8話:月族誅殺の命令
重すぎる罰
司命殿に帰った小蘭花は長珩に褒められたことを東方青蒼にうれしそうに話しました。東方青蒼はこの時、小蘭花の”喜び”の感情が自分に同期されず”腹立たしい”と感じたことを不思議に思います。
その頃、試験で2番になった雨霖は涌泉宮で働けると思い込み、勝手に指示を出し涌泉宮を掃除させていました。そこへ来た丹音は雨霖が身に着けている巾着が光っているのに気づいて取り上げます。
巾着に入っている霊玉を見た丹音は長珩から盗んだのかと雨霖を問い詰めました。その時、偶然雲中君が通りかかり、丹音と雨霖の争いを咎めます。雨霖は盗んだのではなくもらったのだと言い張りました。そこへ長珩が来て自分は与えていないと言い、雲中君に雨霖の謹慎を求めます。ところが雲中君は神水庁に落とすという重すぎる罰を雨霖に与えるのでした。
長珩は雲中君が雨霖に重すぎる罰を与えたのは、許嫁のいる自分に対して他の女子を愛さないようにという警告を込めていると感じるのでした……。実は司命殿の庭の花壇に蛍虫を放ったのは長珩自身でした。しかし長珩は小蘭花を守るために首席合格にも関わらず涌泉宮の仕事から外すことにします。
小蘭花は三生から長珩の意思で涌泉宮から外されたと聞かされました。落ち込んだ小蘭花は長珩にもらった霊玉を取り出してみますが、なぜか霊玉は石ころに変わっていたのです。東方青蒼は落ち込む小蘭花に隠れ身の術を使って雲中君と長珩の会話を聞かせました。雲中君がなぜ小蘭花を涌泉宮から外したのかと問うと、長珩は”無力で卑しいから”と答えるのでした。
水の中の口づけ
雲中君は長珩に仙界に侵入している月族を捜し出して誅殺するように命じました。司命殿の庭で小蘭花と東方青蒼が一緒にいるところへ突然長珩が兵を率いて踏み込んできます。小蘭花は東方青蒼の身を隠すために一緒に水の中に飛び込みました。
水の中で息が続かずに沈みそうになる小蘭花の口に東方青蒼は自分の息を吹き込むのでした。長珩たちが帰り、水からあがる東方青蒼と小蘭花。また口づけしてしまったことが気まずい小蘭花は着替えると言って部屋の中に入って行きます。
庭に1人残された東方青蒼は命簿の樹の幹にある天極鏡を覗きました。そこには長珩と小蘭花の婚礼の場面が映し出され、それを見た東方青蒼はなぜか胸が苦しくなるのでした。
東方青蒼は觴闕を呼び出し、手を尽くしても小蘭花が完治しないのはなぜかと尋ねます。觴闕は長珩に仕えるという望みが叶わないせいではと答えました。
その後、小蘭花が森の中を歩いていると丹音が来て、澧沅仙尊から聞いた話として昊天塔の中には仙族だけでなく月族もいたらしいとこっそり伝えます。
司命殿に戻った小蘭花は試験に受かったお祝いだと言って東方青蒼に酒を勧めました。実はその酒には睡眠薬が入っていたのです。小蘭花は眠った東方青蒼を舟に乗せて月族の世界へ帰すことにしました。
感想
長珩は小蘭花を覚えていなかったのではなく、覚えていないふりをしていただけだったのですね。海市主の正体は容昊だったのですね。師匠である赤地女子を救うためとはいえ、長珩の親友のふりをしながら小蘭花を狙っているのはひどいです!
今まで自分の感情がなかった東方青蒼ですが、長珩に褒められたことを喜ぶ小蘭花を腹立たしいと感じたり、長珩と小蘭花の婚礼の場面を見て胸が苦しくなったりしたのは自分の感情が芽生えてきたということでしょうか。
長珩が雲中君に言った小蘭花を涌泉宮の仕事から外した理由は多分雲中君を納得させるための嘘ですよね。本当は小蘭花を守るためだということを小蘭花が早く知れればいいのですが……。