【フレイザー家の秘密】キャストと解説。ニコール・キッゴマン&デヴィッド・E・ケリーのタッグで送る極上クライムサスペンス。突然姿を消した夫は、ある女性の殺人事件と関係あるのか?全員に殺害動機がある事件の真犯人は!?
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Production
製作:2020年 アメリカ
原題:The Undoing
監督:スサンネ・ビア
脚本:デヴィッド・E・ケリー
キャスト:ニコール・キッドマン、ヒュー・グラント、ノア・ジュープ、ドナルド・サザーランド、エドガー・ラミレス、
【フレイザー家の秘密】あらすじ
グレイス・フレイザー(ニコール・キッドマン)は、夫で小児ガン医師のジョナサン(ヒュー・グラント)と一人息子のヘンリー(ノア・ジュープ)の3人で、リッチで平穏な生活を送っていました。
グレイスは、有名なカウンセラーで毎日さまざまな形のカップルがカウンセリングに訪れます。
夫婦はお互いに尊重し合い、家族仲も良好でした。
しかし、ある日夫のジョナサンが忽然と姿を消し、それと同時にヘンリーが通う学校の委員会で新メンバーとなったエレナ(マティルダ・デ・アンジェリス)という女性の殺人事件が発生したのです。
【フレイザー家の秘密】登場人物とキャスト
フレイザー家
グレイス・フレイザー役/ニコール・キッドマン
ジョナサンと結婚して14年、12歳の息子ヘンリーと3人で幸せな生活を送っていました。
博士号を持つ臨床心理士で、カウンセラーとして有名。
息子が通う名門リアドン校で、主に資金集めを担う委員会のメンバー。
資産家のフランクリン・ラインハートは父親で、両親のような仲の良い幸せな家族作りたいと思っていました。
事件発生時刻に現場近くを歩いていたことから、犯人ではないかと疑われてしまいます。
ジョナサン・フレイザー役/ヒュー・グラント
グレイスの夫で小児ガンの医師。
エレナとは、彼女の息子ミゲルを治療したことをきっかけに距離を縮め、不倫関係になっていきました。
殺人容疑で指名手配され、グレイスとヘンリーが父所有の別荘に避難していたところに姿を現します。
言葉巧みに人を操るのが得意。
エレナ殺害に関しては一貫して否定し、夫婦として、家族としてやり直したいとグレイスに迫ります。
ヘンリー・フレイザー役/ノア・ジュープ
ヘンリーはグレイスとジョナサンの愛息で、リアドン校に通う12歳の少年。
父親が殺人犯ではないかと疑っている一面も。
ジョナサンの一件から、登校を拒否されグレイスと共に祖父の自宅で生活するようになります。
かつて、学校で父とエレナが会っているのを目撃した時、2人の関係に気づきました。
刑事・弁護士
ジョー・メンドーザ役/エドガー・ラミレス
エレナ殺人事件を追う刑事で、当初からジョナサンを犯人だと睨んでいました。
殺害時刻に、現場近くにある防犯カメラにグレイスの姿が写っていたことから、彼女にも疑いの目を向けます。
ヘイリー・フィッツジェラルド役/ノーマ・ドゥメズウェニ
グレイスが父から紹介してもらった敏腕弁護士で、ジョナサンの弁護を引き受けます。
弁護に絶対的な自信を持っていますが、ラストでは思わぬ裏切りにあい……。
被害者と家族
エレナ・アルヴェス役/マティルダ・デ・アンジェリス
フェルナンドの妻で彫刻家。
ミゲルの母であり、グレイスが所属する委員会に❞赤ん坊❞を連れて出席しました。
突然、人前で授乳を始めたり、グレイスに急接近したりと行動が読めません。
ジョナサンと関係を持つようになった後から、学校関係のことでジョナサンに色々と要求を出していた様子。
リアドン校の資金集めとして行われたオークションに出席した夜から姿を消し、自身のアトリエで顔も分からないほど殴られたであろう惨殺死体で発見されました。
フェルナンド・アルヴェス役/イスマエル・クルス・コルドバ
エレナの夫で、妻の浮気を知っていたという動機があり、犯人リストに入ったもののアリバイがあったためリストから外されます。
ジョナサンが犯人だと確信しているためか、ジョナサンの妻グレイスに接触を図ります。
エレナが殺害された時刻には自宅にいたと言いますが……。
ミゲル・アルヴェス役/イーダン・アレクサンダー
母エレナのアトリエで、死体を発見した第一発見者。
子供の腎臓癌では代表的と言われているウィルムス腫瘍を患い、その執刀医がジョナサンでした。
事件の夜、夜9時に就寝し翌朝6時半になるまで起きなかったと証言しています。
他、出演者
フランクリン・ラインハート役/ドナルド・サザーランド
グレイスの父で、リアドン校に毎年多額の寄付をしている資産家。
亡妻との夫婦仲が良くなかったと告白し、グレイスを失望させます。
娘のグレイスと孫のヘンリーをこよなく愛していますが、結婚当初からジョナサンを嫌っていました。
シルヴィア・スタイネッツ役/リリー・レーブ
グレイスの友人で弁護士、そして資金集め委員会のメンバー。
事件によりグレイスに冷たい目が向けられる中でも、シルヴィアだけはずっとグレイスの支えになっていました。
かつて、ジョナサンから❞ある依頼❞を受けたことをグレイスに告白します。
【フレイザー家の秘密】解説
疑いの目
ジョナサンは、初めから最後まで「殺していない」と言い切っていました。
ジョー・メンドーザ刑事(エドガー・ラミレス)は、現場の状況からジョナサンを犯人と断定していましたが、現場近くの監視カメラの映像に「犯行時刻にグレイスが歩いている姿」が写っていたことから疑われてしまいます。
グレイスは元々歩くのが好きで、色々な所を歩くという習慣がありましたが、メンドーザ刑事によると ❞事件当日の犯行時間に❞ 現場のすぐ近くを歩いているのはあまりにも偶然だというのです。
そもそも、グレイスが夫の不貞を知っていたのかどうかは あやふやに描かれているため、彼女が犯人ではないか?と疑いの目を向けてしまいます。
グレイスが、夫とエレナが愛し合っているのを想像するシーンがありますが、あたかもグレイスがその現場を見たように描かれているのが惑わされる要因です。
状況からジョナサンが犯人だと思うはずですが、物語が進むにつれ、そしてジョナサンの「殺してない」という言葉に洗脳されるかのように、ジョナサン以外の「真犯人」を追い求めてしまいます。
さらに、グレイスとヘンリーが別荘に逃げていた時、ヘンリーが別荘の庭にあるレンガの焼却炉の中からエレナ殺害に使用された凶器を発見していました。
これに関して、ジョナサンは「エレナの夫フェルナンド(イスマエル・クルス・コルドバ)がグレイスの後をつけて、焼却炉に凶器を仕込んで自分を罠にはめた」と言っていましたが、その後はなんと「ヘンリーが殺したのかも」と言うように。
自分の身を守るためとはいえ、息子に罪を擦り付けることなど許されるはずがありません。
ヘンリーは、この話を聞いてしまい父に対する思いが一変しました。
ジョナサン:エレナと関係を持つようになってから、彼女は色々なことを要求するようになってきた。でも彼女のことは本当に愛していた、殺すなんて考えられない。
グレイス:夫の不貞を知っていたのではないか?夫の後をつけて2人がアトリエで愛し合っていたのを目撃して逆上したのではないか?
ヘンリー:父とエレナが学校で親密そうにしているのを見て不倫に気づいた。不倫を止めさせようとしてエレナを殺害したのではないか。見つけた凶器の指紋も消し隠し持っていた。
フェルナンド:エレナの浮気を知っていた。アトリエから漏れるエレナの声を聞いていた。
警察は、ジョナサンが行方をくらましたと装って、本当はグレイスが匿っているのではないかと疑い、さらにはエレナを殺害した可能性もあると考えていたようです。
何度もグレイスの元に足を運んだり、警察で事情聴取を受けさせたりするなど彼女への疑いはなかなか消えませんでした。
グレイスが取った行動とは?
凶器をヘンリーが隠し持っていたこと、食洗器で2度洗って指紋を消し証拠隠滅を図ったことから、ジョナサンは「なんで証拠を消したんだ」と声を荒げるシーンがありました。
「凶器からフェルナンドの指紋が検出されれば自分の無実が判明する」と言っていたため、もしかしたらジョナサンは犯人ではなのかと思い込んでしまいそうになります。
するとジョナサンは、何かに気づいたかのようにグレイスに「ああ、そういうことか。ヘンリーか」と、息子が犯人ではないかと口走ります。
それまで、グレイスはジョナサンとヨリを戻すつもりはないと言いながらも、心のどこかで彼を求めていましたが、この言葉でジョナサンに対する見方が変わってきます。
ジョナサンは家族と疎遠でしたが、グレイスは思い切ってジョナサンの母に連絡し彼についての驚くべき真実を目の当たりにしました。
ジョナサンには10歳離れた妹がいて、ジョナサンが14歳の時に妹の面倒を頼まれましたが、目を離した隙に妹が道路に出て事故に遭い亡くなっていました。
この件についてジョナサンの母は、「妹の死に対し、ジョナサンには罪悪感も悲しみも抱かなかった。ジョナサンは苦しむ術を知らない。良心の呵責や悔恨の念というものがない」とグレイスに話しています。
グレイスは、ジョナサンの味方のフリをして証人となり、裁判でこう証言したのです。
そして、彼女自身が臨床心理士としての立場で、ジョナサンは「自己愛性パーソナリティ障害」であるとも、証言しました。
グレイスは、ジョナサンがヘンリーを犯人と疑った瞬間、彼が自己愛性パーソナリティ障害を持っていることを確信したのです。
グレイスはシルヴィア(リリー・レーヴ)に頼み、検察に凶器を渡して事情を話し、ジョナサンの母から聞いた情報を検察に提供してもらっていたのです。
【フレイザー家の秘密】結末
エレナを殺害したのはジョナサンでした。
ジョナサンは、自分に向けられた疑いの目を誰か他に向けるため、自分ではないという真に迫った演技と巧妙な言葉で周りを惑わしていました。
彼がエレナを殺害した理由は、グレイスに近づきすぎたことが原因でした。
ジョナサンは、グレイスとヘンリーを愛しているというより執着しているように見え、自己愛が強いからこそ現状の生活を維持したいだけだったようにも思えます。
実は、ジョナサンはエレナとの関係が病院にバレて3か月前にクビになっていました。
さらに、金に困ったジョナサンは、「グレイスは父に決して援助を求めない」のを利用して、家計が火の車なのに一生懸命頑張っているグレイスが可哀想で助けて欲しいと、フランクリンから5000万円ほど受け取っていたことも判明。
自分を愛するが故に、誰でも何でも利用するといったジョナサンの真の姿が明らかになりました。
途中で、もしかしたらジョナサンは犯人ではないのか?と思わせられたりと、全6話ながらにも満足できる作品で、決して声を荒げることなく鬼気迫る状況を作りだすニコール・キッドマンの演技も印象に残りました。