したのですか?」
そのとき、「父上」という声とともに幼い少女が張成嶺に駆け寄ってくる。張成嶺は抱き上げた。
「念湘、いい子だ」
念湘のあとから、高小怜もやってくる。弟子たちは彼女を「師匠の師姉上」と呼び、六合心法の物語を聞かせてもらったのだと話す。
高小怜は呆れた様子で張成嶺に小言を言った。
「よし、食事にしよう!」と張成嶺。
弟子たちは喜んで張成嶺のあとをついて行った。
(*本国の配信版はここで完)
もう1つの結末(アナザーエンディング)
*エンディング後のおまけエピソード
雪山で1人の少年が修行に励んでいる。高台から周子舒が少年を指導する。
「我が弟子がお前と同じ年頃だった時よりも数段上だ。だが剣の出し方に迷いがある、剣は兵器の~~」
指導を続ける周子舒の後ろから、「なってないな」と口を挟む声がした。白髪の温客行だ。
「阿舒。また子供を惑わせたな」
「お前こそ」
2人は微笑み合い、手合わせを始めた。
いつの間にか少年の傍らに父親の鄧寬が立っている。
鄧寬は周子舒たちの手合わせを見て、少年に「帰ろう」と声をかけた。
「また神々の戯れが始まった。いつ終わるとも知れない。母上のところへ帰ろう」
親子は雪山を後にしたが、周子舒と温客行はいつまでも戯れを続けていた――。
<完>
最終話(36話)の感想
何という終わり方をしてくれたんだ~~~と思いきや、エンディング曲の後に「もう一つの結末」的なエピソード(アナザーエンディング)が用意されていました。良かった!
途中、温客行が本当に死んでしまうかと思って涙が止まりませんでした。「残される側の苦しみを、師兄のお前が引き受けてくれ」というセリフにも涙腺崩壊。
あの状況からなぜ温客行が死なずにすんだのか、それはよく分かりませんが、もう、つじつまが合うかどうかよりも、とにかく2人が生きててくれたならそれで良い!
アナザーエンディングがなかったら、悲しみを消化できないところでした。本当に良かった。
それにしても、「簪」のくだりは最高でした。大切な武庫の鍵(簪)を周子舒に託していただけでもエモいのですが、死地に赴くなら必ず身に着けると「確信」しているところにもグッときます。
ところで、「この先ずっと共に氷雪を食べてくれるか?」という温客行の問いかけは、実質プロポーズのようなものですよね。周子舒も「熟慮しないとな」なんて答えていたけど、実際にはすぐに六合心法を会得すると決めていましたから、答えは迷わず「YES」だったってこと?!
そして、“ずっとずっと共に氷雪を食べて生き続ける2人”が実現したと思われるアナザーエンディングは尊すぎます
ストーリーとしては、最後まで伏線回収に手を抜かなかったのがお見事。葉白衣がやたらと大食いだったことや、急に始まった老化も、すべては最終話に繋がっていたなんて。こうして終わってみると、葉白衣はかなりの重要人物でしたね。葉白衣と知己の詳しい話も知りたくなってしまいました
他の登場人物も魅力的なキャラばかりでしたし、終わってしまったのが本当に寂しいです。
1つの作品としても、ブロマンスとしても、最高にハマれるドラマでした。最後に全体の感想を。
【山河令】全体の感想
まず興味を引かれたのは、深いキャラ造形です。主人公の周子舒にしても、単に「善」という一面的なキャラクターではなく、背負っている業や苦しみがあるといった描かれ方にとても引き込まれました。しかも、第一話の時点で余命数年という幸薄ぶり。
普通のドラマならば、余命数年とかいっても きっと助かるのだろうと最初から予想できたりしますが、【山河令】は違いました。1話から哀愁や寂寥感がハンパなく、このドラマならガチで悲しい結末があり得るかもしれないと思わされたのです。つまり、周子舒がどうなるのか先が読めなかった。その点でも興味を引かれました。
もう1人の主人公である温客行も これまた魅力的なキャラクター。登場した瞬間から、きっと周子舒に「光」を与える存在になっていくのだろうと確信させてくれる抜群のオーラがありました。こういう“雰囲気”のようなものは、演技で簡単に醸し出せるものでもないと思うので俳優本人がもともと持っているオーラなのかも。
そして絶妙だったのが、話が進むにつれて温客行という人物のイメージが少しずつ変わっていったこと。初めの印象は風流で掴みどころのないミステリアスな男、それでいて自分に自信がありそうな感じに見えました。闇を抱えた周子舒とは対照的なキャラクターだな、と。
だから最初のころの予想では、温客行という存在が周子舒にとって「光」「救い」になっていくものだと思っていたのです。その予想は当たってはいたけれど、でも、「光、救い」は一方的なものでは終わらなかった。
温客行の暗然たる内面(復讐心に囚われ、汚れきったこの世界を自分もろとも破壊しようとしている。そして自分に自信なんてなくて、本当の自分を周子舒に知られることを恐れている)が見えてくるにつれ、「光」が一方的なものではないと分かってきたのです。温客行にとってもまた、周子舒は光であり救いなのだと。
そんなふうに、お互いがお互いの光そのものであるかのような関係性に胸を打たれました。
2人の関係性が素晴らしかったのはもちろんのこと、他のキャラクターたちも魅力的な人物ばかりで、それもドラマを楽しめた理由の1つ。
顧湘と曹蔚寧のカップルはフレッシュで可愛くて最高でしたし、張成嶺の存在はドラマ全体の「光」になっていたと感じます。
喜喪鬼、艷鬼、毒菩薩といったお姉さまたちも良かったし、葉白衣の偏屈キャラも◎。葉白衣と温客行のいがみ合いが大好きで、毎回笑わせてもらいました。
そして、何と言っても忘れられないのは蝎王です。歪んだ心と純粋さを併せ持つかのような人物像に加え、趙敬に向けた狂愛も衝撃的でした。それを表現する俳優の演技から目が離せませんでしたし、彼の最期も印象に残りました。雪崩のさなか、真っ先に趙敬のもとに駆けつけるなんて、やはり蝎王は最期の最期まで趙敬から離れられなかったのですね。
ストーリーそのものに関しては、実を言えば引き込まれたのは少し後でした。というのも、最初の数話は用語や登場人物を把握するので精いっぱいだったから。
けれど、話が進むほどに色々なことが分かってくる構成になっていて、序盤からたくさんの伏線や布石が敷かれていることに気づかされました。見返すたびに新たな気づきがあり、中毒性の高い作品だと感じます。
また、ブロマンスとしても最高にハマれる作品でした。すばり120点満点。
主演の2人は ブロマンス以上の愛を、眼差しや声やセリフで示してくれたと思います。2人の表情演技は本当に素晴らしい限りでした。
©Youku Information Technology (Beijing) Co., Ltd.
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