【高い城の男】シーズン1ネタバレと解説。第二次世界大戦にナチス・ドイツと日本が勝利した世界。そこではアメリカ合衆国は両国によって分割支配されていた。
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製作:2016年 アメリカ
原題:The Man in the High Castle
監督:デヴィッド・セメルほか
プロデューサー:リドリー・スコットほか
キャスト: アレクサ・ダヴァロス、ルパート・エヴァンス、ルーク・クラインタンク、DJクオールズ
、ケイリー=ヒロユキ・タガワ、ルーファス・シーウェル、カラム・キース・レニー、ベラ・ヒースコート
【高い城の男】あらすじ
太平洋合衆国に住んでいたジュリアナ・クレイン(アレクサ・ダヴァロス)は、レジスタンスの妹トルーディー(コナー・レスリー)からイナゴ、見重く横たわるという名前で呼ばれているフィルムを渡されました。
妹はその直後に憲兵隊に射殺されます。
フィルムは、第二次世界大戦に連合国が勝利する内容の物でした。
ジュリアナが他のレジスタンスにフィルムを届けようとしましたが妨害され、ジョー・ブレイク(ルーク・クラインタンク)の手助けで困難を切り抜ります。
しかし、多数存在するフィルムの一つに、ジョー・ブレイクがSS(ナチス親衛隊)の将校として登場していた事からジュリアナは彼に疑念を抱き始めました。
その後、ジュリアナは大ナチス帝国のスパイの疑いがあるジョーを誘い出す役目を負ってジョーに近づくものの、逆に彼の逃亡を手助けしてしまいます。
一方で、皇太子夫妻が太平洋合衆国に来訪する事知ったフランク(ルパート・エヴァンス)は、骨董商チルダン(ブレナン・ブラウン)から拳銃を入手し、日本の皇太子暗殺に向かいました。
ところが、皇太子はフランクではなく他の人物によって狙撃されてしまったのです。
*
大ナチス帝国は自国のみが原子爆弾を保有していると確信し、日本支配下の太平洋合衆国への進行を目論みるも、大ナチス帝国側のヴェゲナー(カーステン・ノルガード)は太平洋合衆国に原子爆弾の情報を漏らして開戦を阻止しようとしました。
木戸警部(ジョエル・デ・ラ・フエンテ)は皇太子狙撃犯を見つけたものの、大ナチス帝国の真の目的である日本の皇太子を暗殺して日本と戦争を開始するという意図を知ります。
木戸警部は真の狙撃犯を射殺しエド(ドナルド・ジョセフ・クオールズ)を犯人に仕立てましたが、フランクが「自分が犯人だ」と名乗り出てエドの解放を求めてきました。
ジョン・スミスのストーリーライン
ジョン・スミス上級大将(ルーファス・シーウェル)の息子トーマスが筋ジストロフィーである事が判明。
ナチス政権下において不具者の生存は認められず、ジョンは医者から息子トーマスを安楽死させる為の注射を渡されたため、ジョンは逆に医者を殺して息子を守りました。
ジョンは、部下がゲシュタポ(国家秘密警察)長官のハイドリヒ(レイ・プロスチア)の好みを知りすぎていることを不審に思い、部下をビルから突き落として自殺と報告します。
その後、ハイドリヒから狩りに誘われたジョンは、身の危険を感じつつも覚悟を決めてハイドリヒの誘いに乗りました。
ジョンは狩場でハイドリヒの部下から狙われましたが、部下を倒してハイドリヒの足を撃ち危地を脱します。
その一方で、裏切りがバレたヴェゲナーは、ハイドリヒから「ベルリンで総統の暗殺」を命ぜられましたが、暗殺に失敗し自殺してしまいました。
【高い城の男】キャスト
ジュリアナ・クレイン/アレクサ・ダヴァロス
役:レジスタンスに協力している女性。
妹トルーディからフィルムを渡されレジスタンス活動に巻き込まれます。
キャスト:ジュリアナ役は、【リディック】(2004)で映画デビューしたアメリカの女優アレクサ・ダヴァロス。
代表作は【ミスト】(2007)、【ディファイアンス】(2008)、【タイタンの戦い】(2010)
ジョー・ブレイク/ルーク・クラインタンク
役:ジョー・ブレイクは、レジスタンスとして第二次世界大戦に連合国が勝利した世界を描くフィルム「イナゴ身重く横たわる」を運ぶジュリアナを助ようとしましたが、実はナチスのスパイで父親は大ナチス帝国の帝国宰相。
キャスト:ジョー・ブレイク役はアメリカ合衆国オハイオ州出身の俳優ルーク・クライタンク。
2019年公開の映画【ミッドウェイ】では、クラレンス・ディキンソン大尉役を演じました。
フランク・フリンク/ルパート・エヴァンス
役:フランクは、ジュリアナの恋人でレジスタンス。
トルーディを殺されたことで、日本人に対して敵愾心を抱くようになります。
キャスト:フランク役を演じているのは、イングランド・スタッフォードシャー州出身の俳優ルパート・エヴァンス。
映画【ヘルボーイ】のジョン・マイヤーズ役で知られており、2018年~米CWで放送のリブート版【チャームド】でホワイトライター(白の守護者)ハリー役を演じています。
以下、役どころのみ紹介
ロバート・チルダン/ブレナン・ブラウン
ロバートは、骨董商で日本人客に馬鹿にされたと憤り、フランクに骨董品の贋造を依頼します。
田上信輔/ケイリー=ヒロユキ・タガワ
日本支配下の太平洋合衆国の通商大臣。
温厚篤実な人柄で、時折 易占いをします。
木戸警部/ジョエル・デ・ラ・フエンテ
憲兵隊を取り仕切る、冷酷ですが仕事一筋な一面も見せます。
ジョン・スミスSS上級大将/ ルーファス・シーウェル
アメリカ人ですが、大ナチス帝国で上級大将にまで上り詰めます。
大ナチス帝国 The Greater Nazi Reich
ニューヨークを拠点にナチスが旧アメリカ合衆国の東側を支配、黒人とユダヤ人は根絶されています。
太平洋合衆国 The Pacific States
サンフランシスコを拠点に、日本が旧アメリカ合衆国の西側を支配。
ロッキー山脈を中心に、両国の中立地帯が存在します。
シーズン1発表当時の話題。
アガスティアの葉のように、未来が予言されているフィルム『イナゴ身重く横たわる』(Grasshopper lies heavily)を巡って大ナチス帝国とレジスタンスが争います。
シーズン1では、何故フィルムに未来が写っているのかは明らかにされていません。
この時は、さすがに「車両丸ごとの全面広告はやりすぎ」として抗議が殺到した模様。
しかし、よく見ると鍵十字は変更され十字になっていたことから、制作したamazon側は苦情を予測していたようです。
Rotten Tomatoesでは【高い城の男】シーズン1は高評価でトメーターズ95%、視聴者89%となっていますが、中には最高の素材を使いながら、役者の演技も演出も凡庸などという手厳しい意見も。
amazonのレビューでは米amazonでは概ね好評で、「日本人は本当にこんな悪い事をした」などと本編とは関係ないレビューがトップとなっています。
その一方で、日本のレビューは苦情が殺到していると言っても過言ではありません。
皇太子狙撃はやりすぎと言えるでしょう。
リドリー・スコットが何を見ているのかは不明ですが、相変わらずのアジア像(?)は【ブレードランナー】から何も変わってませんし。
日本勝利であるならば看板の文字は旧字体かつ右から左に書いてないとおかしいし、日本人監修によるものであればこのようにはならないはず。
日本人の干渉を嫌って、いい加減なものになったとしか思えません。
原作は、仮想と現実、本物と偽物とは一体何が違うのかといったフィリップ・K・ディックおなじみのプロット満載の作品ですが、この作品は米amazonがアメリカ人を喜ばす為の作品なのだと思います。
✓第8話「この世の終わり」で【クィーンズ・ギャンビット】にも登場したスキータ・デイヴィスのThe End of the World (1962)をLini Evansがなんと日本語で歌っている
✓ラインハルト・ハイドリヒは実在したゲシュタポ(国家秘密警察)の長官で、実際には1942年に暗殺されている。
易の解説
簡単に書くと念じながら、49本の棒を左右に分けて左手に取った棒を数えていく作業を3回繰り返して結果を得るのが易占。
天風姤てんぷうこう
シーズン1で田上が易占をして得た卦は天風姤。
旅先で女性に騙されるなど悪い卦とされます。
なお英語で易経はBook of Changes、卦はhexagramでこちらの方はナチスを描いた番組だけにユダヤの星と思われがちですが、ここで言うhexagramとは易の卦のこと。
番組中で分かる通り、外人に不慣れな中国語よりもむしろhexagram25のように番号で呼ばれます。