『このサイテーな世界の終わり』ネタバレ感想シーズン1。サイコパス男子と突飛女子の逃避行が胸に刺さる!

ブラックコメディ
(c)Netflix
作品情報
  • 原題:The End of the F***ing World
  • キャスト
    • ジェシカ・バーデン
    • アレックス・ローサーー
    • スティーヴ・オラム
  • VOD[Netflix]

主人公のジェームスは自称サイコパス。自分に好意を寄せるアリッサを殺してみたいという願望に掻き立てられ、交際することを決意したジェームス。しかし徐々に愛が芽生えていき……!?

魅力的な二人が織り成す逃避行は、ミステリーな要素も絡み、最後まで見逃せません。この記事では、『このサイテーな世界の終わり』シーズン1の見どころ・あらすじ・ネタバレ感想をお伝えします。

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『このサイテーな世界の終わり』シーズン1のあらすじ

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主人公のジェームスは長年、自身のことを“サイコパス”だと思い込んでいました。心の中で、誰かを殺害するという妄想を繰り返す日々。妄想だけでは物足りなさを感じていたころ、転校生のアリッサが話しかけてきました。どうやらアリッサは、ジェームスに好意を抱いている様子。

ジェームスは、アリッサを殺してみたいという願望に駆られ付き合うことを決意。好きなフリをするために、アリッサのキスを無表情で受け入れたりデートの約束をしたりと、偽りの交際を始めるのでした。一方のアリッサは、8歳のときにいなくなった父親を恋しく思っています。

アリッサの母は、再婚した男性に夢中……。母親に不満を抱いているアリッサは、複雑な家族環境の中で、爆発しそうな感情を抱えているのでした。アリッサはある日、「こんな世界は捨てて、旅に出よう」と衝動的にジェームスを旅に誘います。

いざ旅に出てみたものの、途中で車が炎上したり悪い大人に利用されたりと、前途多難なジェームスたち。行くあてもお金もないふたりが行き着いたのは、空き家の豪邸でした。アリッサは、迷わず豪邸に忍び込み、それに続くジェームス。豪邸に入ってみると、そこにはとんでもない犯罪の秘密が隠されていて……!?

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シーズン1の見どころポイント

ふたりの世界観が魅力的

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主人公のジェームスは17歳。8歳で冗談が苦手だと気づき、9歳でフライヤー(揚げ物をする器械)に手を突っ込みました。何かを感じたくて。自称サイコパスという設定が斬新なのはもちろんのこと、ジェームスの纏う雰囲気が独特でシュールです。

表情からは病んでる感が、体格からはジェームスの不気味さが滲み出ており、俳優の役作りに本気を感じます。ジェームスの変人ぶりもなかなかのものですが、アリッサの突飛な性格にも度肝を抜かれました。ストレートな物言い、喜怒哀楽の激しさ、突飛な言動。そのすべてから目が離せません。

ジェームスとはまるで正反対のアリッサですが、だからこそお互いに影響を受け合うのか、絶妙なバランスのカップルなのです。何より、醸し出す空気感がとにかくシュールでコメディなので、第1話からふたりの世界観に引き込まれることでしょう!

逃避行の旅が切ない!

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ジェームスもアリッサも、社会に馴染めないタイプの人間なので、表面だけの付き合いが苦手です。そんなふたりが交際を始めるわけですが、おそらく、お互いの苦しみが共鳴し合って自然と惹かれたのでしょう。ふたりは“大人・社会・現実”というものから逃れたくて、逃避行の旅に出ることにしました。変人2人の旅は、当然”普通”という言葉ではおさまりません。

大胆で突飛でほのぼのして、そして切なく苦しくもある。そんな逃避行から一時も目が離せないこと間違いなしです!また、旅の中で、封印していたジェームスの感情が戻っていく様や、不器用さゆえに道を踏み外すことしかできない生き様が、情感たっぷりに描かれていきます。

ジェームスは最初、アリッサを殺してみたいという動機で交際を始め、好きなフリをするために無理にキスを受け入れていました。しかし、共に旅をするうちに人間らしい心を取り戻し、生き生きした姿で踊ったり、自分からアリッサにキスをするジェームスの姿は胸キュンものです。

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『このサイテーな世界の終わり』ネタバレ感想

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大人の抑圧から解放されたいと願う、少年少女の切な思いが胸に突き刺さるドラマでした。ドラマでは、若さゆえに向こう見ずの行動を取ってしまい、それが大きな失敗(罪)につながるのだけれど、”現状”を何とか変えたいとあがく姿は、胸に迫るものがありました。

大人から逃れたくて始めた旅。本人たちからすると、広大な場所で冒険をしているような、別の世界で新しく人生をやり直せると錯覚するような、そんな開放感があったことでしょう。

しかし実際には、住んでいる場所からそう遠くはない場所で、いつ捕まってもおかしくはないという“現実”が常につきまとっているんですよね。

そんな、大人と子供の世界観の違いといいますか……大人から逃れたと思ったけれど、実は少しも逃れられてはいなかったという結末が、とても切なかったです。

最初は感情がないように見えたジェームス。しかし、アリッサと旅をするうちに、心の奥に閉じ込めていた感情が少しずつあらわになっていきます。感情が少しずつ湧き出る様がとてもリアルで、俳優の演技力に目を見張りました。特に、感情がいっきに爆発したときの演技は圧巻のひとこと。

爆発した苦しみ、涙、叫び、悲しみ。ジェームスはこれだけの苦しみを抱えていたのかと思うと、胸をえぐられるようでした。またジェームスは、感情だけではなく本来の性格も取り戻していきます。侵入した家で、ジェームスが酔って踊るシーンがあるのですが、この時のはじけんばかりの笑顔は要注目!

普段は感情が見えなくて無表情なジェームスだけれど、ダンスのときに見せた笑顔は、ジェームス本来のかわいさや少年っぽさが垣間見えた気がします。

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ドラマの結末はタイトルぴったりの終わり方

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※以下ネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください

ジェームスが過去の苦しみを受け入れ、心を取り戻し、アリッサへの愛を自覚していく様は、見ていて苦しくもあり温かくもありました。しかし最後には、救いのない“現実”が待ち受けているんですよね。

アリッサが恋焦がれていた実の父親は悪い大人だったという現実。別の世界で新しく人生をやり直せると思ったのにそうではなかったという現実。罪からは決して逃れられないという現実。

旅の途中で犯してしまった罪をひとりで被るために、ジェームスは猟銃を抱えて逃走し、警察を引き付けます。そして、銃声が響いたところでドラマはTHE・END。

銃声はジェームスのものなのか警察のものなのか、視聴者に想像の余白を残した結末となりました。銃声がどちらのものだったにせよ、この幕の閉じ方は、まさに『このサイテーな世界の終わり』というタイトルそのままに思えます。

視聴したときは、とても悲しい幕の閉じ方だと思いましたが、実はシーズン2の制作が決定しているとのこと。ということは!ジェームスは生きているということですよね!ですが、ジェームスは(おそらく)あのまま警察に捕まったのでしょうし、どうやってストーリーを続けるのでしょうか……今の段階では予想がつきませんが、大好きなふたりがまた見られると思うと嬉しいです。

本作は、1話20分×8話のドラマなので、時間がない人でもサクサク見終わることが可能です。

©Netflix