見どころと解説
本作は、キャサリンや王母、マギー・ポールなど複数の女性からの目線で物語が描かれている。
ベースとなるのはキャサリンではあるが、マギーやメグもキャサリンと並ぶ主人公であると言えるだろう。
また、王母マーガレット・ボーフォートはここに来て人生の幕を閉じるが、その幕引きも彼女のこれまでの行いからも分かるように寂しいものあった。
【ホワイト・クイーン】から【スパニッシュ・プリンセス】まで全てにおいてマーガレット・ボーフォートは”嫌な女性”の代表ともいえる存在だ。
彼女がなぜそこまで固執したのか、3作品を観ていくとおのずとマーガレット・ボーフォートという女性がどんな人物なのか分かってくる。
*事実上、王よりも実権を握っていたよう。
また、ヘンリー8世とキャサリンとの婚姻無効問題は非常に時間が掛かった問題ではあるが、本作ではその問題には触れていない。
キャサリンの物語であれば、その後の物語もおのずと必要になって来るが、本作では夫はもう自分に興味がない、やり直すのは不可能だと悟ったキャサリンが「妻の座は決して渡さない」と断言し自ら宮殿を後にする。
ただ、【THE TUDORS】ではこの争いが非常に醜く描かれているため、本作では非常に綺麗な終わり方となっている。(主役が王妃か王の違いかと思われる)
それぞれの作品によって登場人物の描かれ方が違うので見比べてみるのも面白い。
【スパニッシュ・プリンセス】の感想
全体的にスタイリッシュに描かれているものの、見ごたえのある物語だった。
王母があまりにも悪人なので、本当に敬虔なカトリックだったのか?と疑いを抱くほどで、すべては神の……と言えば、何でも自由だ。
【ホワイト・クイーン】、【ホワイト・プリンセス】、本作において全てにおいて登場しているが、神を利用している敬虔なカトリックという人物像にしか見えない。
実に恐ろしい女性という印象だ。
また、本作ではヘンリーがアーサーのフリをしてキャサリンに手紙を書いたとあるが、史実によるとこの時ハリーはまだ10歳ほどだ。
10歳の少年が熱烈な手紙を書くのは現実的ではないので、実際にキャサリンと手紙のやり取りをしたのはアーサー王太子と思われる。
どんなに実話を基にしたドラマであっても、こういったところでは史実とは異なる部分が多々ある。
なお、本作ではキャサリンがヘンリー8世の願いを叶えてあげられないこと(男児を産めない)に焦ったり苦しんだりする姿がメインだが、実際にキャサリンが一番苦しんだのはこの後の人生ではないかと思う。
その後のドロドロな部分が気になる方は 【THE TUDORS~背徳の王冠】 をお勧めする。
イングランド王ヘンリー8世は、その40年におよぶ治世の最初から野心家だった。国政にほとんど関心を払わないその姿勢は、枢機卿トマス・ウルジーに利用されることになる。大法官の地位に飽き足らず、ウルジーは次の教皇の座を狙っていたのである。だが、王が世継の男子を求める一方、キャサリン・オブ・アラゴンとの間に男子が生まれなかったことから、帝国は王の地位を危うくする方向へと向かっていく。女王の座を狙うアン・ブーリンの登場。カトリック教会がヨーロッパでの力を失う原因となった宗教改革の勃発。数々の難題が降りかかる。挙げ句の果てには、ローマ教皇や大陸の君主たち、さらには自分の臣下までもがヘンリー8世に挑みかかる。しかし誰一人として彼を止めることはできない。望みのものを手に入れるためなら、たとえ身近な者であろうと、追放はもちろん、命を奪うことさえ辞さないのだった。
【THE TUDORS~背徳の王】でヘンリー8世は非情な王と描かれているが、その姿はまさに母マーガレット・ボーフォートのようなやり方だ。
ぜひ、そちらも観てほしい。
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